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「上等な文章」について

かつて、あの村上春樹氏が語った、
ちょっとした格言が、
ネット上で話題になったことがあります。

とある大手アパレルメーカーが運営するWEBサイトが配信していた

『村上春樹に26の質問』

…と銘打たれたインタビュー記事が発端で、
そのなかにあった

「SNSはいっさい
見ないそうですが、その理由は?」

…という質問に対する、
巨匠ならではの淀みない回答に、
多くの共感の声が寄せられておりました。

とりあえずは「その理由」
以下に紹介してみましょう。

「(SNSは)大体において文章があまり上等じゃないですよね。いい文章を読んでいい音楽を聴くってことは、人生にとってものすごく大事なことなんです。だから、逆の言い方をすれば、まずい音楽、まずい文章っていうのは聴かない、読まないに越したことは
ないんです」

いやはや、日本語をはじめとする
数々の言語に精通しきったうえで、
安定感抜群の美文をコンスタントにしたためる
春樹先生クラスの求道者じゃないと、
迂闊に発言できない

「正論中の正論」

…だと思いました。 

ただ、ぼくレベルの人間ですら、
SNSやヤフコメ欄などを長く眺め続けていると…
あまりに雑なつぶやきや書き込みが横行する、

「まずい文章」

…の垂れ流し状態に
辟易してしまうことも多々あったりします。

ここのnote他の記名連載でも、
そのいくつかのネタ元
ネット上から拾っている以上、
これらに目を通すのも
ルーティンの一環ではあるのだけれど…
もし、(コラム系の)執筆活動を
やめてしまったら、
おそらくインターネットに氾濫する文字を
読む時間はうんと減少するでしょう。

まず最初に。「あまり上等じゃない文章」
内容や主旨に関して、
とやかくケチをつける気はさらさらありません。

称賛であれ批判であれ、
であれであれ、
高尚であれ稚拙であれ、
極論であれ暴言であれ…
モノの考え方は当たり前ですが、十人十色

仮に、ゴメス的には
まったく同意できない意見
目の当たりにしたとしても、

「なるほど! こういう理屈もあるのか…」

…と、おのれの見識をより深めることはできます。

しかし、いくら

「ネットの書き込みはスピード重視!」

…とはいえ、一応は全世界に向けて
セルフアピールを公開するのだから、
やはり “入稿” する前に

「誤字・脱字をチェックする」

…くらいの作業は怠らないでほしいもの…。

その「誤り」によって伝えたいこと

「致命的に捻じ曲がってしまうケース」

…だってあるわけだし、
単純に誤字脱字だらけの文章は
読みづらくてたまりません。

仮に投稿先がヤフコメであったとしても、
文中に登場する人物の名前

「伊藤準也」(=正解「伊東純也」)
「愛撫咲」(=正解「相武紗季」)

…などと書き間違えるなんてえのも、
もってのほかです。

とくに、その人物をこき下ろす場合、
せめて凡ミスだけは徹底的に
排除するよう最大限の注意を払う──たとえ

「無記名のお気軽な投稿」

…ではあっても、
それくらいの覚悟と責任は持ち合わせてほしい。

あと、これはツイッター

「140ワード以内」

…という文字数制限による弊害だと推測されますが、
LINEとかならともかく、
SNSや公共の掲示板で1ワードを惜しんで、
なんでもかんでも漢字に変換したり、
句読点を省略するのも、
正直ぼくとしてはいただけません。

せっかく、わりと面白いことが
書かれていたとしても、
暗号解読をしているうちに
読破を放棄してしまいますので…。

とどのつまりが、どんなに陳腐な主義主張でも、
その一言一句が正確にわかりやすく
スラスラと頭に入ってくる文章こそが「美文」──
村上春樹氏がおっしゃるところの

「上等な文章」

…なのではないでしょうか?


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