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振付は著作物。xRサービスとアバター普及によるマネタイズの可能性。一緒に事業化するエンジニア求む!

 とても興味深い記事でした。
 音楽からダンスの振り付けをAIが作成して、3Dキャラクターに踊らせてみるという実験です。40人のプロダンサーによる動画1万3940本で構成するストリートダンス動画データベース「AIST Dance Video Database」から機械学習させるというフレームワークだそうです。人の関節位置17カ所、24のポーズパラメーターとしてアウトプットしています。動画を見るとなかなか良くできています。

AI創作はマーケットニーズと無縁

 googleのエンジニア達らしい、時代先取りの試みですね。これまで人間の専売特許だったクリエイティブの領域で、小説や作曲、絵画などで人工知能の活用の試みが多数行われています。こういう実験は大好きなのですが、事業化という側面で言うと、人は何故、アートやエンタメを求めるのかという本質的な「ユーザーニーズ」から考える必要あります。そのことについての僕の見解は以前のエントリーをご覧ください。

著作物としての振付

 一般的には知られてないかもしれませんが、作詞作曲や小説などと同様に「舞踊の振付」は、著作物として法的に定義されています。ところが、流通のさせ方が難しいため、これまでは現実的には、著作権を発生させて、管理する仕組みや、著作物としての振付への印税的な対価は支払われていません。あくまで振付師の稼動に対する、単発のギャラです。振付料で1曲いくらと支払われるだけです。(映像などに二次使用で振付料が支払われていたら素晴らしいのですが、僕は聞いたことがありません。もし事例があれば教えて下さい。)振り写しと言われる指導やダンスレッスンがセットで発生することが多いので、それらも含めて、報酬が支払われているというのが現状です。

 3Dキャラクターは広まり、モーションデータの平準化もできつつあり、人の動きをセンサリングする技術もコモデティティかする中で、振付という著作物のマネタイズというのは有望な領域だなと思い、Studio ENTREで、新規事業の検討を始めています。
 調査を始めると僕の知識が中途半端なことがわかりました。法的には振付は著作権であると定義されているのですが、実際にこの振付は自分の著作物だと主張して公的な認知を得るのは難しいようです。独創性があるという証明が必要で、非常に困難だというのが弁護士的な見解でした。

音楽著作権との比較による事業可能性

 なるほどと思いつつ、音楽の著作権との比較で発見があります。音楽出版社もJASRAC/NexToneも、誰も音楽著作物の独創性を担保しないまま、楽曲が登録され、著作権が徴収分配されています。JASRACが70年の歴史があるようにデジタルの「デ」もインターネットの「イ」も無い頃から、性善説と業界慣習で積み上げられてきた仕組みですから当然ですが、デジタル時代には不自然です。一昨年僕たちがGincoと一緒に、経産省の助成を受けて行なったHashtuneという実証実験では、作曲家が創作終了時に、自らタイムスタンプとともに、MIDIテータ、歌詞テキストデータ、mp3ファイルと楽曲情報を登録して、実際に世の中に流通する際は、音楽出版社が上書きして、JASRAC/NexToneに登録するという仕組みです。無事に実験は成功しましたが、これがデファクトになるのはもう少し時間がかかりそうです。

 そんな音楽の楽曲流通の現状を知っている僕にとっては、振付の著作物としての流通の仕組み作りはイメージできます。一番大切なのは「お金になるか否か」で、使用料が発生しなければ絵に描いた餅です。振付データが経済的な価値を持つ世界をつくれるかどうかです。タイミングは来つつあるというのが僕たちの認識です。振付家が自分の動きをセンサーを使って取得、FBX、VRMなどのデータに変換してトリートメントして登録して、3Dキャラクターを踊らせるようなイメージです。憧れのアーティストの簡単には真似できないダンスを自分のアバターに踊らせる、それがTiktokやYouTubeでバズるし、VRやARのサービス内でアバターダンス大会が行われうというようなユースケースを作れれば、著作権使用料を発生させられ可能性があります。「ヒット曲」ならぬ「ヒットダンス」で印税が入る世界が起こり得るのです。これから広まるxRの普及とともにビジネスチャンスは広がるでしょう。

xR時代のヒット「データ」の可能性

 今回のAI振付は、おそらくその先に出てくる世界です。音楽プロデューサーがバーチャル・シンガーとバーチャルダンサーを使って世界観を作る時のサポートみたいな使い方ならイメージできますね。

 このような考え方で、ダンスの著作権化ビジネスを真剣に検討しています。現状では、モーションデータの取り扱いに長けた人に議論に加わってもらいたく探しています。
 もちろん一緒に事業を立ち上げて創業チームに入ってくれる起業家は大歓迎です!エンターテック✕起業の可能性を証明していきましょう!!



モチベーションあがります(^_-)