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ストリーミングサービスが音楽生態系を根本的に再構築している今とこれから

●世界の録音原盤売上が2019年、約2兆2,509億円に成長したとMidia Researchが発表


 レコード協会の公式発表とは別に調査会社によるデータです。録音原盤売上というのは、著作権売上などを整理して、音源の配信とパッケージに関する売上、いわゆるレーベル事業の部分を抜き取った数字という意味です。メジャー・レーベル(ユニバーサル、ワーナー、ソニーミュージックの3社)は67.5%(2018年の68%から減少)、インディペンデントのアーティストは32.5%(2018年の32%から増加)を占めるそうです。驚くべきは、「アーティスト・ダイレクト(※レーベに契約していないアーティスト)」売上が2019年、32.1%成長の8億7,300万ドル(約914億3千万円)となり、市場全体の4.1%を占めたとの分析です。グローバルストリーミングサービス(Spotify、AppleMusic、Amazon、YouTube系)が音楽ビジネスの主流になり、DIY型のアーティスト活動がやりやすくなっている状況が見て取れます。Tunecoreなど自分でアグリゲーションの作業を行うことができ、配信できるツールも増えました。

 レコード産業としては、ストリーミングが牽引して、前年同期比24%増で、119億ドル(1兆2,465億円)となり、売上の56%を占めたようです。同時にストリーミングの成長は鈍化していて、ダウンロードやフィジカルの落ち幅が緩やかだったことも成長に寄与しているという指摘は、日本のレーベルにとっても参考になる(勇気をもらえる?)分析だと思います。
 いずれにしても、音楽産業がテクノロジーの力(スタートアップを中心としたITサービスやあ正しいデバイス)で、成長軌道に乗ったことと、音楽ビジネスの生態系が構造的に大きな変化を始めていることは間違いありません。それを裏付ける2019年のデータですね。インターネット上の違法ファイルによるサービスとの相克を経て、テクノロジーが音楽ビジネスを押し上げる時代になっています。レコード会社が配信会社に音源提供を忌避して、デジタル化にブレーキを踏んだことで、欧米に6〜7年遅れをとっている日本は、世界一の(中国以上の)スマホ違法アプリ天国になりながら、ストリーミングサービスの普及が遅れているという厳しい状況です。そんな日本のレコード会社も1年ほど前から、やっとデジタル化に舵を取り始めました。おおまかには欧米と同じ道を歩み事は間違いありません。テクノロジー活用とスタートアップによる活性化の波が日本の音楽業界にも広まることを期待しますし、そうなるように僕自身、注力するつもりです。

podcastでわかりやすく話します、是非、聴いてみてください!
EnterTech Street  ※spotifyやApple Musicのpodcastでも聞けます!

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モチベーションあがります(^_-)