さすがにそれは…。池内さおり氏の「女性差別」ツイートに思うこと
私はこれまで共産党に対して、特段ネガティブな印象を持っているわけではない。しかし、昨日、Twitterのトレンドにもなり話題となった池内さおり元衆院議員の「女性差別」ツイートには強い違和感を持った一人である。
結論から言わせてもらうと、電車の乗車時にぶつかったとされる一般人の男性に対して、池内氏がどこまで配慮してツイートしたのかということだ。池内氏はご存知の通り、次期衆院選に東京12区から出馬予定で、すでに共産党本部から公認されている公的な立場の人間だ。その彼女がネットで発信するということは、一定の拡散もされ影響を与えることは予想できたはずだ。
この件に関して、ライターの小川たまか氏が池内氏に確認したとして、「ホームドアの横で、邪魔にならない位置に立って待っていたところ降りてきた男性からぶつかられた。」と発信している。池内氏が最初にツイートした内容と違うと指摘もあるが、この話が本当なら、一方的にぶつかってきた男性に非があるのは間違いない。では、小川氏はぶつかったとされる男性から、もしくは近くで見ていた第三者からも状況を確認したのだろうか?池内氏が“そういっているから”だけであれば、断定するのは難しい感じがする。大河ドラマ『篤姫』の名言「一方聞いて沙汰するな」といったところだ。驚いたのは、その小川氏のコメントを日本共産党の公式Twitterアカウントが引用して、事実はこうだと発信していたことだ。
さらに驚いたことがある。所属する共産党にとどまらず、社民党までもが公式のTwitterアカウントで池内氏を擁護する発信をしていた。共産党アカウントは、その社民党のツイートに「心強いツイートです。ありがとうございます。」と引用リツイートしていたが、明らかに池内氏に非はなく、悪いのはその男性だと喧伝しているように思えてならない。
私が感じた違和感はそこだ。ぶつかってきたとされる男性の立場になって考えてみたいと思う。自分にも非があったと反省しているかはわからないが(もしかしたら、しているかもしれない)、ある日の出来事が急にネットで話題になり、不特定の多くの人から女性差別と揶揄され、最低の人間だと罵られる。自分からは状況を説明したり弁明することもできない。さらに、今の時代、近くにいた人が動画や画像をおさえていたらどうなるか。ネット上で、自分の顔が出回り犯人探しがはじまる。そして、特定するまで追い続けられるかもしれない。そんな日々の生活に恐怖を感じ、それが原因で心身に影響がでるようなことになったとしたら…。仮定の話ではあるが、その時に池内氏はどのように対応するのだろうか。「女性差別」する人間が悪い、当然の報いだとでも言うのだろうか。マナー違反と犯罪は明らかに違う。私には自分の影響力を行使して、一般人に対し“あなたは犯罪者だ”と決めつけているように見える。
先日、大阪で共産党阪南地区委員会(大阪府岸和田市)の矢野忠重副委員長が、40年来の支持者と装って、複数の公明党大阪市議に、条例案に反対するよう求める文書をファクスしていたとニュースになった。今回の件も、池内氏は“今の政治が悪いから”と「政権批判」と絡めてもツイートしている。政党や政治家のような公的な立場の人間が、自分たちの主張を通すためなら手段を選ばないとなれば、それこそ民主主義への冒涜ではないだろうか。
池内氏が訴える「女性差別の撤廃」や多様な価値観の共有を目指す「ジェンダーの問題」。私も大賛成だ。もっと政治がリーダーシップを持って取り組まなくてはならない課題だと思っている。しかし、仮に今回のツイートが自身の主張を盾に、怒りにまかせて軽々に発信したものだったとしたら、池内氏に人権を語る資格はないのではないか。特に影響力を行使できる、公的な立場にいる人間には冷静な対応が求められる。とにかく、真実がはっきりしない中で、犯人探しや執拗な批判等がされないよう、早めに沈静化することを願ってやまない。
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