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【モジャ毛語り⑨】ハシビロコウで驚いてる場合じゃないよ、世界は後がつっかえてるぜ

【テツくんからのお題:「ハシビロコウ」】




ハシビロコウという鳥をご存知だろうか?





近年はグッズなどになる機会も多く、

かなりの人がその存在を認知しているのではないかと思うが、



もしご存知無い方はGoogleの検索窓に打ち込んでみてほしい。


よく知ってる鳥さん達とは似ても似つかない、
これぞまさしく“怪鳥”と呼ぶに相応しい、
イカつい鳥さんの画像が表示されることだろう。





ヤマダヒロミチももちろんハシビロコウを知っている。



SNSで時々話題に上がるし、


「見た目は怖いのに飼育員さんに懐く姿が可愛いー♡」的な動画を見たことがあるし、


何なら上野動物園で実物を見たこともある。







だが、




それらは全て、ここ数年の話だ。





いつだったかまでは思い出せないが、

LUNCH-Ki-RATT時代の元メンバーだったサヲリが“最近ハマってる動物”として見せられた時に、

「こんなデッサンの狂った生物が実在してるの!?」と驚いた記憶がある。




5年前は認知していたかもしれないが、


10年前の自分は確実に知らなかった生き物。





そして、


おそらくだが世間の皆様もそうなのではないだろうか。



単純にヤマダヒロミチが不勉強なだけだったら申し訳ないのだが、


少なくとも10代の頃、

周囲でハシビロコウの話題が出ることは一度も無かったし、

巨大な嘴と鋭い目つきをデフォルメしたぬいぐるみも売っていなかった。



ここ日本においては、
近年のSNSの発展の中でハシビロコウに出会ったという人が大半だという気がしている。











ハシビロコウという動物自体は、


何千年も何万年も前からこの地球上に存在し続けていたにもかかわらず、だ。








我々人間は、


この世界の森羅万象の大半を知り尽くしたようでいて、



実際は、

自らの本当に周囲にあるもの以外は知らないものだ。




そして、


新たに発見されたかのように紹介されブームになるものは、



その時いきなり出現した謎の新生物なんかではなく、



太古の昔からずっと存在し続けていたものが

たまたまそのタイミングで、

その地域の人間の生活と初めて交わったに過ぎない。






動物以外にも言える。








個人的にずっと感じていること。





俺を含め、
みんなもうすっかり騙されきっているが、






アボカドと、


エリンギの、


え、ボクたちずっと日本の皆さんの食卓にいましたけど?”感


マジで異常じゃない??







どちらも絶対、
俺が子供の頃には、
日本の食卓に全然お馴染みじゃなかったはずだ。





アボカドを初めて知った時のことはハッキリ覚えている。


5歳でブラジルに引っ越した時、向こうで食べたのが初対面だ。



南国ブラジルではとてもポピュラーな食材だったので頻繁に食べていたし、

スナック菓子にせよソースにせよ、
アボカド味の商品というものも沢山あったのに、




8歳になった頃、
地球の裏側から帰ってきて、



当時の日本にはアボカドが全然無いことにけっこう驚いた。




もちろん全く流通していなかったわけではないのだろうが、


たまに家族で行くブラジル料理レストランでアボカドを見つけると

「わ!アバカーチ(※ブラジルでのアボカドの呼び方。小癪なガキで申し訳ない)がある!懐かしい!!」

とはしゃいでいたのを覚えている。



それぐらい、
一般的にお馴染みという存在では全く無かったはずだ。




それが、

俺が中学生になったぐらいから、
何か急激に日本中にアボカドが満ち溢れだした。

(いま軽く調べたら2000年頃にテレビや雑誌で健康に良いと紹介されてブームになったらしい。やっぱり。)





そこからはもうあっという間で、



スーパーの野菜コーナーの、
ジャガイモやニンジンなどの古参兄さんたちの隣に当然のような顔をして並ぶアボカド。


ハンバーガーに挟まれていても、ポテチがそのフレイバーでも、
別に珍しくも期間限定メニューでもないアボカド。


居酒屋のおつまみの定番として、
THE・ニッポン食材代表の海苔さんなんかとコラボっちゃってるアボカド。



わずか20年足らずで、
アボカドは日本国民誰もが知る、当たり前の存在になった。



エリンギなんかもっと、
全然具体的なエピソードも思い浮かばないレベルで
スッと入ってきてスッと現在の地位にいる気がする。






何千年も何万年も前からこの地球上に存在し続けていたはずのアボカドやエリンギが、

何かの拍子に、
極東の島国日本で食卓の定番として君臨する。




“何かの拍子”というのは何とも不思議なものだ。







そしてそれは、



不肖ヤマダヒロミチの立つこのフィールドにも言える。





今日ネットでバズり、

聴く人全ての青春を彩り、琴線に触れ、

後に国民の愛唱歌になる楽曲は、





今日突然ポッと湧いて出たものではなく、



その半年や1年以上前から、


そのバンドが腹を痛めて産み出した楽曲だ。





その楽曲を産み出したバンドは、




その楽曲を作る何年も前に結成され、



山あり谷ありを乗り越え、
挫折や紆余曲折に負けず、
生活苦を情熱でごまかしながら、



今日みんなに気づかれるずっと前から存在していたバンドだ。







キミの明日からを夢中にさせる音楽は、



今日この時点でもう、
この世界のどこかでキミに出会うのを待っている。






誰かに紹介されるのを待つのもいい。




図鑑に乗り、

スーパーに並び、

雑誌やテレビに取り上げられてから知るのだってかまわない。





だが、
残念ながら、




バンドは、動物や野菜とは違う。




オスのヤマダヒロミチとメスのヤマダヒロミチを繁殖させても、

卵は産まれないし、
種が繁栄したりとかしない。





生きたサーカス船のプッケは、
サーカス船のプッケの寿命の分だけ。


動くヤマダヒロミチのテラリウムは、
ヤマダヒロミチのテラリウムの寿命の分だけ。



そのイキモノの
鳴き声や足音をリアルタイムで聴けるのは、

その儚い命が尽きる日まで。






音楽界のサファリパークには、


ずっとずっとそこに居たのに、


まだキミが見たことのない珍獣がたくさん。







キミの既に知ってるものよりも、


足が短くて、

ずんぐりむっくりしてて、

酒癖が悪くて、

デッサンの狂ったモジャモジャ髪が特徴的で、


不恰好で、
よく知ってるロックスター達とは似ても似つかない、





そんなハシビロコウは、





キミに気づいてもらえるその時を、





ずっと、じっと、ここで待っている。










まぁ、



じっとしすぎてこのまま化石になってしまいそうなので、



気づいてもらえやすいように、
頑張ってジタバタしますのでよろしく!!

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