これからの作詞家にコーライティングが有効な理由は、音楽制作のクリエイター側へのパワーシフト。
作詞家としてキャリアアップする難しさとコーライティングの有効性については以前にも書きました。
実際に、有効だという証明がされたので紹介したいと思います。山口ゼミを受講してCo-Writing Farmに入会した作詞家Mikeyのblogの紹介です。
作詞家なのになぜ作曲家を目指したのかというと、今までは別の作業として認識されていた作詞と作曲が、今や作曲家の仕事の一部となりつつあり、つまり作詞家が活躍する機会が減ってきているためです。
それなら、作曲家さんと共闘することがお互いの強みを発揮出来て採用に繋がる近道だと思ったので、山口ゼミの門戸を叩きました。2020年は作詞家と組むと結果が出るということを早く証明したくて、たくさんの方々とコーライトさせていただきました。
結果、自身の作詞コンペや個人の方からのご依頼も含めて126曲制作することが出来、その中から11曲が世に発表されました。キープや制作中のものを合わせると20曲になります。
まあ、結果を出すために一番必要なのは、「やる気」を形にしていくことだ、というのは百年前から変わらない真実なのですが、コミュニティパワーを活用するというのが重要なのもわかります。
コミュニティの重要性というのもおそらく人類の歴史と同じくらい以前からあったことだと思うのですが、テクノロジーの発展でデジタルツールを使って、コストを掛けずに便利にコミュニケーションができるようになったのが創作作業においては非常に大きいことだと思います。
改めて指摘しておきたいのが、音楽制作のイニシアティブがクリエイターサイドにパワーシフトしている現状です。
デジタル化(コンピューターの能力が18か月ごとに倍になるという「ムーアの法則」の恩恵ですね)で、録音機材コストが大幅に低廉化し、作曲家の自宅でリリースクオリティの制作が可能になりました。
コンペでアーティスト側が楽曲を選ぶという流れは変らずあるのですが、「選ぶ」だけというのがこの10年で起き、増えている現象です。
1)1コーラスのデモテープがコンペで選ばれる
2)歌詞、編曲もセットで採用され、フルコーラスの確認音源を送る
3)フルコーラスのパラデータ(DAWの全トラックの音源)を納品
するという流れで、作詞作曲印税と編曲料を作家側が受け取るという形になります。残りの制作作業は
4)ボーカルの録音とエディット
5)ミックス(TD)して完成
となりますが、作曲家側に5も委ねられ(別にギャラ発生)、レーベル側はデモを選んで、フルサイズのデモを確認して、ボーカル録音するだけで、それ以外は、クリエイターサイドが作業するというやり方が増えてきています。
「決定権」を誰が持つかは、どんなビジネスに於いても重要なことですが、クリエイティブでは「神は細部に宿る」のもまた真実です。作業がクリエイターサイドに託されることで音楽制作のパワーシフトが少しずつ、でも着実に進んでいます。
こういう具体の現状を知ると、レコーディング・エンジニアは、レコード会社に雇われるよりも、クリエイターとしてコーライティングに参加してスキルを活かす方が得策であることがわかってもらえるかと思います。以前も書きましたが、エンジニアと作曲家は連携していきましょう。というかいまやグラデーションに繋がっている職業だという認識が必要です。
海外ではアーティストと作曲家が一緒に創作をするというのが一般的です、僕らはそれを日本でも広めたくて「アーテイスト・コーライト」という言葉を使っていましたが、おそらく外国人には意味不明な和製英語でしょうww
コーライティングというのは創作の一手法でしか無いのですが、デジタル化という環境変化と相まって、音楽家同士が対等に組んで責任を持って作品を完成させるという流れが生まれているのです。
それをエイベックス松浦さんは「ゲームチェンジ」と呼んでいるのでしょう。
コーライティングができないプロの作曲家というのは存在しにくくなっているのが時代の流れです。もう7年経っているのにまだ、僕が「山口ゼミ」を辞められずにいるのは、コーライティングの普及がまだ足らないなと思っているからです。「日本におけるコーライティングの本家」という(内心ダサいなと思っている)旗が必要で無くなることが、僕にとっての「山口ゼミ」の目標になるのだなと最近思ってきました。「いつまでもあると思うな親と山口ゼミ」ということですww
まもなく1月期生応募締め切りです。
すでに自走いている「山口ゼミ」OBOGによるクリエイターコミュニティCo-Writing Farmは、着々と実績を積み上げています。
Co-Writing Farm作品のSpotifyプレイリストあります!
モチベーションあがります(^_-)