精巣内の精子
昨日顕微授精した卵が全て正常受精していてほっとしました。
前日の受精の結果は結構メンタルに響きます。
悪いと申し訳なさもあり切り替えが大変です。
中にはかなり割り切ってる方もいますけどね。
さぁ前回に続き、精巣内精子についてです。
精液検査で無精子症の診断が下された時、この手術をするかどうか決断しなくてはいけません。
自分の遺伝子を持つ子供がどうしても欲しい気持ちは分かります。
そうなった時に精巣内の精子を保存しておくのも良いと思います。
ただ、手術前の検査で精子がいそうなのかどうかをドクターからは説明されると思います。
大きく分けて閉塞性による無精子症と非閉塞性による無精子症で手術の内容が変わります。
先ずは閉塞性について。
精巣から精管までのどこかで詰まっているために出てこれないものです。
この方は精巣の大きさも正常範囲で、FSHと呼ばれるホルモン値も正常でかなりの確率で精子がいます。
手術も睾丸近くを少し切開し、精巣の中の精細管を一部取り出します。
ここから先の処理方法はクリニックにより異なりますが、うちでは精細管を小さく丸めて、精細管の中を培養液中に出していきます。
その後その培養液を顕微鏡下で観察し、精子がいるかどうか観察します。
いたらその液を凍結保存して奥さんの採卵の日に融解して顕微授精します。
非閉塞性だと、切開の範囲がかなり広くなります。
非閉塞性だと、精巣内全体でみるとほとんど精子が作られていませんが、時々正常に精子を作っている精細管があり、それを見つけられるかどうかになります。
なので睾丸の中全部を見渡せるくらいの切開範囲になります。
これ、同姓の自分がオペに入るとものすごく痛みがわかる気がします。
非閉塞性は精子がいたらラッキーぐらいの確率です。
我々スタッフは精細管をはさみで細かく破砕し、それを顕微鏡下で観察します。
ある程度精子がいるような精細管であれば観察もそれほど大変ではないのですが、時々、数十匹とかかなり少ない検体の方の観察は本当に神経使います。
時間をかけすぎては精子が弱ってきちゃうし、見落としもしてはいけないし。
いるといないでは患者様の人生がガラッと変わってしまいます。
いた時は我々も本当に嬉しいしです。
無精子症からの精巣内精子回収についてはこんな感じですかね。
それではまた次回。
読んでいただきありがとうございます。
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