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人気アプリ開発者から事業開発、起業家育成の道へ関根佑介の軌跡

2013年9月出版の本書は、僕にとってエポックメイキングな書籍です。エンタメ分野の起業家と新規事業創出をしていくスタートアップスタジオStudio ENTREを始める原点でもあります。7年前のインタビューとその後の彼らの軌跡を追いながら日本の未来を考えます。
関根 祐介
1982年生まれ。 尚美ミュージックカレッジ卒業生。 2005年にファンクラブシステムの開発と運営を行うデータリーフに入社。 2006年、アフィリエイト事業を展開するファンコミュニケーションズに入社 し、事業開発部にて複数サービスの企画・設計に従事。2011年スパイア(現ユ ナイテッド)に入社、2013年に事業部長就任。今までに企画した主なスマート フォン向け音楽サービスは、音楽を聴きながら歌詞が確認できるスマートフォ ン向け音楽プレイヤー「Lyrica」(370万DL)や、使いやすさのみを追及した iPhone用音楽プレイヤー「Discodeer」(170万DL)、お気に入りの画像を
“ショートカットアイコン”としてホーム画面に配置出d来るアプリ「Cocoppa」 (750万DL)、DeNA社との共同事業である音楽サービス「Groovy」、がある。 その他、スマートフォン向けのUIや企画に関するセミナーへの登壇やアドバイザー等の活動も行っている。

夢はライフスタイルを変えるサービスをつくることと たくさんのお金を稼ぐこと

 僕の夢は、世界中の人のライフスタイルを変えるサービスを作ることです。人々 の時間を奪いたい。例えば、Twitter って、多くの人の生活時間を奪ってるじゃ ないですか?そういうサービスをつくって、有名になりたいし、モテたいし、サラリーマンが一生掛けて稼ぐ金額を一瞬で稼ぐという目標で起業しました。

iPhone購入者の 25%が使った音楽アプリ「lyrica」を開発

 最初に勤めた株式会社ファンコミュニケーションズという会社でつくったのが Lyricaです。iPhoneで音楽を再生しながら歌詞が見られるというアプリです。 当時、iPhoneが300〜400万台しか日本にない時に100万ダウンロードされました。4人に1人ですから、凄いことですよね。歌詞を見ながら音楽を聴くアプリというのは世界でも初めてだったそうです。今では300万以上ダウンロードされ ています。
 転職をした理由は、ウェブメディアをつくっている会社に行きたかったからで す。Lyricaがヒットしたことで、ユナイテッドに声を掛けていただけました。そ こで、サービスの発案やコンサルタントをやりながら、自分で立ち上げて運営したのが、Discodeerというアプリです。

音楽の趣味が近い人同士がスマホで ワンクリックでオススメできるように

 Discodeerも、歌詞が表示される音楽再生アプリで、Lyricaでやり残したことを全部詰め込んだ感じです。その曲の世界観に浸りたいときに、広告は邪魔でしょ? とか。
 DeNAさんが、このDiscodeerを評価してくださって、新しい音楽サービスを始めるときに、サービス設計をお手伝いしました、それがGroovyです。 discodeerを譲渡して、ベースにしてつくりました。 Groovyは、スマートフォンユーザーを対象に、音楽の趣味の近い人同士が、 簡単にオススメでできるようにしたサービスです。 を買った枚数ではなく、再生回数を集計しリアルタイムでランキングを出します。世界で流行っている曲じゃなくて、学校の中やツイッターのフォロワーのような、身内の中で流行っている曲のランキングを作りたかったんです。おすすめの曲を知った時に、気軽に聞けるような仕組みにしました。


就活では、自分を表現して売り込めば良いと思う

 エントリーシートからお願いして、会社説明会に行って、群れの中に行くのっ てすごく損じゃないですか? 自分からいったほうがいいです。自分をPRする サイトを作って売り込んで受かった人もいますよ。いくらでも表現方法はあるし、 関係者とネットでつながれる時代です。

 僕の場合は、インターネットお金を稼ぐことに興味がありました。当時、儲かるのはアフィリエイトだったんです。自分のサイトで紹介して、購入されるとお 金が入ってくる。すごい仕組みだなと思って、アフィリエイトで業界1位の会社 を受けに行きました。僕、営業はやりたくなかったんで、「サービスをつくります」って言ったんですが、受かった理由が、自分で作ったサイトがあったからなんですよ。学生時代に、Napsterというクラウドサービスのまとめサイトを作っていたら、津田大介さんやナタリーの大山卓也さんからお声がけしてもらい、自 分がやっていたサイトを軸にコネクションが広がりました。
 入社して、本当は音楽ビジネスの開発をしたかったのですが、2年間やらせてもらえなかった。検索ポータルや比較サイトを作ってたら、ようやくあいつ頑張ってるからそろそろ何かやらせてみようという空気になった。だから僕は「就職したら2年は我慢」と後輩に言ってます。そして最初に作ったのが歌詞サイトでした。当時は着うた全盛期。でも、買っても歌詞がないのが残念だなと。やってみたら、やはり需要があって、歌詞サイトでシェアナンバー1になりました。この歌詞サイトで1位とったらレコチョクで1位とれるみたいなイメージがついて、有名アーティストの広告出稿されるようになって。木村カエラさんの広告が出たときは嬉しかったですね。

スマホ時代は、 20歳前後の世代に大きなチャンスがある

 僕も、もう30 歳代になったのですが、今の10代の子たちは、環境が整った状況で生活していると思っています。例えば、スマートフォンだって、 歳のベテランから見ると出てきて4〜5年なんですよ。若い人からみたらスマートフォンが あるのが当たり前ですよね。そこで、発想が全く違ってきますよね。最近はスマー トフォン関連のビジネスが最大の注目でしょ? 大きく市場が変わる時期なので、今、 20歳前後の世代にとっては、すごいチャンスだと思いますね。 それから、若い時の人脈は大切にした方がよいですね。だんだんみんな偉くな るから。僕も最初の歌詞サイトをやっている時に、専門学校の同級生だったMAY’Sというアーティストが売れてきて、一緒に企画をやって成功しました。

新会社FOGGは、 小説『 日間世界一周』の主人公の名前 

 28歳の時にサラリーマンでは、起業している奴らに勝てないと思いました。それから、成功したときにめちゃくちゃ金持ちになりたい。それを考えたら起業しかなかったんですね。実績が出てきたので応援してくれる人も出てきたというのもあります。大きい会社に真似されたら勝てないですから、具体的にどのようなサービスでライフスタイルを変えたいのかは秘密ですが、自分のサービスをやるための起業です。いろんなサービスを作っていくと、自分が本当にやりたいサービスをやりたくなるんです。
 会社名は目指す世界観を表しています。ウォルト・ディズニーやスティーブ・ ジョブズにも影響を与えた の父とも言われるジュール・ヴェルヌ。の『八十 日間世界一周』の主人公がフィリアス・フォッグといって、1 の誤差も許さ ない人なんです。僕らグローバルで挑戦したかったし、尊敬の意味をかねて FOGGと名づけました。居心地のよくて、少人数で、やることはしっかりやる夢 のある会社にしたいです。

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<山口の眼>
 関根さんの場合は、音楽関連サービスやスマートフォンアプリでの成功体験を踏まえて起業するというケース。会社をつくり、最初のサービス開発中というタイミングでのインタビューは貴重だと思う。 Lyricaという歌詞アプリが大人気になったのは、衝撃的だったけれど、 その頃に話を聞かせてもらって、音楽ファンが何を求めているのか、どん な風に音楽を楽しんでいるのかを、彼から教わった。長く業界で仕事をし ていると音楽の作り方やマスメディアの使い方は、裏技も含めて長けてい くけれど、一番大切なのは、ユーザー視線だと思う。そういう意味で関根 さんは、音楽業界にとっても、貴重な存在だ。転職してdiscodeerを作り、 DeNAに乞われて、新しい音楽サービスGroovyのコミュニケーション設 計をしている時も意見交換をさせてもらったけれど、ユーザー行動に対す る「仮説」がきちんと立てられているのに感心した。スマートフォンが消費の窓口になっていく時代に、コミュニケーションがどう変わっていくのか、 そこで音楽サービスをどのように組み立てると、ユーザーに喜ばれ、かつプラットフォームとして収益性が望めるのか、しっかりイメージができて いた。
 これまでのスマートフォンアプリ開発者としての実績が認められて、支 援者がいる恵まれた形で起業のスタートができるようだ。行動力も持って いて、色々なところにネットワークがある。フットワークの軽さも彼の武 器だ。話をしていると物欲が強そうには見えないけれど、「大金持ちにな りたい」と公言するところも良いと思う。
新会社で立ち上げるサービスは音楽関係では無いようだけれど、時代を 予見する力と、類い希なる行動力で、世界中の人達のライフスタイルを変 えるようなサービスを生み出すことを期待している。

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<2020年の山口の眼>

 学生時代につくった「まとめサイト」が認 められてアフィリエイト会社に就職。歌詞と 一緒に楽曲を再生するというコンセプトで、lyrica、discodeer とヒットアプリを開発、 DeNA の音楽サービス Groovy を設計した という実績を持って、新たなサービスを準備中。起業する直前の貴重なインタビューです。
 このインタビュー後に、CHEERZをしっかり採算ベースに載せて、ユナイテッドに株式譲渡して、新規事業開発や起業家支援などの活動に軸足を移しているようです。「めちゃくちゃ金持ち」という目標は既に達成したでしょうから、彼がチャンスがあると言っているデジタルネイティブのZ世代に刺激を与えながら、日本のエンタメビジネスにイノベーションを与え続けてほしいなと思います。StudioENTREとしても連携していきたいです。

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モチベーションあがります(^_-)