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ファイレクシア:完全なる統一 リミテ反省会(環境理解篇)

はじめに

こんにちは!
いつもポジティブ、山辺カフカです!

ファイレクシア:完全なる統一(以下、ONE)実装から2週間ほど経過し、17lands.comの統計データもだいぶ集まってきております。
そして、筆者はリリース前にnote・YouTubeで環境予想をしておりました(↓)

そこで、筆者のONE環境予想がどれだけ当たっていたか/外れていたか、17landsのデータに加えて、ONE環境のリミテッド(主にプレミアドラフト)を体感した経験も基に、恒例で行っている反省会を今回もやっていきたいと思います。

私事ですが、緊急帰国等も重なりまして、本記事の投稿がいつもよりだーいぶ遅れました。
今回も師匠:大やけどした節約家さんが最速でYouTube動画を上げていますので、ぜひご視聴ください!!


環境のスピード

今回も17landsのPlay/Draw Advantageというデータを参照します。(これ以降のデータ集計期間はいずれも2023/2/23まで)
このデータでは先攻・後攻の勝率差と、その環境で試合が終わるまでの平均ターン数が分かります。

当初、筆者はONE環境を、ニューカペナの街角(以下、SNC)に近い早めの環境(平均キルターン≒9.2)と予想しました。
これは、①先手有利な毒性・堕落メカニズムが環境のメインテーマになっていることに加え、②ライフゲイン効果の収録が敢えて抑えられており、③マナサポート不足で多色化も難しいためロングゲームが肯定されにくい、と考えたためです。
また、極めつけには④安い特定アーキタイプのコモンカードをかき集めたジャッカルアグロ戦術も成立しそうだという予想もしておりました。

さて、実態はどうだったのでしょうか。
以下にプレミアドラフト・シールドでのデータを、現行スタンダードのエキスパンション+アルケミー:バルダーズ・ゲート(以下、HBG)と比較して載せています。
縦軸が試合が終わるまでの平均ターン数、横軸が先攻の勝率です。
銀シンボルがプレミアドラフト、赤シンボルがシールドのデータでして、筆者予想の環境も赤色の☆で示しております。


いや、速っ!!!

プレミアドラフト環境・シールド環境ともに筆者予想よりもさらに速い、史上稀に見る高速環境(平均キルターン≒8.4!)ということが分かります。
また、先攻勝率についても筆者予想よりさらに1%高い53%と、超先攻優勢環境と言えそうです。

そこで、筆者がONEのプレミアドラフトイベントを複数回プレイして感じたこの環境の(想定以上の)速さ・先攻優勢の理由を、以下に3つに分けて記します。
事前予想でも環境が速くなる理由(先述の①~④)について触れていたので、そこで触れきれなかったポイント&想定外のポイントを中心に挙げていきます。


①1マナのプレイアブルなクリーチャーが多い

通常、リミテッドにおいて1マナのクリーチャーは評価が低くなりがちです。
これは賞味期限の問題が大きく、MtG公式でも以下のような記事まで作りリミテッドの基本的な構築のコツとして触れられています。

この記事では、採用に値する1マナクリーチャーの特徴として以下3点が挙げられています。

(A) パワー2
(B) ゲーム全体を通しての有用性
(C) 相互作用

今回のONE環境ではこの(A)~(C)のいずれかに該当する強力なコモン・アンコモンが多く見受けられます。

(A)の「パワー2」については素の状態で満たすクリーチャーは存在しないものの、「毒性1」持ちが実質的にパワー2相当である点を踏まえるとこの条件を満たします。
具体的には《這い回る合唱者》・《多汁質の頭蓋住まい》の2枚であり、先攻1ターン目に出るこの2枚が稼ぐ毒レースは馬鹿になりません。
特にコモンの前者は遭遇率も多い上に17landsの指標も優秀であり、ONE環境を定義している1枚と言えそうです。

また、毒を活用しないデッキにおいても、《進化する適応体》と《溌剌としたヒューズリング》はゲーム後半までアタッカーを担える可変スペックを有しており、特に前者は緑のトップアンコモンの一角です。

(B)の「ゲーム全体を通しての有用性」の面でも、接死を持つ《多汁質の頭蓋住まい》は有用です。
加えてこの(B)の観点で特筆すべきは《錆蔦の培養者》でしょう。
実質3ターン目からのマナ加速になるとは言え、3ターン目の4マナクリーチャー着地や2マナ×2のダブルアクションは先攻緑デッキの常套手段となっております。

そして(C)の「相互作用」に関しては、ここまで触れた5種の1マナクリーチャー全てが「毒」または「油」のシナジーも有しております
特に毒については毒殺だけでなく堕落達成や毒性持ちボーナス等の広いシナジーが期待できるため、これらのカードの採用理由として十分です。

上記のような採用を肯定する理由のある1マナクリーチャーの存在により、環境速度の加速が起きているものと考察しております。

同様に1マナクリーチャーの採用が肯定された神河:輝ける世界(以下、NEO)環境との比較は面白いです。
NEOでは主に(C)の相互作用(忍術)とその対策が目的だったことと比較しても、ONE環境の方が採用を肯定する理由が多そうです。
忍術はテンポよりカードアドバンテージを取る目的のものも多かったので、NEO環境の加速化に貢献しなかったのはそのような部分かもしれません。

カフカのつぶやき


②マナ加速戦略が有効

既に述べた①の(B)と大いに被りますが、この環境の先攻有利を助長している理由として挙げます。

先述の《錆蔦の培養者》に加えて、この環境には他に2種のマナ能力持ちクリーチャー(以下、マナクリ):《硬化した屑鉄喰らい》・《マイアの改宗者》が存在します。
《マイアの改宗者》は後攻で脆いため17landsの指標こそ若干奮わないものの、いずれのカードも3ターン目4マナクリーチャー着地というブン回りムーブに貢献します。

ここで4マナ域のクリーチャーに注目すると、赤・緑のコモンの攻撃的なクリーチャー:《煙突の突撃者》・《格子刃のカマキリ》が目に留まります。

《煙突の突撃者》は17landsの指標が出てきた際に、事前評価とのGAPを感じた人の多いカードの1枚だと思います。
(2/23時点でのGIHWRは59.6%で、全コモン中トップです)
ほとんどシナジーのないカードというだけで事前評価が低くなりがちでしたが、今回のような超高速環境において「出した瞬間に3点分の攻撃をしながら」「チャンプブロッカーを残せる」性能がドンピシャに嵌りました。
そもそもの合計スタッツも赤でありながら4マナ4/4相当あり、優秀であることは揺るぎありません。
《格子刃のカマキリ》は下馬評でも高く評価されていたと思いますが、環境のコモン・アンコモンでこれを止められるカードが極端に少ないです。
5マナ以上のクリーチャーに対しても怖気つくことなく攻撃できるこのカードのボード支配力は想定以上でした。

上記以外にもコモンの4,5マナ域には《教化案内人》《焼炉の徘徊者》《聖堂の導き手》というような肉質の良いクリーチャーが多く、下手なアンコモン・レアに頼らずとも再現性良くビートダウンできる環境と感じております。

逆に言えば少なくともマナカーブ通りにこれらのクリーチャーを並べることが至上命題であり、マナクリは土地が伸びないときの保険としても優秀な役割を担っています。

ここで敢えて「マナカーブ通り」に触れたのは、緑の、そして全色を通してのトップコモン級である《伝染病のヴォラック》にも触れたかったためです。
(2/23時点でのGIHWRは59.5%で、全コモン中2位です)
どのゲームでも都合よくマナ加速ができる訳ではないため、最低限のマナカーブ通りを保証する上でこのカードの有用性が大変高くなっています。
3/3というスタッツもダニトークンを恐れずにブロックできる優秀なサイズであり、前評判以上にいぶし銀の活躍を見せています。


③《危険な爆風》の存在

最後のポイントは、このような形で触れるべきか悩んだものの、この環境を定義する上で避けられないと考え1つのトピックスまで挙げました。

《危険な爆風/Hazardous Blast》
危険な爆風は対戦相手がコントロールしている各クリーチャーにそれぞれ1点のダメージを与える。このターン、対戦相手がコントロールしているクリーチャーではブロックできない。

過去、ラヴニカのギルド(以下、GRN)に収録されていた《宇宙粒子波》の同型再版です。
(コスモトロニックウェーブ、のルビで有名ですね)

《宇宙粒子波》も当時からそのフィニッシュ能力には定評がありプレイアブルなカードでした。
ただし、データ数が少ないとは言えGRNのプレミアドラフトにおける指標はGIHWR 54.1%と「可もなく不可もなく」なスペルでした。
ケアは必要なカードであったと思いますが、少なくとも環境を定義していたとまでは言えなそうです。

ここからは私見ですが、《危険な爆風》はONE環境に特にマッチしており、環境を定義していると思っています
17landsデータでもGIHWR 57.4%で全コモン中13位であり、3マナ以上のどの除去系スペルよりも良い指標を示しています。

まず、下馬評時点でも多く言及されていた通り、ダニトークンを一掃できるのはとても重要でした。
相手のゲームプラン(どう勝つか)を1枚で崩すことのできるカードであり、相手がなんとか堕落達成し《切歯の滑空機》で総攻撃を仕掛けたいタイミングで放つ《危険な爆風》は想像以上に強力でした。
(爆風耐性のある《這い回る合唱者》の評価は逆に上がったと言えます)

また、レアの中にはこのカード以外での対処がほぼ不可能なカードが多いことも躍進の理由と思います。
決して遭遇率の低くない通常レアカードの中にも、《沈黙を破る者、スラーン》《白の太陽の黄昏》《グリッサ・サンスレイヤー》《進化したスパイノダーム》といったボムレアが存在し、出されて頭を抱えた方は既に多いのではないかと思います。
1枚で封殺されかねない脅威に出会う確率が通常の環境以上に高い分、コモンで対策が立てられるこのカードが下手な除去カードより優先されるのは良く分かります。

最後に、詰め将棋にしやすい点を挙げます。
このカードは極端に言えば「あなたのコントロールするクリーチャーのパワーの合計が相手の残りライフ以上のとき、あなたはこのゲームに勝利する」というテキストに読み替えることもできます。
もちろん、インスタント除去等の裏目があるため厳密には異なりますが、使い勝手はかなりこれに近い印象です。
特に、インスタントタイミングでのライフゲイン手段がない点と、ライフ以外に毒でも同じ詰め将棋を行える点が、この環境特有の追い風です。
このカードは相手のダニトークン対策になる一方で、自分のダニトークンとは相性が良いのはとても面白いですね。

以上の背景で《危険な爆風》がプレイアブルどころか強力なカードと判明した結果、多くのプレイヤーがメインデッキから、場合によっては複数枚投入するようになってきています。
(筆者も最大3枚までは投入したことがあります)

このようなメタゲームになった以上、相手の《危険な爆風》ケアすら重要になってきており、ブロッカーを立たせて相手ターンを迎えるよりも積極的に攻撃をしかけることが正解のケースが増えています。

結果的に、双方の攻撃が推奨される形で、デッキの《危険な爆風》有無に関わらずキルターンが早くなっていると考察しました。


アーキタイプ別の強さ

こちらも17landsのFormat Color Ratingsからデータを参照します。

まず、以下にプレミアドラフトのタッチカラー(3色目3枚まで)有り/無し別の2色デッキの色別勝率を示します。
上段、"Two-color"がタッチカラー無し、下段"Two-color+Splash"がタッチカラー有りのデータです。

筆者は事前予想において環境の特徴の一つに「多色化しにくい」と挙げておりました。
この予想に対して、タッチカラー無しの2色デッキの勝率(55.8%)とタッチカラー有りの2色デッキの勝率(51.5%)の差が4%以上と大きいことからも、予想は当たっていたと言えそうです。

続いて、タッチカラー(3色目3枚まで)も含んだ2色・3色デッキの色別勝率データを参照します。

今回は下馬評時点で筆者としてアーキタイプ別の強弱予想を動画化しておりました。
以下に筆者による強弱予想内容の切り抜きを示します。

大外ししました、深くお詫び申し上げます。

実態は既に皆さんもご存知の通り、色別勝率で赤緑と赤白が躍進しており、次いで白絡みの白黒・緑白・白青が続く形となっております。
環境初期に比べると色別の勝率差は縮まっている傾向にありますが、青が負け組カラーなのは明確になってきております。

筆者予想を外した一番の理由は、既に述べた環境の想定以上の速さです。
カード・アドバンテージよりもテンポ・アドバンテージがはるかに優先される環境となった結果、前者に傾倒した青系のスペルが悉くアンプレイアブルとなってしまいました。

また、態々トピックスとしてまで挙げた「ミラディンのために!」(以下、ミラため)の過小評価も大きな誤算です。
コモンのミラためカードの中でも《逆棘の叩拳》だけは元々評価していましたが、《黄金守護の兜》を中心に他のミラためカードもプレイアブルだったのは想定外でした。
マルチカラーアンコモンの《刃砦の戦鞭》に至っては、GIHWR 63.1%という驚異的な指標の高さであり、神話レア・法務官まで含めた全カードで7位に位置しており、ミラためアーキタイプ全体の強化に一役買っています。
環境にマナフラ受けが少ない関係でゲーム終盤は装備コストも気になりづらく、《大顎の大司法官》・《教化案内人》のようなコモンとのシナジーも強力でした。

最後に、予想記事でも触れたジャッカル戦略についてですが、まだデータには表れていないものの、予想とは少々異なる形で成立しそうです。

具体的には、筆者が予想していた青赤油アーキタイプのジャッカル戦略は、環境Tier1になった赤緑油アーキタイプと必要なカードが被ってしまい、結果的に青赤ジャッカルは成立しにくくなっています

一方で、環境で高い勝率を上げている色がナヤカラー(白・赤・緑)の3色と分かってきた結果、卓によっては青黒のアーキタイプが空きやすくなっています
筆者が強力と予想していたコントロール寄りの青黒ではなく、青赤同様に《胆液の合成者》をアタッカーの軸とする形の前のめりな青黒増殖アグロが成立し得ます。

この青黒アグロについては、プレミアドラフト環境とは少々異なるものの、MTGAdraftツールを用いて同卓ドラフトで行われた葉寺愛祢さん主催の第51回はでらCSにて、Starmineさんが使用され優勝したリストが大変参考になります。

手前味噌ながら筆者が大会解説もさせていただきましたので、大会アーカイブ動画も併せてご視聴いただけますと幸いです。
妨害スペルの多い構成のためプレイング難度は高めのアーキタイプですが、ドラフト強者の集まる大会で結果を残したことは特筆すべきことかと思います。


カード個別評価

編集中・・・

大きく評点を変えたカードについては追って記事化させていただきます。


おわりに

以上、相変わらず雑多ですが筆者なりにこの環境の全景を言語化してみました。
まだまだこの環境は研究されていくと思うので、この理解を覆す変化が訪れ、再度記事にする必要が生じることを期待したいです。

ここまでご一読いただきありがとうございました。
次回、この環境理解を基に、個別カードの中でも下馬評を覆したカード達にスポットライトを当てた記事も執筆したいと思います!

それでは!また次回記事か配信でお会いしましょう!
バイバイ、さよなら、再見

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