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Jリーグ2021。地方クラブの未来は⁈

2021年シーズンのJリーグは、残り4試合を残して川崎フロンターレの連覇が決まった。2019年の4位を挟んで、5シーズンで4回の優勝。まさに"驚異的"としかいいようがない強さだ。しかも、今夏に三苫、田中碧の両選手が移籍し主力が抜ける中で価値ある優勝といえる。

欧州の各リーグを見ても優勝するチームは戦力がずば抜けている。レアルマドリードやバルセロナ、PSG、マンチェスター・シティー、ユヴェントス、バイエルン・ミュンヘンなどのビッククラブは、実力や資金力、人気など全てにおいて他を圧倒している。Jリーグはというと、スタジアムをサポーターで埋め尽くす浦和レッズ、首都をホームにするFC東京、大企業がサポートする名古屋グランパスや横浜F・マリノス、チームのブランド力を高め有望な若手選手を獲得してきた鹿島アントラーズや川崎フロンターレが有力だが、世界のビッククラブと比較すると物足りなさを感じてしまう。

その中で、近年、かつてない積極的なクラブ経営を行っているのがヴィッセル神戸だ。今年8月、日本代表FWの武藤、大迫両選手らの新加入選手会見で、三木谷浩史会長は「経済的にもサスティナブルになるのが目標」と述べつつ、今後も継続的な大型補強へ強い意欲を示した。その上で、Jリーグの可能性についても言及し、「日本のサッカーレベルは上がってきている。経済はサッカー先進国の中でも大きい。将来的にJリーグが、プレミアリーグ(イングランド)、ラリーガ(スペイン)、ブンデスリーガ(ドイツ)に並べる可能性があると強く信じている。」と、経済大国である日本のサッカーリーグだけに、今後ますます実力が伴ってくれば、世界中から有力選手が参戦するだろうと意気込んだ。

私はこの三木谷社長の野心的なビジョンに、いちサッカーファンとして驚愕した。Jリーグの位置付けは今も未来も、日本人選手に限らず、世界に挑戦するための“ステップアップ”リーグだと思っていたからだ。こんな発想を持つオーナーが2、3人出てきたら、今後、Jリーグの勢力図も大きく変わるだろうと感じた。

いよいよJリーグも、クラブの二極化が進むのか。今期、残留争いをしているチームをみると、大分や仙台、徳島、湘南など地方に拠点を持つクラブチームが多い。横浜FCは同じ横浜に横浜F・マリノスという絶対的なクラブがあるし、サッカーどころと呼ばれた静岡の名門・清水エスパルスも、近年、残留争いに巻き込まれるなど苦戦している。

今回、このテーマでnoteを書こうと思った理由が、この残留争いの中に、私が心から愛してやまないクラブがあるからだ。毎年、リーグ開幕時には、残留はもちろん、今期こそ上位に食い込んで、あわよくばACLに出場をと意気込んで応援がはじめる。しかし、毎年のように現実は厳しい。少しでもチーム状況が嚙み合わないと連敗がつづき、試合を見ていても勝てそうな気すらしなくなってくる。そして、いよいよ降格が目の前に迫ってきた…。

Jリーグの理念や地方クラブの意義は決して悪くはない。地域の人々に愛され、試合のある日に向けファンの間ではワクワク感が共有され、選手との交流や地域とクラブが一体になった取り組みなど、日常になくてはならない存在として定着している。しかし、資金力に乏しい地方クラブは、毎年のように主力選手や有望な若手が移籍(引き抜きにあう)し、レンタル移籍してきた選手も経験を積んで所属クラブに戻っていく。近年のクラブ経営を見ていると長期的なビジョンが見えず、その場しのぎの補強をしているような印象は拭えない…。皆、なんとなくわかっていても、なかなか改善が難しい状況だ。

サッカーはプロ野球のようにドラフト制度がないため、新人選手の加入や補強はクラブの裁量権で行える。資金力や人気のあるクラブは、日本代表クラスのビックネームや高校年代の有望選手の獲得も可能だ。つまり、公平な戦力保持を是としないのがサッカー界の常識であり、よりJリーグがそうなっていっても決しておかしな話しではない。

では、地方クラブに未来はないのか。決してそうは思わない。世界のクラブにはアカデミー世代を強化し、他のビッククラブから移籍金を得ることで経営を安定させている”育成型クラブ”も少なくない。たとえば、小さい頃から応援するチームに入りたいと、その地域の高校や大学の選手が定期的に入団するなど、地域に根差した選手の獲得方法があっても面白い。子ども達に夢を与え、その地域で育った選手が、日本また世界のビッククラブで活躍していく。ここに喜びを感じつつ安定した経営を図ることも、サッカークラブとしてあるべき姿だと思う。

今後、それぞれのクラブが何を目指すのか。巨大資本を生かし、常に優勝争いするビッククラブになるのか。クラブ規模を維持しつつ、常にJ1リーグで定着を目指すのか。それとも育成型クラブを目指すのか。また、サポーターはクラブに何を望むのか。優勝できるような強いチームを応援したいなら、応援するクラブの選択肢も変わってくるのではないだろうか。地方クラブのサポーターとして、今後もどういう気持ちでクラブと向き合っていくべきなのか。そう自分に問いながらでないと、降格という現実とは向き合えない気がしている。

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