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【薬学部】薬学共用試験(CBT、OSCE)について

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

4年生の方は、いよいよ実務実習に向けて準備をする時期ですね。実務実習を受けるためには薬学共用試験という試験に合格しなければいけません。薬学共用試験は知識を評価する「CBT(筆記試験)」と実技を通して技能や態度を評価する「OSCE(実技試験)」の2つで構成されており、薬学生が実務実習に臨む前に技能や態度が一定の基準に達しているかを評価するための試験です。2つの試験に合格できなければ、5年生に進級することも実務実習に進むこともできません。

なお、実務実習については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

今回は、薬学共用試験について、課題の内容や合格率、対策法など詳しく解説していきます。


1.CBTとは

CBT(Computer Based Testing)は、コンピューターを使った試験方式で知識および問題解決能力を評価する客観試験のことです。

薬学共用試験は、全国薬科大学長・薬学部長会議のもとに設置された、特定非営利活動法人薬学共用試験センターが実施・運用しています。

【問題形式】
CBTの問題は、5つの選択肢から正しいもの(まれに誤っているもの)を選ぶ形式です。1題の解答時間が1分以内となるよう、選択肢は形式の揃った、あまり長くないものにするように作られています。また、1つの問題は1個のSBOに対応する内容で作成され、複数のSBOにまたがった問題は出題されません。受験学生に共通の問題を出題するのではなく、学生ごとに異なった問題をランダムに出題することになっています。(薬学共用試験センター)

【難易度】
CBTの問題は、各分野で取り扱われる重要なキーワード、項目についての基本的知識を問うレベルとなっています。学部4年次までに学んだ基礎知識を充分に身につけていれば、特別な準備学習をしなくても正答率70~80%となるような問題を出題することを目安にしています。(薬学共用試験センター)

【出題内容】
・ゾーン1(100題)
物理系薬学(30題)
化学系薬学(35題)
生物系薬学(35題)

・ゾーン2(110題)
医療薬学(薬理・薬物治療)(60題)
医療薬学(情報系)(15題)
医療薬学(薬剤系)(35題)

・ゾーン3(100題)
基本事項(10題)
薬学と社会(20題)
衛生薬学(40題)
薬学臨床(30題)

【合格基準】
6割(310問中186問)以上正解すること。ゾーンごとの足切り点はありません。(薬学共用試験センター)

【合格率】
97.53%(平成29年度)

2.CBTの対策について

難易度は高くないといわれていても、CBTは不安なものですよね。「CBT試験で留年したくない」と考える学生の方は多いと思います。 そんな方のために、ここではCBT対策として、効率のよい勉強法をご紹介していきます。

(1)CBTに向けて勉強するメリット

CBTに向けて、頑張って勉強するメリットは、単にCBTの合格率が上がるだけでなく、以下のものがあります。

  • 実務実習を充実させることができる

  • 薬剤師国家試験に繋げることができる

(2)CBT対策

勉強法は、後述するOSCEの対策と似ますが、4年生になると大学のCBT対策の授業があると思います。それに対してしっかり取り組むことが大事だと思います。また、CBTは範囲が幅広いため、広く浅く勉強する必要があります。また、自分が勉強しやすい範囲から勉強すると、リズムを作りやすいと思います。

(3)ゾーン1、2は早めに対策しよう

CBT試験は3つの分野に分かれており、ゾーン1(物理、化学、生物系)、ゾーン2(薬理、薬剤、情報系)、ゾーン3(健康と環境、薬学と社会、実務など)のぞれぞれの分野から合計310問出題されます。

そのうちゾーン1、2は、大学1、2年生で習う基礎的な科目の範囲なので、4年生になって振り返ると内容を忘れてしまっていることが多く、他のゾーンと比較して平均点が低い傾向にあります。復習するためにも早めに着手するのがポイントです。ゾーン3に関しては、常識的な問題や、実務事前学習で実践しながら学べるので比較的高得点が取りやすい印象です。ゾーン1、2を優先しゾーン3は夏以降に復習するのも一つの方法です。

(4)体験受験してみよう

薬学共用試験センターでは、受験生がCBTを体験するため4年次の7月から9月に体験受験を行っています。本試験と全く同じ環境で試験を行うため本試験のシミュレーションにもなりますし、体験受験で出題される問題の多くは、CBT本試験でも出題されることが多いので、自分がどの程度解答できるかの指標にもなります。

試験の雰囲気や感覚をつかむためにもぜひ利用してみましょう。

3.OSCEとは

OSCE(Objective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験)は、薬学生が実務実習を開始する前に技能及び態度が一定の基準に到達しているかを客観的に評価するための試験です。OSCEは5つの領域に複数の課題があり、その中から無作為に6課題抽出され、同じ大学の受験生には同じ課題が出題されます。OSCEにおいて公平性、公正性、透明性を保つため、モニター制度を導入するとともに、外部評価者として他大学教員、薬局薬剤師、病院薬剤師が加わります。

各大学で実施する課題は、課題プールの中から無作為に抽出され、同じ大学の受験生には同じ課題が出題されます。(薬学共用試験センター)

【課題】
表に示した5つの領域には、薬学生が医療現場で参加型実務実習を実施する上で、実務実習開始前に技能・態度の修得度の確認が必須である項目を含んでいます。原則として、各領域に準備された複数の課題から1課題のみを実施します。ただし、「薬剤の調製」の領域には調剤に関する多くの項目が含まれており、基本的な調剤技能の修得度を確実に評価するために、計量調剤(散剤、水剤、軟膏剤)や計数調剤から2つの課題を実施します。したがって、1名の受験生あたり、5領域から6課題が出題されることになります。なお、1つの大学の受験生には同じ課題が出題されます。(薬学共用試験センター)

領域1.患者・来局者応対(模擬患者が参画するシミュレーションテスト):1課題
・薬局での患者応対
・病棟での初回面談
・来局者応対
・在宅での薬学的管理

領域2.薬剤の調製(実地試験):2課題
・計量調剤(散剤)
・計量調剤(水剤)
・計量調剤(軟膏剤)
・計数調剤

領域3.調剤監査(実地試験):1課題
・調剤薬監査
・持参薬チェック

領域4.無菌調剤の実践(実地試験):1課題
・手洗いと手袋の着脱
・手指の消毒と手袋・ガウンの着脱
・注射剤混合

領域5.情報の提供(模擬患者が参画するシミュレーションテスト):1課題
・薬局での薬剤交付
・病棟での服薬指導
・一般用医薬品の情報提供
・疑義照会
・医療従事者への情報提供

【出題方式】
受験生には、あらかじめ評価される項目(学習・評価項目)および知識を得ておくべき医薬品リストが公開されます。OSCEにおいては、課題ごとに「ステーション」と呼ばれる試験会場が用意されます。複数の受験生が同時に試験を行うために、ステーション内でさらに「レーン」に分割されています。

受験生は合図に従って各ステーションを順に回り、定められた「レーン」で、課題表に示された項目を定められた時間内に実施します(課題閲覧時間:1~2分、実施時間:5分)。患者とのコミュニケーション能力を評価する「患者・来局者応対」や「情報の提供」の課題では、模擬患者や模擬医師が患者役や医師役のシナリオに従って薬学生に応対します。(薬学共用試験センター)

【評価】
OSCEの評価は、各課題について2名の評価者が行います。評価者は、当該大学・学部の教員の内部評価者と、他薬科大学・薬学部の教員、病院・薬局の薬剤師の外部評価者から構成されています。

評価方法には、細目評価と概略評価があります。細目評価は、20前後の項目からなるチェックリスト形式で、「はい(良い)」あるいは「いいえ(良くない)」で評価します。概略評価は、全体の流れや円滑さなどを評価します。これらの評価は、評価マニュアルを作成し(標準評価基準の設定)、評価の標準化を図っています。(薬学共用試験センター)

また、OSCEに不合格になっても、再試験を受験することが可能です。また、進級できない事態に陥ることは基本的にありません。とはいえ、OSCEでの実技課題は臨床実習でも必要になる部分ですので、確実に押さえておく必要があるでしょう。

【合格率】
99.85%(平成29年度)

4.OSCEの対策について

CBTが学力試験であるのに対して、OSCEは医療面接や手技などの基本的臨床能力を評価する実技試験。では、そのOSCEの対策としてどのような取組みを行うとよいのでしょうか。ここでは、OSCEの対策方法について詳しく解説していきます。

(1)OSCE対策

4年生の秋学期(後期)になると、OSCEにむけて練習を行うために、学校で実習をやると思います。そこで、OSCE本番を意識して練習することが大事だと思います。OSCEの出題範囲は、学校の授業で学んできたことであり、テキストの読み込みやシミュレーションを繰り返すことが対策になります。また、友達と交代で患者役をし、手順を確認しあうのもおすすめです。

(2)出題範囲はこれまで学んできたこと

OSCEの出題範囲は、学校の授業で学んできたことであり、テキストの読み込みやシミュレーションを繰り返すことが対策になります。また、友達と交代で患者役をし、手順を確認しあうのもおすすめです。OSCEは5年生の実務実習に入る前に、薬剤師としての態度や基本的な技能を問う試験であり、総合的な実技の復習ととらえるのがよいでしょう。

(3)OSCEは加点方式

OSCEの試験は加点方式なので、緊張して固まってしまうと評価に大きく影響します。また、制限時間が設けられているため、プレッシャーを感じることもあるかもしれませんが、落ち着いて確実に対応することが大切です。

合格基準点からも分かるように、1度失敗したからといって不合格になるわけではありません。ミスを引きずらないように気持ちを切り替えて次の課題に臨みましょう。

5.まとめ

今回は薬学共通試験について解説しました。病院・薬局での実務実習前に行う試験であり、合格率は極めて高いといえるでしょう。CBTは基礎的な問題が多く、不合格するということはあまりありませんが、4年次の大切な試験です。自信がない人は早めに対策を立てて、過去の復習を進めていきましょう。OSCEは制限時間や評価者の目があり、どうしても緊張してしまうと思いますが、落ち着いて対応すれば基本的に不合格になることはありません。友達と繰り返し実技練習をするなどして、仲間と一緒に対策を立てておきましょう。

薬学共用試験に合格すれば次年度には実務実習が控えています。さらに、国試対策や卒業研究など忙しい毎日が続きますが、一歩一歩確実に進み、医療人として社会に貢献できる夢を叶えてください。

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