AIHについて
精液って貯めること出来ないんです。
これ、結構知らない男性います。クリニックにきて、頑張って2週間我慢しましたとか、もっと長い人では1か月我慢してきましたとかいう方がいらっしゃいます。
これは無駄ですし、むしろ結果が悪くなる可能性あります。
逆にスパンが短すぎるのもダメです。
検査する時は3日程度の我慢で十分です。
さて今日はAIH(人工授精)についてです。
一般的に不妊で悩む方のステップとしては、タイミング療法、AIH、体外受精、顕微授精と進んでいきます。
胚培養士がお手伝いさせていただくのはAIHから。
ドクターが患者様の卵胞の大きさや血液検査の結果から排卵日を予測して、それに合わせて、旦那様の精液を培養士が調整し、奥さんの子宮内にもどすという治療です。
この精子調整法はいくつか方法があり、クリニックによりさまざまです。
うちのクリニックでは検体に合わせて、2通りで調整してます。
①液量、濃度、運動率が十分に得られる場合。
ある装置を用いて、運動精子が一か所に自分の力で集まるようにし、一定時間後集まったものを回収するもの。
②液量、濃度、運動率のどれかが不十分で、①が実施出来ない場合。
精液を遠心して、下に沈んだ運動精子が多い部分を回収するもの。
①はうちのクリニックで最近取り入れました。
理由は、ずばり遠心が精子には悪影響であると言われているからです。
遠心処理すると、精子のDNAが損傷する可能性もあり①で回収した精子よりも受精の力が落ちてしまいます。
なので出来る限り①の方法で回収しますが、やはり濃度や運動率が悪いと②の方法になってしまいます。
正直スタッフ側からの意見を言わせて頂きますと、②の調整をしなければならない方は次のステップ、体外受精や顕微授精に行くべきかなと思います。
金銭的には体外受精になると一気に跳ね上がりますし、奥さん側の負担も大きくなるので、それぞれご夫婦でよく話し合って欲しいところですが。
たまにすごく精液所見が厳しく、10回以上もAIHとトライしている方も見受けられますが、10回やるお金を体外受精1回に回せばいいのになと思うこともあります。
この仕事をやっていると、本当に子どもを授かるのって奇跡なんだなと常に思います。
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