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閃光のハサウェイOP「Möbius」の歌詞を和訳&考察してみる

唐突ですが皆様。

劇場版「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」、ご覧になりました?

めっちゃ凄かったですよね。キャラクター作画は勿論のこと、MSのCG作画、背景の描写、登場人物同士の交わりが濃く、劇場で何度でも見たくなる作品となっておりました。

さて、ではこの記事の肝は…


OPテーマ「Möbius」の和訳&考察です!


この曲、「閃光のハサウェイ」という作品全体の陰鬱としたムードをうまく表現してるように思えて、ほんと好きなんですよね・・・そんで、歌詞を和訳してみたらなんとびっくり。

本作の主題歌「閃光」よりも、更に歌詞と作品の内容の親和性が高かったんですよ(個人の感想&閃光もめちゃいい曲だし大好きです)。

いてもたってもいられなくなって、これをみんなにも伝えたい!と思い、この記事を書くに至りました。

自分は多少英語に覚えがあり、好きな邦楽や洋楽の英語の歌詞を自分なりの解釈を入れつつ和訳してみる、ということが結構好きで・・・ぶっちゃけ今回は、これを書くためにnoteに登録したと言っても過言ではない!


0・ その前に

もしかしたら、まだフルバージョンを聞いていない方もいるかもしれないので、公式がアップしているYoutubeのMVを貼っておきます。ぜひ一度聴いてから、続きをご覧ください。

また、この記事では英語の歌詞をそのまま日本語に訳すというより、自分が「作品の内容とか、歌詞の流れから見て意味はこうだろうな」と意訳をする形となりますので、単語本来の意味とは違う箇所が多数含まれます。この点をご理解の上、どうぞお楽しみください。



1・ 原文歌詞&和訳

※歌詞は「Lyrical Nonsense」様からお借りし、違っていた部分は修正しています。


1番

I could never see a winner in the game

今までの戦争で、本当の勝者はいなかった

Things have changed

時代は変わったんだ

I’ll do it for the better, for all of us

より良い世界のため、僕はやる

I’ll tear apart the dark möbius

この悪循環を断ち切ってみせる

Think of me when I am gone

もし僕がいなくなっても、どうか僕を忘れないで

The moment the light comes on

一筋の閃光が奔る時

I will use up what’s left that’s still good in me

僕は僕の中に残った全てを使い切る


They stole my joy forever

僕の喜びは奪われた

Now it’s gone, my hate will keep me warm

もうどこにも無い。怒りが僕を突き動かす

Can never forgive

許せるはずがない


Got to find (My focus)

ようやく理解した(成すべき事を)

Just find a better way (Desire)

より良い道のため(欲望が)

Gonna wail against the wind (Wail against the wind)

時代の風に逆らい叫び続ける

Until the system changes from within (System changes)

あの根深い仕組みが変わるまで

Come with me (Come with me)

一緒に行こう

Together we are strong (We are strong)

僕らならやれる

Anyway to get it done

とにかく、やり遂げなきゃ

Get it done

やり遂げなきゃ

So that I don’t have to feel sorry

罪の意識を感じずに済むように


2番

Funny how the rules will change in the game

戦場ではルールが変わるなんて、おかしな話さ

Suddenly, my heaven just collapsed in your abyss

僕はある日、君に恋をして地獄を見た

I’m running from an old nemesis

今も、過去のトラウマから逃げ続けている

Should I bring you down to earth and tell you what you are worth?

君を引き戻して、僕の思いを伝えるべきかな?

We shall do what is right so just follow me

僕らは正義を為さなきゃいけないんだ、だからただ見ててくれ


They stole my joy forever

僕の喜びは奪われた

Now it’s gone, my hate will keep me warm

もうどこにも無い。怒りが僕を突き動かす

Can never forgive

許せるはずがない


Got to find 

ようやく理解した

Just find a better way

より良い道のため

Gonna wail against the wind 

時代の風に逆らい叫び続ける

Until the system changes from within

あの根深い仕組みが変わるまで

Come with me (Come with me)

一緒に行こう

Together we are strong (We are strong)

僕らならやれる

Anyway to get it done

とにかく、やり遂げなきゃ

Get it done

やり遂げなきゃ

So that I don’t have to feel sorry

罪の意識を感じずに済むように


(サビの繰り返し)


I’ll get away when there’s no one to save

↑(ここはどうしてもどう訳せばいいか分からなかった...ゆるして)

Put on a smile and it won’t wash away

笑顔を取り繕っても、傷は癒えない

I’ll find a way

道を見つけてみせる

Live again

やり直そう

We’ll get away

共に抜け出そう

We’ll get a way together

ここから抜け出すんだ


Hope shines eternal

希望の光が絶えることはない

We can still break the circle

今ならまだ、この輪を断ち切れる

The tyranny we know

あの腐った政治のことさ、分かるだろ?

Come with me, where wild flowers grow

一緒に行こう、野花が咲く場所へ


引用元: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/mpi-laco-benjamin/mobius/#PV-MusicVideo



2・ 歌詞の考察

まずは、軽くこの曲全体の意味考察を。

自分はこの曲をハサウェイ、ひいては彼のマフティーという組織の指導者の視点からの曲だと考えました。そしてメタ的な目線で言えば、「閃光のハサウェイ」のストーリーを、結末含め体現している曲だとも言えます。

1番のAメロと、1番2番両方で共通しているサビ(正確な区分は分かりませんが、便宜上の理由でこう表現します)では、ハサウェイがマフティーの指導者としての決意表明を行なっているのかと思います。そして2番Aメロからは、ハサウェイが自分の過去に苦しめられながら、それでも進み続けている様子を見出しました。


ではここからは、自分の知識&Wikiを駆使して解説できる歌詞を抜粋し、なるべくネタバレはせずに説明していきます。



2-1・ 詳細な考察:1番Aメロ


「I could never see a winner in the game」

これはおそらく、時代設定である宇宙世紀0105年までの歴史の流れを説明しているものと考えます。

記念すべきシリーズ第1作のファーストガンダムでは、地球連邦とジオン公国が激戦を繰り広げ、結果連邦が勝利しました。しかしその後はファンの皆様のご存知の通り、連邦は腐敗していき、続編であるZガンダム(グリプス戦役)に繋がっていきます。

そして、「閃光のハサウェイ」の時代にはすっかりこの有り様。この堕落っぷりを見ていると、確かに真に勝利した者(陣営)は存在しなかったのかもしれません。 ̶ ̶勝̶利̶者̶な̶ど̶い̶な̶い̶


「I’ll tear apart the dark möbius」

「Möbius」は、ガンダムファンの方々には馴染みのあるであろう「メビウスの輪」を指します。メビウスの輪はしばし「∞」と似た意味合いを持ち、俗に言う無限ループを表すものとされています。

この作品でいう「メビウスの輪」は、おそらく世襲制によって腐敗の一途を辿る連邦政府の政治や、人間によって地球が汚染され続けている現状を指していて、ハサウェイ(マフティー)はそれを終わらせようとしていると読み取れます。


「Think of me when I am gone」

今回は「もし僕がいなくなっても、どうか僕を忘れないで」と訳しました。

この箇所では、原作でいう「マランビジー」が示唆されていると感じます。あまり詳しく説明してしまうと重大なネタバレになってしまうので、ここは原作を読んでいたり、Gジェネなどでキャラのセリフ付きで大まかな内容を追った人には伝わるであろうこの単語だけで、説明を割愛させて頂きます。



2-2・ 詳細な考察:2番Aメロ


「Funny how the rules will change in the game」

ここでは、「戦場や戦時下では、定められたルールなど簡単に変えられてしまう」と、ハサウェイが自嘲混じりに言っているのかな、と思います。

彼は以前の登場作である「逆襲のシャア」で、色々とシャレにならないことをやらかしちゃっています。


・父・ブライトが艦長を務めるラー・カイラムに密航

・民間人でありながら、勝手に軍のMSを使用する(その際、敵MSを1機撃破)

・よりにもよって連邦側(味方側)の兵士の1人を撃墜してしまう(小説版では、また違った展開となっている)


これだけのことをやっておきながら、彼が現在も日の下を歩けているのは、彼の父であるブライトが上層部に便宜を図ってくれたからであろうことは想像に難くありません。外伝漫画では、実際にブライトが上層部と取引をして彼の罪を不問とすることにしてもらったという背景が語られています。(公式設定かは不明)

虹乗れ


そんな「大人の汚い事情」によってルールが歪められた結果、自分が表向きにはこうして穏やかに生きていられているという状況を踏まえて、彼が自虐を込めてそう言っているのかと感じました。


I’m running from an old nemesis

「Nemesis」は、直訳すると「元凶」「諸悪の根源」となります。それに「古い」を意味する「old」がくっついていることから、ハサウェイを苦しめる要因である過去の出来事、すなわち前述した「逆襲のシャア」で起こった一連の出来事からくるトラウマを指していて、彼はそれから逃げているのかな、と推測しました。

また、先ほどは触れませんでしたが、彼があれらの問題行動を起こした理由は、彼が作中で好きになった連邦政府高官の娘クェスが、劇中でばったり出会ったネオ・ジオン総帥シャアに魅せられ寝返ってしまったのを連れ戻すためでした。

そして、劇場版では彼女が駆るモビルアーマーを撃墜した連邦軍の女性兵士を激情から、小説版では彼女を自らの手で撃墜して殺してしまいます。どちらの展開でも、この出来事は彼の中に深い爪痕を残していきました。


We shall do what is right so just follow me

ここでは、ハサウェイは自身のトラウマから生み出されるクェスの幻影を振り払っているのかと考えます。小説版「逆襲のシャア」の流れを汲む「閃光のハサウェイ」原作では、自分の手で彼女を殺めた経験からか、彼の夢に彼女が現れて彼を責め立てます。この歌詞はこれに基づき、幻影として現れた彼女を振り払い、「邪魔しないで見ていてくれ」と言っているのでしょうか。



2-3・ 詳細な考察:サビ(共通)

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これはかなり分かりやすく、ハサウェイ(マフティー)の決意やそれに伴う心情を表していると思います。

連邦政府の歪みを正し、世界をより良い方向に持っていくため、テロ行為を通してそれを成し遂げようとするマフティー・ナビーユ・エリンとしての彼の決意。

その一方で、彼はこれは酷い行いで、自分がしていることは間違っていると理解しています。それを振り切るようにただ前へ前へと進むことを急ぐのは、犠牲となる人々への罪悪感や、それから来るテロ活動へのためらいが生まれないようにするためかもしれません。

また、彼は誰かに「一緒に行こう」と言っています。これは同じマフティーのメンバーたちに向けた言葉か、それとも連邦軍のケネスに「勝利の女神」と評されたギギに対して言っているのか・・・(あるいは両方か)



2-4・ 詳細な考察:ラスサビ(?)

ここでは、2番でサビ部分が二回繰り返された後に来る、転調してから終わりまでの部分について語ります。一応曲構成については調べてみたけど、この部分をラスサビと言うのかな?そこら辺に関しては無知ゆえご容赦ください...


Put on a smile and it won’t wash away

「笑顔を取り繕っても、傷は癒えない」

これは恐らく、彼が表面上穏やかに見えても、その実彼の精神は過去のトラウマから疲弊し、今もそれに囚われていることを示しているのかと考えます。


Hope shines eternal

ここでは「希望は永遠に輝く」的なことを言っているため、ここもまた1番Aメロでもあった「マランビジー」を示しているのだと判断しました。


We can still break the circle

この一節における「circle」は、言わずもがな1番で挙がった「メビウスの輪」を指すものでしょう。なので、そこから抜け出すにはまだ遅くない、と言っています。


The tyranny we know

ここ、「tyranny」には「暴虐」とか「圧政」という意味がありますが、もっとどストレートに「専制政治」という意味があります。

「専制政治とは、支配者が独断で思いのままにことを決する政治である(wiki調べ)。」

これはまさしく、「閃光のハサウェイ」の時代における連邦政府の状態を指す言葉でしょう。なので、ここでは


「僕らが打倒し抜け出すべきなのは、あの腐敗した(専制)政治からだ、分かるだろ?」


と、再認識・再確認をしているのかな、と思います。


Come with me, where wild flowers grow

ここでは、「wild flowers」=「野花」が何を指しているのかが肝になってきます。

ここは様々な解釈ができます。

まず、「wild flowers」が「たくましく生きる人々」、つまりは圧政の下で生きてきた民衆のことを隠喩していると解釈する場合。

それが育ち増えているということは、彼らはマフティーの粛清によって瓦解する圧政から解放され、自由にのびのびと暮らすことができるようになる、という展望が見られます。


そして、「wild flowers」が単純に「野生の花」を指していると解釈する場合、それが咲き誇っているということは、人類が全員出払った地球で、再び自然が蘇っている=マフティーの目標が達成された未来をハサウェイが夢想しているものと考えられます。



3・ おわりに

というわけで、いかがだったでしょうか。このような記事を投稿するのは初めてのことなので、まだまだ知識はにわかながら、頑張って書いてみました。自分の知識や文章力では語れなかったり、考察できなかった部分もありましたが、少しでも楽しんで頂けたのなら幸いです。

話は変わりますが、多分この曲はガンダムAGEを例とすると「君の中の英雄」ポジで、「閃光」はアセム編だけに焦点を置いている「♯sharp」ポジに当てはまると思うんですよね。「閃光」はお話全体には合っていないかもしれないけど、劇場版第一作である今作とは親和性が凄く高いみたいな。

今後、劇場版はどうなっていくのでしょうか・・・自分はもちろん早く続きを見たいですね。特にケネスからハサウェイへの例のセリフは、是非とも劇場で聞きたい...!まあ、これは最後の第三作目での話になるのですが。


というわけで、ここまでお読み頂きありがとうございました!


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