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NFT活用でサブスク時代の音楽生態系を補完するコミュニティ形成〜.muraの目指すもの

 本日プレスリリースを出しました。StudioENTREとGincoでNFTマーケット事業を開始します。本稿では本事業を開始に至った背景、思想についてまとめたいと思います。

コンテンツから作品へ。音楽におけるNFTの使い方の提示

 NFTへの注目は非常に強くなっています。旬の技術ということで、暗号資産的な文脈で資金が集まり、一部は投機的な動きになっているように感じられて、危惧しています。多くの人が注目して活性化するのは良いことですし、時にはある種のいかがわしさもパワーになるでしょう。新たな音楽活用の市場が形成されつつあります。そんな中.mura(どっとみゅーら)では、音楽家と音楽ファンが長期的な関係性を築き、経済的にも「正の循環」となることを目指して事業を開始します。
 Studio ENTREが、NFTに注目しているポイントは、デジタルファイルに希少性を担保できるというところです。デジタル化とインターネットは音楽を進化させたと僕は思っていますが、安価に大量にコピーできることで、音楽の価値を希薄化した側面もあることは否定できません。.muraでは、デジタルファイルに音楽家自身が「マスター」という証明をすることで、コンテンツと呼ばれるようになった楽曲を「作品」に戻し、音楽に思い入れを持っているユーザーと有機的な関係を築くことを目指します。

サムネイルをジャケットへ。アートワークの価値の再確認

 マーケットプレイスでは楽曲をアートワークとセットでの出品を原則とい、アートワークのクリエイターの権利も明確にしてます。デジタルサービス上で「サムネイル」として扱われるようになってしまったアートワークを長い蓄積のあるジャケットカルチャーとして取り戻すことは、作品としての音楽の価値を音楽ファンに再確認してもらう機会になると思っています。
 こんな資料でアーティストに説明しています。

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新たな音楽生態系とユーザーダイレクトファイナンス

 世界の音楽界でストリーミングサービス全盛になり、再生回数至上主義の弊害が語られるようになりました。サブスクだけでは音楽生態系として不十分という指摘はその通りで、ファンダイレクトファイナンス的な仕組みがサブスクを補完して新しい音楽生態系を形成されるのでしょう。ファンダイレクトには、クラウドファンディング、動画チャットサービスや投げ銭、ファンクラブ、などいろいろな業態がありますが、僕はNFT技術活用のオークション型マーケットに大きな可能性を感じています。

 音楽家にとっては、原盤権や出版権を保有したままで、熱量の高いファンから初期費用を調達することが可能になります。その作品からの収益をシェアするというのは、従来、レーベルや音楽出版社が果たしていたファイナンス機能の置き換えの側面も持っています。

 日本では、普及初期の事業社のブランディングと音楽ファンのトンマナが合致せず、クラウドファンディングが音楽分野で広がりませんでした。アイドル以外で採用されるケースは珍しくなってしまっています。KickstarterやIndiegogoで、5万ドルから10万ドルの調達が普通になったアメリカとは対照的です。そういう意味でも日本におけるNFTマーケットの普及は重要度が高いと認識しています。

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コモンズオーナーという新たなる挑戦

 新しい仕組みを提唱するので、レギュレーションの設定や、説明の仕方を迷ったのですが、議論を重ねた上で、「コモンズオーナー」という新しい概念を提唱することにしました。

 NFT技術によって希少性が担保された貴重なファイルを手にするコモンズオーナーは、熱量の高いサポーターであり、その作品の最初のユーザーでもあります。時には高額になることもあるであろう金額を投じて得るものは、精神的な充足感だけではありません。その作品が注目され、評価されることで、デジタルサービスからの売上の一部を受け取りますし、来年早々にローン予定の二次流通マーケットではコモンズオーナーの権利の転売も可能になります。
 転売で利益を得ることがあれば、その人には目利き力(耳利き力)があるということですから、まだ評価が定まらない新しい才能への再投資を促していきたいです。新人アーティストが、コモンズオーナーからの支持を得て、資金を獲得し、ステージを上げていく。それを多くの音楽ファンが見守っている。先輩アーティストもコラボレーションや口コミ拡散などで応援していく、そんな音楽家オリエンテッドなコミュニティを形成することが、.muraの目指す世界です。

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 .muraはプラットフォームサービスですから、ルールは設定しますが、活用方法は基本的にアーティスト側に委ねます。前述のこともあくまで「推奨案」であって、これから多くのアーティストの希望を伺って、NFTの有効活用法を相談、模索していきたいと思っています。シリアル番号を刻んだ限定枚数のアルバムリリースなどの手法がデジタルに置き換えてできるのがNFTの面白さです。いろんな企画を考えていきたいですね。
 興味のあるアーティストの方は、是非サイトのフォームからご連絡下さい!

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スタートアップスタジオの事業開発事例として

 事業アイデアを起業家と一緒にブラッシュアップして、仮説検証を終えた後に資金調達を行って、法人化していくというのが、スタートアップスタジオStudioENTREの一般的なやり方です。今回はNFT活用の有効性についての検証は十分であるし、むしろタイミングが大切だということで、ENTREの事業としてローンチします。ブロックチェーン専門スタートアップGincoとの協業です。CEOの森川くんはブロックチェーン関連の著書も多い俊英です。今年9月のローンチし、成功事例にしていく所存です。が、いつまでもStudio ENTREの事業としてやるつもりはありません。スタートアップスタジオの本分として、しっかりとした経営チームを組成して、法人化することを前提にしています。年内には体制を固めたいと思っています。我こそはと思う方は、創業チームに加わってください。まだ全ポジションで可能性あります!

  音楽ビジネスが「デジタルとグローバル」「個へのパワーシフト」と、根本から構造変化を起こしている中、.muraが果たすべき役割は大きいと自負しています。皆様の注目と応援とご意見とご参加を宜しくお願い致しますm(_ _)m

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モチベーションあがります(^_-)