「切ない」という気持ちについて
「切ない」
…は、ぼくがとても好きな言葉であり、会話中でも
原稿を執筆する際にも、渾身の場面・箇所で
好んで使用する形容詞の一つであります。
とは言え、「切ない」をここに持ってきたら──
「なんとなくしっくりとくるかな?」
…といった使いどころみたいなものは
ぼんやり把握してはいるものの、じゃあ、
「『切ない』って…
具体的には
どういうような
気持ちのことを言うの?」
…と、問われたら、
いささか答えに窮してしまいます。
goo辞書で調べてみると、
悲しさや恋しさで、胸がしめつけられるような
気持ち。やりきれない。やるせない。
…とありました。英訳すれば「painful」──
ちなみに「やるせない」の意味は
思いを晴らすすべがない。どうしようもない。
…であるらしい。
たとえば、こんなことがありました。
季節の区切りにニューシリーズが配信される、
ぼくがこよなく愛してやまない
…の夏バージョンを、
去年ダウンロードしたときの話です。
相も変わらずの安定的なハイクオリティ!
パンダほど記号的に簡略化した「可愛らしいイラスト」に落とし込めるビジュアルキャラクターは、ほかのアニマルにはちょっと見当たりません。
ただ、そのうち一つである
「浮き輪を腰につけながら涙を流すパンダ」
…のスタンプを見て…ぼくは、なぜか急に切ない気持ちになってしまいました。
「浮き輪」という「夏のお楽しみ」を
もっとも象徴するアイテムと
「悲しい=泣く→涙」
…との対比的なティテールが、ぼくの「切なさ」と
いった感情のデジャブを呼び起こしたのでしょう。
身近なシチュエーションに例えたら…
<いよいよ今日は、二人で散々プランを練りながらず〜っと楽しみにしていた恋人との温泉旅行の当日──ところが、旅館に到着して、なにか深刻な理由で喧嘩になってしまい、泣きじゃくる彼女…。その
彼女が泣きながらもかぶっているこの日のために購入したキャップや、この日のためにせっせと荷造りしたキャリーバッグ…>
こういう本来なら「いい想い出をつくる」ためだけにせっせと準備してきたはずの無造作なアイテムから、予測していなかったスクランブル状態時──孤立的に生じる違和感に、しかもその違和感が激しければ激しいほど、ぼくは猛烈な「切なさ」を感じてしまうのです。もしくは、なんの前ぶれもなくいきなりの別れ話を切り出したとき、相手がたまたま来ていた能天気な漫画キャラがプリントされたTシャツだとか…。
「切ない」の解説としては、まだ全然物足りなくは
あるものの、このような
「胸がしめつけられるような気持ち」
…を、あんなにもシンプルなタッチで表現し尽くす
楽天パンダの作者って…
「やっぱ天才!」
…ですよね?
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