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日本は中進国?——血液培養ボトル出荷調整問題より考える(前編)。


はじめに

本記事は最近のニュースを活用して、生成AIの使い方を考えることを目標に記載しています。個々のファクトチェックには配慮していますが、時々飛躍が見られる可能性があります。内容をそのまま転載することはお控えください。

血液培養ボトルの出荷調整

2024年7月3日付で、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社から血液培養ボトル出荷調整の通知がでました。本稿執筆時点で公式サイトから情報を確認することは出来なくなっていますが、下記のPDFファイルを日本感染症学会のサイトより確認することが出来ます。

https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/news/gakkai/gakkai_BD_BACTEC_240703.pdf

血液培養とは、菌血症*の有無を調べるもので、一部の感染症によってはこの検査が診断や治療効果判定に必須となっています。その検査のためのボトルの製造と出荷が調整(平たく言うと制限)されるとなれば、医療現場、特に病院での診療に大きな影響をもたらします。
上記のPDFでは「米国本社より、供給元からの同製品の原材料であるプラスチックボトルの供給に 3 ヶ月程度の遅延が発生したため、今後の製造と出荷が通常時の 50%程度に制限される見込みであるとの報告を受け」たと記載されています。

  • *患者さんの血液中に微生物(主に細菌)が存在する状態;重症の状態で生命に関わることも多い)

すでにこの問題に関しては、専門家によるディスカッションも公開されています。

影響の持続期間は?

すでに起こっていることだけでも深刻な状況ですが、これがどのくらいの期間続くのか、それもまた同様に深刻な問題です。

感染症診療に関連したところだと、エッセンシャルドラッグの一つであるオーグメンチン™の出荷調整が問題となった時、製薬会社の見解では「需要増加」ということでした。
それならば、コロナ禍とその終焉(5類感染症への移行)に伴う一過性の問題で、短期間で解決すると思われたものが、実は薬剤製造に関連した採算性等の問題や、製造過程における専門技術の問題など、相当に根深い困難が背景にあることが、厚生労働省において議論されていました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001074102.pdf

今回もこの時に相似した構造があり、簡単には解決しないのでは?
そう思い少し調べてみたところ、下記のようなサイトを発見しました。

英国NHS (National Health Service)によるサプライチェーンに関する通知で、実に日本でのアナウンスの3ヶ月以上前に公開されています。
しかも、企業から情報を右から左へ流すだけではなく国家機関としての見解を発信しています。
本稿執筆時点(2024年7月5日)で政府(厚生労働省やその下部組織)からは何の見解も示されておらず、学会が企業からの情報を伝えているだけの日本との格差には唖然とするばかりです。

このNHSのサイトの情報に関しては、神戸大学の岩田健太郎教授もX(旧Twitter)で発信されています。

問題はここからです。
上記のNHSのサイトでは 'The supply issue is anticipated to be resolved by 31 May 2024.' (この供給問題は2024年5月31日までに解決される見込みである)と記載されています。
ところが、本稿執筆時点で、この続きはどうなった?と調べてみても(「ググっ」ても「パプっ」ても)、情報を見つけることが出来ません。「パプッ」た際には、公式見解は示されていないとのレスポンスがありました。

それにしても、5月31日までに解決される見込みが外れて7月に入って、ようやく日本語での情報が発信されたというのは・・・。最近、もはや日本は先進国ではなく中進国である、というような議論をネット上でよく見かけるが、さもありなん、といったところでしょうか。

分かっていることのまとめ

  • 2024年7月3日付で、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社から血液培養ボトル出荷調整の通知が出た。

  • 発端は2023年末の悪天候による、プラスチックボトル供給状況の悪化と、血液培養の需要増加とのBecton Dickinson (BD)からの見解が発表されている。

  • 上記の見解とそれに基づくアラートが、2024年3月14日付で英国National Health Service (NHS)から公開されている。

  • 上記の供給問題は2024年5月31日までに解決される見込みとの3月時点での発信があったが、7月5日時点で解決されたとの情報は公開されていない。

上記の情報から考えると、この血液培養ボトルの出荷調整問題は、長期間続くものとして対策を考えた方がよさそうです。

後編へ続きます。


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