「継続的再設計」スキル

テクノロジーの進化は、ビジネスの現場に常に新しいチャンスと試練をもたらし続けています。この絶え間ない変化の流れに乗り遅れることなく、持続的な成長を実現するためには、「継続的再設計スキル」とも呼ぶべき4つのスキルの集合体がが経営陣やリーダーに求められる重要な力となってきます。
（本記事は、アクセンチュア執行役員 AIセンター長の保科学世氏の書籍『生成AI時代の「超」仕事術大全』の内容を元に独自解釈を加えて執筆しております。）

過去から脱却する"ゼロベースの思考"

継続的再設計の出発点は、"ゼロベースの思考"にあります。過去の成功体験にすがることなく、常に新しい視点から物事を捉え直す姿勢が不可欠です。先入観や思い込みに惑わされす、前例にとらわれない発想こそが、より創造的で革新的な課題解決につながるのです。

論点を明確にすること

業務の方法を再設計する際には、まず何が問題なのかという論点を明確にすることが重要です。時間が経ってもブレないためのプロジェクトの原理原則となる目標は、ノーススター(北極星)と呼ぶこともあります。どの業務プロセスに課題があり、どの部分に改善の余地があるのかを的確に特定し、定義することで、効果的な改革策を立案することができるのです。

全体像と事象のつながりを明確にすること

同時に、個別の課題だけでなく、全体像とそれぞれの事象がどのようにつながっているのかを把握することも欠かせません。全体を見なければ情報の分断を招いたり、小手先の対応になったりしがちです。各業務プロセスが組織の目標達成にどう貢献しているかを理解した上で、より大きな視点から再設計を行えば、効率的で実りの多い改革が実現できます。

人間中心の改革アプローチ

技術の進歩に伴うシステムや業務プロセスの変更は、最終的には従業員や顧客の行動様式に影響を及ぼします。継続的再設計においては、あくまでその中心に人間があると認識し、関係者のニーズを十分に理解した上で改革を推し進めることが何より重要です。AIありきのアプローチを取るのではなく、人間中心の再設計こそが、持続可能で受け入れられる変革につながるのです。

成長の原動力としての継続的再設計

ゼロベースの発想、本質の再認識、全体像の把握、人間中心のアプローチ。これらの継続的再設計スキルを体現することで、組織は常に最新の状態を維持し、環境の変化に適応しながら着実に前進し続けることができます。テクノロジーの進化のスピードに後れを取ることなく、この力を発揮し続けることこそが、ビジネスリーダーに課された使命と言えるでしょう。
出典:保科学世氏『生成AI時代の「超」仕事術大全』