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NFT活用を模索する世界の音楽界。Royalと.muraの相違点。〜J-WAVEイノフェス登壇します!〜

 注目のニュースでした。世界中で同じようなことを考えてる人はいるんだな、そりゃそうだよなという感想です。

 StudioENTREで10月ローンチに向けて準備中の、NFT認証技術を活用したマーケットプレース事業「.mura(どっとみゅーら)」も原盤権や出版権をユーザーが持てるようにするという構想があります。もちろん出品するアーティストが決めて、条件設定するというのが大前提なのですが、NFT認証付きのオーディオ+アートワークのデジタルファイルを販売する際に、従来の業界用語を使うと「共同原盤」者的な立場と「共同出版」者的な立場を付与できるような仕組みを提供する予定です。

原盤を証券化して活性化を目指すROYALとの違い

 僕も早速ROYALにアカウントを作って、サイトの説明などを読んでみたのですが、非常に似ているようで、根幹になる思想や目指す世界が、Royalと.muraでは違うということもわかりました。
 前掲のtechcrunchのライターは理解力深いようで、この記述が示していますね。

NFTのスタートアップはより複雑な所有権分割を追究して、クリエイターたちが成功をファンと共有できるようにする。しかしその複雑さが、規制当局がいずれ介入する原因になるという、さまざまな憶測を招いている。2017年のICOブームでは、多くの創業者たちがSECから書簡をもらって証券詐欺を非難されたが、今回も起業家たちはそれを避けるために相当な努力が必要だ。ブラウ氏によると、同社は法律顧問と密接に協力して、コンプライアンスの完全な達成を目指しているという。

 スゴイざっくりとした説明の仕方をさせてもらうと、ROYALが目指すのは、「不動産証券化」的な市場の活性化です。所有権を分割して小口にし、二次流通の場をつくって売買を活性化させると不動産の金融資産的な価値は向上します。(専門家の方がいたらもっと上手な説明の仕方を教えて下さい)それと同じことを、音楽の原盤権をベースにやろうというのが狙いなのでしょう。面白い発想だなと思います。
 NFTは仮想通貨との相性も良いので、近年何度か合ったBitcoinの価格の急上昇に代表される「投機的なチャンス」を求めて、購入する方、注目する方も多いようです。色んな人が居ること、様々な解釈があることで新しい技術は広まり、市場は活性化するものですから、投機的な思惑の方々を否定するつもりは無いのですが、.muraは真逆の方向を目指します。
 デジタルファイルに希少性を担保できるというNFTの特性を、「コンテンツとして扱われている音楽を、音楽家自身の手で作品に戻させる」ために使うというのが.muraのテーマです。「サムネイルになってしまったジャケットをアートワークに戻す」というのがわかりやすい表現かもしれません。

音楽ファンに次世代型パトロンとして才能への再投資を促す


 投機性を極力排除した上で、音楽を愛するファンに介在してもらいます。「コモンズオーナー(CO)」という新しい言葉にその思いを託しました。音楽家や美術家が丹精込めてつくった作品を一緒に育てていくコミュニティをつくっていきたいです。COの権利を転売できる二次流通のマーケットも作る予定ですが、短期での売買は想定していません。1年から数年という単位で所有して作品の価値があがったら転売でき、そこで収益が上がれば、新しい才能の発掘のために再投資してもらう、そういうカルチャーを音楽ファンと共につくっていきたいです。古くからあるアートマーケットと美術商から学ぶべき部分もあるでしょう。以前はレコード業界が担っていた「才能への再投資」をユーザー参加型で実現するのが、「民主化」が進むデジタル時代の新しい音楽生態系(の一部)だと僕たちは考えています。

 ブロックチェーンは革命的に世の中を変えていきますが、変化のさせ方は、弁証法的です。一見、先祖帰りのように見えて、斜め上に螺旋状に進化させていくというのは田坂広志さんの予見でもあります。NFTは、21世紀にアーティストのための新たなパトロネージュの出現をさせるのだというのが、僕の時代観です。

イノフェス登壇して話します!

 イノベーティブな出来事をタイムリーに取り上げるJ-WAVE「INNOVATION WORLD」のイベント「イノフェス2021」では、今年はNFTをテーマの一つにされるそうで、スピーカーとして登壇することになりました。二日目10/10(日)の午後遅めの時間で出演させていただきます。NFTが音楽にもたらす影響と.muraが目指す世界をお話しますので、是非、チェックして下さい。

 .muraは、ご案内用の事前登録を開始しています。10月末には出品開始の予定です。参加アーティストも続々増やす予定です。発表済みのアーティストの出品作品の企画詳細も追って発表していきますので、.muraのサイトをチェックお願いします!

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モチベーションあがります(^_-)