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開催延期発表で改めて感じるFUJI ROCKの価値

●FUJI ROCK FESTIVAL’20開催延期のお知らせ

 発表から少し時間が経ってしまいましたが、 FUJI ROCK2020の来年への延期が発表されました。本当に残念ですが仕方ないですね。

 日高さんのハートのあるメッセージが素敵です。

「まだ14ヶ月も先の話だ。悔しいけど、楽しく待っていてもらいたい。」

 僕が初めてFUJI ROCK FESTIVALに参加したのは、SIONというアーティストのマネージメントスタッフとしてでした。2001年のことだったと思います。日高さんに直接、出演のお願いをした経緯もあり、前日に現地に行き、会場をぐるっと歩きました。その時の率直な感想は「男として嫉妬する」です。FUJI ROCKは「ロックフェスはこうあるべき」という謂わば「思想の具現化」です。夢が具体的に実現して、それが社会的に価値を持ち、経済的に成功する。僕は個人的にテントを張って山の中でコンサートをやることにはあまり興味無いのですが(笑)、音楽の仕事に携わる端くれとして、心の底から羨ましいと思いました。できれば自分もこういう仕事をしたいと。「嫉妬しますね」という僕の感想には、珍しくSIONも強く同意してくれていました。

 その後、観客としても含めて、何度か参加する中で、一番感じたのは、FUJI ROCKに関わる人達の「共犯意識」です。何より観客が完全に自分ごととして捉えていると感じました。ゴミの分別もきちんとされ、トイレにも並ぶ。酔っ払っている人も少なくない観客のマナーが良いのは、「何かトラブブルが起きて、来年できなくなると困る」と思っているからだと感じました。初年度(本当に富士山が見えるところで行われた)台風に直撃されて、悲惨な事態になった時に、著名な海外アーティスト達が「来年、ノーギャラでも行くから」と日高さんを励ましたという逸話は有名ですが、関わる人みんなにとって大切なイベントになっています。そして経済的にも数十億円をもたらし、夏の売り物に乏しかった苗場の街も活性化しました。

 僕はFUJI ROCKの波及効果として一番大きいと思うのは、日本に「フェス文化」と「フェスビジネス」を同時にもたらしたことです。FUJI ROCKを観た日本中のコンサートプロモーター達は、感動して、自分の地元でフェスをやりたいと動き始めます。それまで、日本にオムニバス型の音楽イベントは定着していませんでした。出演アーティストを目当てにするだけでなく、FUJI ROCKという遊び場を体験するためにお金と時間とエネルギー(体力的にもハードです)を注ぐ観客が毎年10万人近くになっています。まさに「体験ビジネス」の究極とも言えます。音楽に関わる人達はおそらく誰でも、FUJI ROCK FESTIVALをリスペクトしています。後発で始まり、邦楽ロックのメッカとなったROCK IN JAPAN FESに対しては、全くのビジネススタンスのみを感じ、出版社が始めた商売として冷淡に捉えているのとは、非常に対照的です。

 FUJI ROCKは日高さんの「思想」で、商売は二の次の判断をされるだろう僕は思っていたので、今回のCOVID-9に対してどういう打ち出しをされるかは注目していました。苗場の環境自体は、感染症対策を講じることは可能なはずです。やはり、海外アーティスト(とスタッフ)を、日本に招聘するというのは難しかったのでしょうね。

 でも、日高さんのメッセージを読んで、払い戻しする人は少ないと思います。僕もまんまと騙されていて、実は意外に商売上手なのかもしれませんね(笑)。いずれにしても、今から来年の夏の準備なんだという気持ちになると、前向きになれます。素晴らしいメッセージです。

 日本の音楽史に新しいページを作ったFUJI ROCK FESTIVALの価値を再確認しながら、暑そうな今年の夏を東京で乗り切りろうと思います。夏フェスは来年返ってくるでしょう。その時に、テクノロジーも活用しながら、フェスの経済規模、市場を広げられるような施策ができないか、真剣に考えて、日本の音楽ビジネスを活性化につなぎたいと思っています。

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