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山田レシピ 「ゆかり」 のつくりかた

「ゆかり」のつくりかた

ほかほかのご飯によく合う、赤しそのふりかけ、「ゆかり」。レシピをご紹介したいところですが、残念ながら「ゆかり」をご家庭でつくることはできません。「ゆかり」を手づくりできるのは、「スナックゆかり」のゆかりママ、ただひとりなのです。

[材料]
・赤しその葉
・ゆかりママの涙

[下準備]
週2~3回、酒場通いができるくらいの、ほどほどの稼ぎと時間を確保しておきましょう。

[つくりかた]
①各駅停車の電車がとまる小さな駅。シャッター通りとなってしまった商店街から、一本路地を入ったところのつきあたりに、「スナックゆかり」はあります。

②スナックをひとりで切り盛りするのは、ゆかりママ。紫色のドレスを着て、気さくな笑顔をふりまいて、近所に住む常連の客たちを「おかえり」と迎え入れます。

③スナックですから、本格的な料理メニューはありませんが、お通しはゆかりママの手づくりのお惣菜。きんぴら、ひじき、ポテトサラダ、しらたきのたらこ和え、などの小鉢が日替わりで出されます。

④焼酎割りに使う梅干しも、ゆかりママのお手製です。ひとり暮らしのアパートで、生まれ故郷の和歌山から梅を取り寄せ、毎年必ず漬けています。

⑤梅干しを漬けたときの赤しそで、ふりかけもつくります。でもこれは、メニューにはありません。ゆかりママが心を許した常連客だけが食べられる隠れメニュー、それが「ゆかりおにぎり」です。

[しあげ]
ゆかりママにお願いして、ふりかけを少量分けてもらい、ママのドレスと同じ紫色の小袋に入れて、完成です。

[メモ]
ふりかけの絶妙な塩かげんの成分は、悲しい過去を持つゆかりママの涙です。深追いしてはいけません。ママに惚れてもいけません。ゆかりママが誰かひとりを愛することは、もうないのですから。


おわり。


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