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ストリーミングサービスの時代は旧譜比率が上がるというデータ。音楽ビジネス構造を変える変化。

●英国レコード産業協会の研究がストリーミングにおけるカタログ曲の強さを明らかに

 英国レコード産業協会(BPI)が、2019年における音楽ストリーミングに関するデータを分析した結果を発表した。        
 すべてのストリーミング再生のうち、2019年の楽曲が占める割合は21.1%で、2018年にリリースされた楽曲が占める割合は18.6%だったという。つまり、英国における2019年のストリーミングの大きな割合を占めたのは、2018年よりも前にリリースされた楽曲(60.3%)だったというわけだ。ちなみに、調査は、2019年に最も再生された、100万回以上再生された1万5千曲の分析に基づいている。       
 英国レコード産業協会によって「カタログ」と定義された楽曲が占める割合は、2018年が56.5%だったのに対して、2019年は60.3%とシェアが増加している。また、協会は、ストリーミング・チャートのトップを支配しているのは、最新の楽曲であることも指摘している。2018年以前の楽曲で2019年のトップ50位以内に入ったのは3曲のみとなっている。
また、レポートでは、いくつかのカタログ曲の再生数急上昇に、TikTokが貢献していることも述べられている。例としては、2017年にリリースされたLizzoの「Truth Hurts」、2009年にリリースされたマライア・キャリーの「Obsessed」が挙げられている。

 知りたかったデータがやった出てきました。MusicAlly JApanのメルマガの引用です。予想していた通りの方向になっていますね。"2018年よりも前にリリースされた楽曲(60.3%)だった”というのは非常に大きな変化です。欧米だと旧譜の定義を3年前にるることが多いので、なかなかデータが上がって来ませんでいたが、やはりこんな感じですね。ストリーミングサービスが音楽体験の主流になって顕著な変化の一つが「新譜旧譜比率」の変化です。パッケージ時代は、売上の9割が新譜(発売一年以内)でした。そのために「コンピレーションアルバム」や「ベスト盤」をレコード会社は必死にリリースしてきた訳です。誰でも作れるプレイリストに代替されている訳ですが、旧譜が6割というのは、個人的に思っていた感覚に近いです。
 このことは長期的に、そして構造的に、音楽ビジネスの生態系を変えていきます。これは「名曲をつくって支持が広がれば、長期的に収益が上がる」とも言えますが、「新規投資に対する回収に時間がかかるようになる」という側面もあります。いずれにしてもレコード会社が、ベスト盤等含めて新譜をリリースして、売上を上げるのが主力だった時代が終わりを告げていることは間違いありません。先日僕が主宰したMusicTechRadarで山崎弁護士は「これからの音楽ビジネスはユーザーとのエンゲージメントメントの重要性が増している」が強く述べられていました。音楽ビジネスの大きな変化を確認するニュースでした。

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