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Co-Writing Farmって何?(新入会メンバー宛への手紙を公開します)

 「山口ゼミ」を修了した人の中で、僕と伊藤涼がプロレベルに達したと認めた人が参加するクリエイター集団がCo-Writing Farmです。コミュニティ的な色彩が強いです。年会費があり、自分たちで運営するという意味では、高校や大学の同窓会的でもありますが、日常的に仕事に直結して自分の活動に使っていると言う意味では組合的でもあります。
 日本ではあまりない趣旨、形態のものなので、少しずつ認知が広がり、誤解されるケースも有るようです。僕が、CWFへの入会者に宛てて書いた手紙を公開しておこうと思います。メンバーが増えて、改めてフィロソフィーを共有したくて4月に書いたものですが、新メンバーが加わる9月に読み返したら、丁寧に書いているなと思いましたww
 過去に遡って、コンペに関する情報がわかり、提出されたデモテープが聞けて、そのリアクションも共有できるというのは、作曲家が成長していくために必要で十分な情報、少なくとも普通は得られないとのです。
 意外に真面目にやってるんですよ(笑)この内容がどこまでメンバーに伝わっているのか、正直心もとない部分もありますし、まだセルフマネージメントをサポートするエージェントの仕組みとしての課題もあるのですが、僕らのスタンス自体はブレずに続けています。

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Co-Writing Farmに入会するあなたに

 Co-Writing Farmへようこそ。

 山口ゼミを受講する時に、Co-Writing Farmへの入会を目標にしていた人もいるかもしれません。Co-Writing StudioのCWFグループに入ったら、中身を覗いてみて、早く次の目標を見つけてください。入会するだけでは意味がないのがCo-Writing Farmです。でもあなたがプロフェッショナルな作曲家として音楽家として活動していきたいと本気で考えるとしたら、おそらく日本で最適な環境がここにあります。自分なりに考えて、いろんなメンバーと話して、考えて、成功するために精一杯活用してください。CWFは先輩/後輩といった価値観のないフラットで一人一人が精神的にも自立したクリエイター集団です。

●山口ゼミ/CWF活動を通じて山口伊藤が目指していること

・インディペンデントでセルフマネージメントできる優秀な音楽家クリエイターを多数、輩出すること
・国内海外で歴史に残るヒット曲が作られる環境をつくること
・コーライティングを通じて国際的なクリエイターズネットワークをつくり、日本人音楽家の活動エリアを広げること
・作曲家がリスペクトされ、搾取されない(=自己責任でビジネスする)システムを日本に確立し、従来型の仕組みと連携させること
・結果的に日本の音楽をアップグレードして、国際的に日本の価値を上げること

 本気でそんなことを考えて、僕らはやってきました。

●Co-Writing Farmの変遷

 extended講座をやったのも、卒業生でCWFを始めたのも、決めて始めたわけではなく、やりながら考えていったことですが、山口ゼミを始めたときから問題意識として山口伊藤は上記の思想をもっていたので、一環した流れになっていると思います。2013年9月に1期生14名で結成されました。
 山口ゼミexの卒業時に、プロでやっていけるレベルと山口伊藤が判断した人だけ入会するという仕組みを続けて100名超になって、今でも増え続けています。「コンペに勝つ」と「コーライトの効用を広める」という山口ゼミを始めた時からの二本柱がおおむね順調に進んで、採用も増えていき、音楽業界でも存在感を上げつつあります。
 多くの業界関係者からCo-Writing Farmからのデモはレベルが高い、どの作家事務所にも負けないと(そして曲数が多くて多様性がある)と評価されるようになっています。具体の積み重ねで培った信頼であり、クリエイター集団としてのブランドです。
 Co-Writing Farmの活動がなければ、日本でこんなにコーライティングが広ってる無かったでしょう。テレビ番組でコーライト企画コーナーがが行われるほど一般化しました。コーライトはこれからの作曲家が成功していくために有益な方法であると共に、内向きでブラックボックス志向の日本の音楽業界を変えていくきっかけにもなると僕は考えています。

●コーライトカルチャーの正しい伝導

 既存の音楽、芸能ビジネスは、既得権をブラックボックスにすることによって成り立ってきました。デジタル化の進展で情報が可視化されて、世界中のあらゆる産業分野で「民主化」が進んでいます。日本のギョーカイも、もちろんこの流れに逃れられません。ところがまだその変化を理解し、真摯に受けとめることができていない業界関係者が少なくないのも事実です。長年やってきた習慣や発想を変えるのは難しいのでしょう。その状況を変えるのが、エンタータックエバンジェリストとしての山口哲一の活動でもあります。その視点でもCWFが成功してくれることは日本の音楽業界に好影響を与えると僕は確信しています。
 一方、既存の「作家事務所」は、ブラックボックスな既得権を前提として運営されているので、所属作家に伝わる情報をコントロールしたいと生理的に思っています。クリエイターが自己責任で行うコーライトの基本思想を「本能的に」拒絶したいのです。その感覚が古くなって通用しなくなっていることを理解している事務所は少ないし、頭で分かっても生理的に拒絶してしまうことも多いのでしょう。作曲家自身も「ブラックボックスの呪縛」から逃れられないケースも多いです。
 ソニーミュージックで活躍するA&R灰野一平さんが真鶴キャンプに来てくれて、コーライトの効用に感動して、ソニーミュージック六番町ビルでコーライトセッションを開催、多くの作家事務所に声を掛けたことで、業界の流れは変わっています。日本でコーライトを広めたのは、CWFだという一例です。


 CWFのメンバーは、望む望まざるに関わらず、日本の音楽界の改革者です。その自負を持つとともに、守旧派から叩かれるリスクがあることも理解して、慎重に発言、行動してください。山口ゼミで語られていることがギョーカイの普通だと思うと、失敗します。

●自分が成功するためのコミュニティ&エージェントシステム

 既にCo-Writing Farmは、山口伊藤の手を離れて、自走を始めています。僕らが離れるつもりは今のところ無いですが、居なくても回るようにしたいです。エージェント機能(株CWF)も含めて、クリエイターたちで運営する仕組みを確立したいと思っています。
 前述の「ブラックボックスの解体=民主化」が、作家事務所が成り立たなくなっている理由です。これは歴史的な必然で、後戻りすることはありません。作家自身がセルフマネージメント、セルフプロデュースできないと、これからはやっていけません。株式会社CWFは、そうは言っても自分だけだと難しい具体や事務やその他もろもろをフォローアップする仕組みをつくろうとしています。自分の問題として積極的に関与してください。作曲家に関する全てのビジネスに作曲家自身が責任を持って関わるのが(株)CWFのテーマです。ずべてを可視化しようするのはそのためです。
 外国人作曲家とのコーライトを積極的に奨励するのも本質的には同じ意味です。日本の音楽市場は著作権の徴収分配も含めて洗練、成熟していて、まだしばらく(10年とか?)「夢の印税生活」は可能な規模を保つと思われますが、市場全体の大きな成長は難しいです。欧米、アジアなど成長していく音楽市場からの収入を得ていくのが、日本人クリエイターの未来像であることは間違いありません。そのためにまずは、様々な国のプロ作曲家と一緒に作品をつくり、J-POPの制作手法を共有しつつ、それぞれの国でのヒット曲作りの流儀を肌で感じていくのが最適な方法です。幸いにも、日本以外の世界中の国でコーライトは一般的です。コーライトしていくことが作曲家の国際化にも有効な手法なのです。

 誤解しないでほしいですが、Co-Writing Farmは改革者ですが破壊者ではありません(山口自身は、自分が育った音楽業界がこのままだと壊れてしまうので、守るために変わるのだと思っています)従来の音楽業界の慣習もリスペクトしましょう。慣習を知り、その意味を理解した上で、より良くするために変えるべきところは変えていくのという姿勢です。
 そのためにも、まず一人一人が結果を出すことです。アーティストやA&Rが是非、リリースしたいと思う楽曲を、コンスタントに創っていきましょう。Co-Writing Farmがあれば、作曲家は良い曲を作ることに集中できるというのも大きなメリットのはずです。どんな時代でも状況でも、作曲家にできることは良い楽曲を創り出すことです。

 日本の音楽界を活性化し、世界中で聴かれる作品を創り続ける。そのために一日一日を大切に頑張ってください。

2020年4月4日コロナ禍のTOKYOにて           山口哲一

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 こんな想いでプロ作曲家育成プログラム「山口ゼミ」は続けています。ぶっちゃっけエネルギーは結構使うので、正直、そろそろいつやめるのか、僕の関わり方を変えるのかなにか考えたいと思っているところです。人の成長に立ち会うのは至上の喜びを感じる性格ですし、まだフレッシュに飽きずに取り組めていますが、でも、いつまでもあると思うな「山口ゼミ」ということで、受講したい人はなる早でどうぞ。今の所、3ヶ月毎に開講していて、今は31期生になっています。


モチベーションあがります(^_-)