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【薬学部】実務実習について

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

今回は5年生の方に向けて、実務実習についてまとめてみました。


1.実務実習とは

医療技術が高度化されるなか、国は質の高い薬剤師を養成するため、薬学部の教育課程を「6年制薬学教育」と「4期制実務実習」に再編成しました。

実務実習とは、改訂された改訂された薬学教育モデル「コア・カリキュラム」に従い、事前学習、薬学共用試験(CBT、OSCE)を経たうえで行われる参加型の実務実習です。

文部科学省が示すガイドラインには「それまで薬学部で学んできた知識・技能・態度を基に臨床現場で『基本的な資質』の修得を目指し実践的な臨床対応能力を身につける参加・体験型学習」と定義されており、薬剤師として活躍できる基本的な知識・技能・態度、そして問題解決能力の修得を目指すものであるとされています。

実習期間は、薬局実習11週、病院実習11週の合計22週。在宅医療や病棟業務など、おもに「患者体験」を重視した内容が組み込まれています。

薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂の概要 | 文部科学省(mext.go.jp)

薬学実務実習に関するガイドライン | 文部科学省(mext.go.jp)

2.実務実習に参加するためには

実務実習に参加するためには、薬学共用試験に合格する必要があります。この試験は、全国の大学で統一されており、知識を評価する「CBT(筆記試験)」と実技を通して技能や態度を評価する「OSCE(実技試験)」から成り立ちます。

【薬学部】薬学共用試験(CBT、OSCE)について|やまぶき💊 (note.com)

どちらの試験も毎年12月から1月にかけて本試験、2月後半に追・再試験が行われており、そのうち「CBT」は本試験を受ける前に体験受験を行うことが可能となっています。年間スケジュールを組み、計画的に学習するよう心がけましょう。

年間スケジュール | 薬学共用試験センター (phcat.or.jp)

3.日程

令和6年度の実習日程は以下の通りです。

・第Ⅰ期 : 2/19(月)~5/5(日)
・第Ⅱ期 : 5/20(月)~8/4(日)
・第Ⅲ期 : 8/19(月)~11/3(日)
・第Ⅳ期 : 11/18(月)~2/9(日)

2019年度より、薬学部の実務実習が3期制から4期制に変更されました。より多くの患者と接し、代表的な疾患を体験する実習期間を確保することが目的です。

実務実習のスケジュールはⅠ期~Ⅳ期制で行い、薬局実習(11週)と病院実習(11週)の2種類があります。この2期を連続で実習する必要があり、Ⅰ期で薬局実習を行う場合は、Ⅱ期に病院実習というように、続けて実習期間を設けなければいけません。

これまでの実務実習は、「事前学習」「病院実習」「薬局実習」の3つの領域に分かれており、内容が重複する部分も多くありました。しかし、現在は病院・薬局に共通している業務の評価が統一され、病院・薬局のどちらかで修得すれば、再度同じ項目を学ぶ必要はありません。重複時間を減らすことで、より多くの患者と接することができ、それによって貴重な体験を積むことができるでしょう。

3期制から4期制への変更により、実務実習の開始時期は約2か月間早まりました。そのため、条件によっては4年次の2月から実務実習が始まる学生もいます。

また、5年次の夏から冬にかけての時期は、企業がインターンシップを実施する時期でもあります。この時期は実習中心の生活になるため、自分が志望する企業のインターンシップと実務実習が被らないように、しっかりとしたスケジュール管理が必要になるでしょう。

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4.実習場所

実務実習先の薬局や病院を決める際、各地域の調整機構が受け入れ先を調整する場合と、大学独自で受け入れ先を決める2つのパターンがあります。 実務実習の受け入れ先としては、以下の「研修生受入施設基準」の条件を満たした薬局、および病院が選定されます。

【病院】
1.一般病床が概ね100床以上であること
2.認定実務実習指導薬剤師または実務経験10年以上の十分な指導力を有する薬剤師がいること
3.薬歴管理指導業務を行っていること(救命救急入院料等に関わる業務を行っていることが望ましい)
4.院外処方せんを発行していること
5.日本病院薬剤師会賠償責任保険(病院薬局契約)又はこれと同等の賠償責任保険に加入していること

【薬局】
1.保険薬局であること
2.認定実務実習指導薬剤師または実務経験10年以上の十分な指導力を有する薬剤師がいること
3.薬剤管理指導業務を行っていること
4.一般用医薬品および医療関連用品の販売を行っている薬局であること
5.麻薬小売業免許を有する薬局であること
6.在宅患者訪問薬剤管理指導届出薬局であること
7.薬剤師賠償責任保険又はこれと同等の賠償責任保険に加入していること

日本薬剤師研修センター「研修生受入施設基準」より

5.指導員

実務実習では、薬剤師としての心構えやコミュニケーションの取り方、患者さまへの対応に関することなどを指導員より学びます。 実務実習の指導員は「認定実務実習指導薬剤師」が担当し、以下を満たしていることが条件とされています。

1.病院または薬局薬剤師としての実務経験が原則として5年以上あり、実務指導の経験を有すること。ただし、日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師など実務経験を補う研鑽を積んでいる場合あるいは医療薬学系大学院修士課程を修了している場合等、には3年以上とする。なお、厚生労働省実務研修を修了している場合は、その研修期間を実務経験に算入する。

2.病院研修施設の指導薬剤師は、調剤業務、製剤業務、病棟業務、DI業務、医薬品管理業務等のすべて、又は、これらの業務のうち特定の業務について十分な指導能力を有すること。

3.薬局研修施設の指導薬剤師は、調剤、薬歴管理、服薬指導等薬局の一般的な業務、又は、学校薬剤師、薬局医薬品製造、漢方きざみ調剤、在宅患者訪問薬剤管理指導業務等、特定業務に十分な指導能力を有すること。

日本薬剤師研修センター「病院・薬局指導薬剤師基準」より

6.内容

新しい実務実習のカリキュラムは、文部科学省が定めた「薬学教育モデル コア・カリキュラム」に沿って、できるだけ多くの患者と接することができるように設計されています。

具体的には、「薬学臨床の基礎」「処方箋に基づく調剤」「薬物療法の実践」「チーム医療への参画」「地域の保健・医療・福祉への参画」の項目があり、「患者体験」を重視した実習を進めることがポイント。そのなかでも、「がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患・感染症」の主要8疾患について、実際に患者と継続的に関わることが推奨されています。

参加する学生は、指導薬剤師のもとでこれらをすべて学ぶことができますが、「疑義の確定」と「麻薬の取り扱い」に関してだけは見学のみにとどめられています。

7.持ち物

  • 白衣

  • 名札

  • 筆記用具

  • ノート

8.前もってしておくこと

実務実習先の病院や薬局について、ホームページを閲覧し、経営方針、主な処方内容、設備などを確認すること。また、それをもとに周辺知識を復習しておくこと。

例えば、実務実習先の薬局が在宅医療に力を入れていることが分かった場合、バイタルサインや介護保険について勉強しておくとよいでしょう。また、病院で整形外科病棟を担当する場合、麻酔薬や鎮痛薬について勉強しておくとよいでしょう。

9.実習中の注意点

  • 挨拶や自己紹介をしっかりすること。

  • 分からないことは聞く。

  • 指導薬剤師に教えてもらったことをさらに深掘りして勉強する。

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