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グラミー賞ノミネートアーティストに尋ねる「音楽家がビジネス意識を持つ理由は?」おそらく「プロだから」という当たり前の話です。

 starRoと初めてお会いしたのは、米国テキサス州オースティンでした。僕がCo-FounderだったSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)のJapan Factoryでパフォーマンスをお願いして、前日に食事したのが初対面です。
 NTT研究所の新技術を使って、遠隔地(日本)とオースティンをつないで、アーティストのパフォーマンスをリアルタイムでVJするというパフォーマンスをお願いしました。流石というステージでしたが、そのカッコよさ以上に、会食で腰の低い人だったのが印象的でした。成功する人って才能だけでなく、オフステージでの行動も大切だよなって思ったのを覚えています。

 LAでの生活を経て、拠点の重心を少し日本に戻したstarRoは「一周回ってわかったことがある」と語っています。その"一周"の中には、SoundCloudで頭角を現すこと、LAの音楽シーンでネットワークを作ること、グラミー賞候補になって変わっただろう環境変化などが含まれているはずです。彼の今後の活動も非常に興味があるので、いろいろ伺いたいです。
 この日は同時に、日米の音楽家のビジネスに対する意識の違いはどうなっているのか?その違いは何故生まれるのか? 日本の音楽家にビジネスマインドが育たないのは、どういう背景があり、どういう構造が理由なのか?具体的な事例と紐付けながら、掘り下げていきたいです。starRoが”一周”と呼んでいる軌跡は、多くの人に示唆を与えてくれるでしょう。 

 旧き良き日本の音楽業界は、アーティストやクリエイターをリスペクトして大切に扱ってきました。「良い音楽だけ創っていれば大丈夫だよ。あとは俺達がやるから」という姿勢は、音楽家を守ると同時に、スポイルしてきたと思います。シチュエーションによっては(正直に言うと人によっては)搾取になっていたこともあるでしょう。僕自身もその仕組の中で仕事をしてきて、音楽家のために良かれと思ってやったことが、結果としてスポイルし、ビジネス的な意識を持たずに「サボる」ことを許してきた側面もあるなと、率直に思います。
 いずれにしても、もうその仕組みは壊れています。情報にブラックボックスが作れず、アーティストとユーザーが直接つながれるプラットフォームがある時代に、従来の音楽業界人や、会社は「どんな付加価値が付けられるのか?」が問われています。率直に言うと、日本人音楽家のビジネス意識が低いことで、まだ助かっているケースも多いような気がします。
 音楽家側とスタッフは、透明性のある仕組みの上で緊張感のある信頼関係を持ち、良い音楽を創って、しっかり稼いでいく、そんな時代にするためにどうすればよいのか話し合う夜にしたいと思います。是非、ご参加下さい。

MusicTech Radar Vol.9 『日米音楽比較論』
2020年11月13日(土)19:30スタート(21:30終了予定、懇親会有)
ゲストスピーカー:starRo
ホスト:山口哲一、脇田敬

こんな活動を定期的に続けている、ニューミドルマンコミュは、2014年秋から行った「養成講座」の発展形で作られたコミュニティで、音楽ビジネスの今と未来を実践的に考え、話し合っています、興味のある方はこちらからどうぞ。


モチベーションあがります(^_-)