ハムスターとの思い出~ハムスターあなたは幸せ?~真剣に討議した高校時代
ハムスターを外で散歩させていた話を以前記事にしました
この経験も関わってくるのですが
高校時代、生物部に入ってそこで飼育されていたハムスターたちと生物部部員の真剣な討議について記事にしておこうと思います
生物部に入る
私が高校に入学し、1週間くらいたったとき
隣の席の男の子がキャベツを丸ごと1個 机に置いていたので
(なんだ? 朝食か? 昼食か? 母に頼まれて朝買い物してきたか?
なんにせよ、なにかドラマ性を感じる…)
初めて話しかけました
「なにそれ ファンキーだね」(←話しかけ方が独特すぎて変人だとピンときて生物部に誘ったと後に告白されました)
「これに興味があるなんて、いいね。どう? 生物部に入部しない?」
(キャベツへの答えを見事にかわしながら、自分の目的へ誘うw)
私はバスケ部に入ることを決めていたので、すぐに断りましたが泣き落としにあい、入ることになりました。(←押されると弱いタイプ)
生物部は部員が全員卒業し、1年生の彼しか部員がおらず(入部したとたん部長)、絶滅の危機に瀕していたのです
※ちなみにキャベツはハムスターと亀の餌でした(どちらも生物部で飼育)
その後、私もナンパ形式で部員を落とし、部長は相変わらず泣き落とし作戦で、5名(1年生だけ:部として存続できる最低人数確保)の部になり、晴れて存続です
(変人が変人を呼んだのでみんな変態 顧問の先生がこんなに面白い部員は生涯お目にかかれないだろう、と褒めているのか けなしているのかわからないがよく言われた)
ハムスターと再び出会う
生物部にはヒドラがわんさか、亀が1匹、ハムスターが4匹いました
ハムスター4匹のうち、オスが2匹 メスが2匹
性別で分けて2つのゲージで飼育していました
そのハムスターたちにもまだ名前がついていませんでした
顧問の先生が、「名前つけてあげてよ (以前の部員は)ABCDって呼んでいて、実験動物みたいでいやなんだよね」と私たちに依頼してきました
みんなでそれぞれ名前を考えて、結果、私が考えた四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)のそれぞれの名前を頂くことになりました
私が外で散歩させていた話を披露すると
顧問の先生が、
「それはいいね。外に行くのは無理だけど、毎日部室を散歩させてみたら?」
と提案してくれました
「けっこうハムスター速いから、気を付けたほうがいいよ。隠れるところたくさんあるから、家具の裏とか入らないようにしておかないと」
と私は経験から提案しました
「コードとか、かじっちゃうらしいから、そういうのもよけといたほうがいいよ」
とかみんなも一生懸命本などを読んで(その当時ネットなどはありません)ハムスターが安全に走り回れるよう、環境を整えました
走らない⁉
そして、いざ本番
「すごいダッシュするからね! みんな目を離さないで!!」
とはいえ、5人いるので1匹に対して1人以上で見ていられるし、空き地よりは狭く囲まれた空間だから大丈夫かもね、と思っていました
ところが
ハムスターは走りませんでした
とつぜん広い世界に出され、きょろきょろするばかり。
しばらくすると、慎重に、慎重に、ほふく前進レベルの歩み
顧問の先生はわかっていたみたいで
「どうしてだと思う?」
と問いてきました
初めての世界でびっくりしてる
危険がないか警戒してる
走ったことがないから走り方を知らない
(ゲージの中には回し車はありましたが平面を滑走はない、という意味)
たくさんの意見が出ました
顧問の先生はさらに問うのです
「どっちが幸せかな」
幸せ??
(きょとんとする部員)
せっかく5人いるんだし、環境も整えたし、広いところで駆け回るほうがストレスがなくなる、だから幸せだということになり散歩は継続されました
しだいに慣れてきたハムスターたちは
縦横無尽に部屋中を駆け回るようになり、ガードしたと思っていた家具の裏に入り込んでしまったり、壁を駆け上がっていく子が現れたり、ハムスターの身体能力に驚かされることも多く、部員も毎日の散歩を楽しんでいました
幸せだったハムスターとのふれあい~新しい命~
もっと広いところに連れて行ってあげたいと
横並びにある生物室(授業で使う部屋)も開放してあげようと盛り上がりました
部室と生物室を繋げている扉を開放し、さらに散歩フィールド範囲が広がります
いつしか、ハムスターの危険ポイントもわかったのである程度俯瞰して散歩を見守るようにもなりました
男女混合で散歩させているため、いろいろな営みもあり
白虎が妊娠しました というか、いつのまにか出産しました
10匹くらい生まれて、全員飼うのは無理なので募集をかけて、2匹残してもらわれていきました
そこからは、男女が一緒にならないように見ていないといけない、と観察ポイントが増えました
そして、ある日事件は起こりました
朱雀の死
散歩時間も終わり、ハムスターを全員連れ戻したと(手の中に確保して、部室に戻る)思い、部屋と部屋の間の扉をハムスターを持っていない生徒が閉めようとした時
朱雀が生徒の手からジャンピング脱出して、部室から生物室へ向かったのです
朱雀は閉まろうとしていた扉に運悪く挟まってしまったのです
しかも、朱雀が走りこんできたので
扉を早く閉めないと! と思い切り力強く閉めた その扉に…
ぎゃっ
朱雀のつぶれるような、今まで聞いたことのない鳴き声がしました
もうみんな半狂乱です
そのとき顧問の先生は不在でした
慌てて職員室に走る部長
大泣きして騒ぐ女子
びっくりして他のハムスターを放してしまい、また慌ててみんなで追いかける
朱雀はぐったりして、大きな呼吸をしています
朱雀~ 朱雀~
みんなで泣きながら朱雀をさすりました
職員室に顧問の先生はいなかったと部長が戻ってきて
とにかく病院に行かないといけないと
自転車で動物病院にいくことに
ネットもない時ですから、どこにあるかもわかりません
とにかく飛び出し
道行く人に「動物病院はありませんか!」
と泣きながら訴える高校生の自転車集団(←今想像するとシュールw)
10分ほどかかる場所に動物病院がありました
レントゲンを撮ってもらい
腰の骨が折れていると言われました
いくらかかってもいいから治してほしい
部長がいいました
医師は、
小動物は無理です
なにもできません
どこにいっても、無理だと思います
経過を見守るしかできません
残念そうに言いました
どうしたらいいんですか
どうしたらいいんですか
もう助からないと思います
歩くことができなくなるし、もしかしたら食べて、消化して、おしっこやうんちをする、ということもできないかもしれないから
ええええええええええええええええええええええええええ
私たちがしてきたことは…葛藤
朱雀は数日で亡くなりました
どうして四神の名前になんかしてしまったのか
ひとりでも欠けてしまったらだめなんだよ
みんなが自分を責めました
散歩なんて言い出さなければ
部屋を広げようなんていわなければ
もっとぎゅっと朱雀を捕まえていれば
扉を強く閉めなければ
慢心していたんだ
守らなきゃいけなかったのに
自分たちによって安全にもなるし危険にもなる
こんな自分たちに飼育する権利あるのかな…
朱雀は幸せだったのかな
何が幸せなんだろう
もう何が正解なの…
ハムスターを通じて
あの愛くるしい姿からの癒されはもちろん
生命の誕生、そして本来のダイナミックな身体能力が動物には備わっていること、飼育するとは、安心安全とは、責任をもつとは、できることできないことがあること
幸せって
そして死
いろんなことを知りました
そのたびに、みんなで話して
でも もうわけわかんなくなりました
顧問の先生に
「あんたたちは 常にまっすぐで一生懸命で 愛があるね
だから、朱雀は幸せだったと思うよ」
と言ってもらって
しぇんしぇ~いい(先生といってる)
とみんなで先生に抱きつきました
(高校時代の私たち、かわいいなw)
【後日談】
その後、後輩ができ
私たちが卒業するとき
後輩たちは「私たちはハムスターを散歩させません」
と宣言されました
後輩たちの時代には、その時代のドラマがあったのだろうと思う
なにかを愛しむ、育てる、共に生きる、なんなんでしょうね
幸せってなんでしょうね
答えは一つじゃないですね
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