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【薬学部】卒業論文について
こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。
卒業論文は大学生活の集大成です。積み重ねてきた卒業研究の成果を記録として執筆し、ひとつの論文としてまとめます。
卒業研究や卒業論文の作成は5年生から6年生前期にかけて行いますが、共用試験や実務実習、就職活動、国試対策など、同時に進めなければいけないことがいくつもあり、卒業論文だけに集中するのは難しいところです。少しずつ計画的に進めていけるようスケジュールを管理しておきましょう。
今回は、卒業研究のスケジュールやテーマの決め方、卒業論文の書き方についてまとめたいと思います。
1.卒業論文とは
卒業論文を説明する前に、まず論文とレポートの違いを確認しましょう。一見すると大きな違いはなさそうですが、下記のような相違点があります。
レポート
テーマと結果があらかじめ決まっていて、その内容に沿って調査・分析する。
既存している参考文献を取捨選択してまとめていく。
論文
自分でテーマを決めて、どのような調査・分析が必要かを考え進めていく。
オリジナリティが求められる。
研究室での研究、実験の成果など研究の内容が求められる。
このようにレポートと論文には違いがありますが、二つに共通することは「読み手に理解してもらうために書く」ということ。読み手を想定して、伝えたいことを正確に書くことが大切です。
2.スケジュール
大学によって異なりますが、3~4年生になると研究室へ配属され、卒業研究を行います。6年次の前期日程が終わる時期に卒業論文を提出し、その後にポスター発表を行うことが一般的です。
就活や国試対策も考慮して、5年次の段階である程度の完成形まで持っていけると6年次にだいぶ楽になるでしょう。大学後半は行事が多く忙しい時期でもありますが、計画的に作成を進めておくことが大切です。
3.研究室の決め方
薬学部の研究室は内容が多岐にわたるため、どの研究室を選ぶべきか悩んでいる学生も多いのではないでしょうか。大学生活の後半は研究室で多くの時間を費やすので、研究室選びは慎重にいきたいところです。それでは、どのような基準で研究室を選ぶとよいのでしょうか。
(1)自分の将来に活かせる研究内容を選ぶ
一番大切なのは、卒業後の進路です。自分が働きたいと思っている業界(薬局、病院、ドラッグストア、製薬会社、一般企業)や職種(薬剤師、研究職、開発職、MR)などの方向性をある程度決め、そこに進むためにどのような研究に携わればよいかを考えてみましょう。また、研究室の卒業生の就職先について、傾向を調べておくと今後の参考になるので事前に質問しておくとよいでしょう。
志望する職種によっては、研究室の内容によって有利不利が生じるケースもあり、特に研究職や開発職ではそれが顕著にあらわれます。あとになって「こうすればよかった...」と後悔しないように、詳しく調べてから研究室を選びましょう。
(2)教授との相性
研究室に配属されると、研究の相談や報告会での進捗報告など、今まで以上に教授と密に関わるようになります。そのため、教授の人柄が自分に合うか合わないかを確認することはとても重要です。その教授の講義を受けてみる、先輩に評判を聞くなどして、教授の人柄は必ず把握しておきましょう。また、教授の研究分野での知名度や研究費を調べておくのもポイントです。
(3)同期や先輩などの人間関係
教授との相性と同様に、同じ研究室の先輩や同期との相性も大切なポイントです。大学生活の後半は同じ研究室のメンバーと過ごす機会が多くなるので、仲のよい友達がいると安心して通うことができます。
ただし、定員が少ない場合や人気が集中する場合は定員オーバーで一緒になれないこともあるので、その点は注意が必要です。
(4)コアタイム
研究室には必ずいなければいけない時間、すなわちコアタイムが設定されています。コアタイムの時間帯は研究室によってまちまちです。コアタイムが長いと、国試の勉強やアルバイトなどにも影響が出ます。夏休みや春休みに研究室に通う頻度も様々なので、じっくりと考えて選択しましょう。
薬剤師として働くことを志望している場合は、国試に合格することが第一となるので、試験勉強の時間を考慮して研究室を選ぶことが大切です。
4.テーマの決め方
卒業論文を作成するにあたり、もっとも大切なのはテーマを決めることです。しかし、「卒論のテーマの見つけ方が分からない」「卒論のテーマがなかなか決まらない」と悩んでいる学生も多いのではないでしょうか。
テーマが決まらないと卒業論文の作成はスタートできません。研究室の内容によってある程度の方向性は絞れますが、それだけではまだ不十分です。自分の興味があることや、疑問に思っていることを探してみるとよいでしょう。
こんなことに興味を持っているというように、まずは大きな枠でテーマを絞ってみることです。 ただし、あまりにも壮大なテーマになると後々苦労するので、常に教授との相談を重ね、アドバイスをもらうようにしましょう。
ある程度領域やテーマを決めたら、先行研究の調査を進めていきます。既に過去に発表されつくしている場合や、逆に全く先行研究がない場合など、研究を進めにくくなりますので文献などをしっかりとリサーチすることが大切です。 類似した先行研究がある場合は精読して、未解決な点やどのような主張があるのかなど様々な観点からチェックするようにしましょう。
英語の論文などを精読する必要があるケースも多いので想定よりも時間がかかることを考慮しなくてはなりません。 また、一度決めたテーマを変更するのは大きな時間的なロスが生じてしまいます。よく考え、慎重に行いましょう。
5.卒業論文の書き方
大学によってはフォーマットが用意されているケースもありますが、ここでは概要や構成など卒業論文の一般的な書き方をご紹介します。
(1)タイトル
タイトル・題名は論文の顔です。読み手に興味を持たせられるかはここで決まります。 論文のポイントを必ず入れるようにして内容を予測させ、読み手を引きつけるような工夫をしてみましょう。
「○○の研究」などのように短すぎるタイトルはNGです。具体的な内容がわからないため、引きが弱い印象を与えてしまいます。詳しい内容や研究方法、過程なども盛りまぜたタイトルにするのがポイントです。
〇タイトルの例
研究内容が分かりにくいもの
睡眠薬の研究調査
在宅医療の現状調査
食品添加物の研究
研究内容が分かりやすいもの
保険薬局における患者の睡眠状況と睡眠薬に関する満足度調査
在宅医療における薬剤師業務を評価する在宅薬学管理評価基準票の開発と現地調査
食品添加物の○○を利用した○○の改善に関する研究
(2)概要(サマリー)
概要とは論文の内容を簡潔にまとめたものです。 なぜこの研究を行ったか、どのような調査を行い、どのような結果が得られ、結論はどうなのかが簡単にわかるように記載します。この部分がうまくまとまっていないと、論文の魅力や実用性をアピールすることができません。多くの内容を簡潔にわかりやすくまとめるのがポイントです。いろいろな論文を精読し、まとめ方を参考にしてみるとよいでしょう。
(3)目次
卒業論文を書くときには、表紙の次のページに「目次」を作成します。目次は基本的に各章、節、項の見出し部分をそのまま抜き出して使用します。
(4)はじめに
論文の導入部分となる重要なポイントです。研究の動機や問題提起、予想される仮設などをわかりやすく記載しましょう。
(5)準備
この論文での用語の解説や定義、前提などを記載しましょう。
(6)結果
論文の核心部分になります。どのような仮説、問題提起に基づき、どのような研究方法でどのような結果が出たのかを詳しく記載していきましょう。結果に関しては、考察は入れずに客観的な事実に基づき記載するようにしましょう。
また、行った実験や研究データは図表などを用いることで視覚的にも見やすくなります。
(7)考察
研究によって得られた事実に対して、客観的な評価と考察を記載します。先行研究との比較や有用性に加えて、デメリットとなる「得られなかった事実」や限界についても記載しましょう。
また、どうすればそのデメリットを解消できたのかも考察できているとより深い内容のものになります。研究結果はもちろん、参考文献も引用しながらまとめると、説得力のある内容となるでしょう。
6.卒業論文の書き方のポイント
「誤字脱字」や「重複表現がある」「主語が無い」などは、うっかり見落としがちなポイントです。卒業論文に限らず、どのようなレポートや提出物に関しても基本的なルールは同じです。 ここでは、文章を作成するにあたって、気をつけなければならない点について解説していきます。
(1)「~です」「~ます」ではなく「~だ」「~である」調で
一般的な作文では文末を「~です」「~ます」調で統一しますが、論文においては「~だ」「~である」といった言い切りの形式に統一します。
また、「~だろう」「~と思われる」のような推測的な印象を与えるものや、「~と考える」「~と感じる」などの曖昧な表現は避けた方がよいでしょう。
(2)簡潔な文章を心がけ、受動態の表現は極力避ける
例えば「~と記されている」といった表現よりも「~と記してある」といった表現の仕方の方が主語と述語の関係をよりはっきりと示すことができます。事実がわかりやすい文章にして個人の主観が強い修飾語や受動態の表現は極力使用しないようにしましょう。
(3)図表にはタイトルや通し番号を入れる
論文に図表を掲載するときは「表1」「図1」など、通し番号をつけその図表について説明します。また、引用したものについては必ず出典元を明記し、他人が作成した文章や図表などを無断で使用しないように気をつけましょう。
今回は、卒業論文のスケジュールやテーマの決め方、書き方について詳しく解説しました。
卒業論文は、入学から積み重ねてきた知識や経験を、文書として執筆する大学生活の集大成です。6年間で学んだこと、研究に励んだ成果を大切に残しておきましょう。苦労したことは振り返ったとき「力」になります。これから薬剤師として社会に出た後も、物事を乗り越えていく土台となっていくでしょう。
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