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職業作曲家の心得[3:技術編]

真似を消化して、自分の表現にする

 “学ぶ”と“真似る”は、同じ語源だそうです。どんな偉大な音楽家も最初は模倣から入ります。同じ人間ではないのですから、真似を続けているうちに必ずあなたの個性がにじみ出てくるはずです。
大成功した作曲家には、“パクリの天才”と揶揄される人も少なくありません。まずは、徹底的に真似てみましょう。

自分の得意技を見極めて、磨く


 プロ音楽家に求められるのは、その人にしかできないことです。自分の得意技がどこなのか、他人の意見も参考にしながら、見極めていきま しょう。平均点ですべてが70点というのは、この世界では無意味です。 他は10点でも、何か1つだけ120点がある人に仕事が頼まれます。特に新しい才能に対しては、総合力は求めていません。経験のあるプロデューサーやディレクターは、マイナスを埋める方法は知っています。あなたが参加することで、他の人には出せないオリジナリティが要素として1 つ増えることが期待されているのです。
 自分にしかできない得意技を持ち、磨き続けることが、プロとして成 功するための第一歩です。

苦手なことから逃げないけれど、 どんどん他人の助けは借りる


 苦手なことから逃げるのは、サボることになるので薦めませんが、そ の分野が得意の友人を見つけて、助けてもらうのはとても良いことで す。ただ、あなたがその人にとって役に立つ存在で無ければ、助けはもらえません。やはり、自分の得意技を磨くという答えが出てきますね。
 これは、山口ゼミで提唱している“コライティング”の基本的な考え方でもあります。

 『プロ直伝!職業作曲家への道』(2013年7月刊)Chapter7から

 この本は読者のデモについてアドバイスを送るという特典を付けて、アンケートを実施しているのですが、最も良かった記述というのに圧倒的にお多かったのが、「真似を消化して自分の表現にする」でした。ちょっと当たり前すぎるかなと思ったのですが、記しておいてよかったです。だいたい音楽は好きなアーティストの楽曲のコピーから始まりますし、リファレンス(参考)音源を使ってコミュニケーションしますから、音楽を聴いて真似ることが作曲家の第一歩なのです。
 ともかく得意技を磨けという提言は間違いなく正しいのですが、いつも「山口ゼミ」で話す時に付け加えるのは、「でも、何が自分の得意技が見分けるのは難しいよね?」ということです。本書の中で、こだまさおりのインタビューのあとがきで、こだまがアーティストから作詞家に転身する際に、「ディレクターの指示通りに書くのとか向いてないのでは?」と僕が言ったことを告白していますが、そのくらい、才能や適性の見極めというのは難しいものなのです。
 せめても僕が伝えるのは、何が得意なのか決めるのは、一緒に音楽制作をする相手であることが多いよ、との助言です。自分ではわからないことを他人が見つけてくれるのです。そういう意味でも、作曲家がスクエアに向き合うコーライティングという場は、自分の得意技を見極める機会になるというメリットがありますね。
 僕が確信を持って伝えたいのは、努力するクリエイターは多いけれど、「見当違いな努力をするケースが多い」ということです。自分はDAWが苦手だから頑張る、頑張って他人の同じくらいできるようになっても、何の価値もありません。少なくともプロには近づきません。実は自分が便利になるというメリットはあるのですが、それだけです。限られた時間の使い方として、得意なことを磨くのに8割以上、苦手なことには2割以下にするべきです。実施はその逆の時間配分で「頑張って」いるクリエイターが多いのです。ある程度の成功までは、バイトや仕事や学業と両立させる必要があり、効率的な時間の使い方は非常に重要です。自分の得意分野を磨くことにエネルギーをしっかり注いで、継続していく方法を是非、考えてみて下さい。

7年続いている「山口ゼミ」は、まだ続いています。オンライン講座になって、遠方からの受講が楽になりました。興味のある方は、お問合せ下さい。
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モチベーションあがります(^_-)