「精神的に身ごもる」ということ(プラトン『饗宴』から)

「ひとは誰も肉体的・精神的に身ごもっており、 ある年齢に達すると、産むことを熱望する。

しかし、産むためには、美しいものが必要である。美しいものに触れたときに初めて、かれはその熱望の苦痛から解放されて、無事に出産することができる。

精神的に身ごもっている者は、このようにして、美しいものに触れて、哲学的な知、詩作品、法律、技術的な発明品などを創りだす」

プラトンの「誰も精神的にみごもっている」という考え方はおもしろい。

美術にしても、音楽にしても、「これはいいな」という作品に出会わないと、美に触れたことにならない。特定のジャンルに接し、そうしたものへの関心、理解、信頼を深め、出産を迎える。

小さく産んで大きく育てる向きもあろう。いずれにしても、美に不断に触れ続け、すでに持っているものを花咲かせよう。






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