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補聴器を子どもにどう説明するか

「お姉さん、それなぁに?」

小さな子どもが、私の耳を指差して聞いてきた。私は毎回「目が悪い人はメガネをかけるでしょ。お姉さんは耳が悪いからこれを着けてるの」とだけ答えるようにしている。

接客業をしていて、このようなやり取りは何十回も経験してきた。しかし、私の耳に興味を示す子どもに補聴器の説明をしてあげるお母さんには、まだ一度も出会ったことがない。

それどころか、私に対して「すみません」と謝るのだ。「どう説明したらいいのかわからなくて」と言われたら、それは全然気にしない。だが、大半は「うちの子が失礼なことを…」と言うのである。

それはお母さんにとっては単なる慣用句でしかないだろうが、そう言われる度に《障がいは隠さなきゃいけない事なんだ》《私は腫れ物なんだ》と感じ、1人寂しく落ち込んだ時期もあった。「普通の身体じゃなくて大変ね」とか「まだ若いのにねぇ」といった、哀れみを含んだニュアンスに聞こえてしまうのは今も変わらない。

今はまだ小さな子どもも、いつかは同じクラスで、同じ学校で、同じ職場で障がいを持った人と接することがあるかもしれない。その時のために、周りの大人は濁さずにはっきりと伝えてあげてほしい。

「目が悪い人はメガネをかけるでしょう。それとおんなじで、耳が悪い人は補聴器を着けるんだよ。そういう人もいるんだよ」と。

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