見出し画像

竹久夢二小林かいち展に行った


竹久夢二小林かいち展に行ったヨ

入口


もともと大正ロマン系のイラストが好きで。中原淳一とか。黒目が大きくてまつ毛が長く赤くて小さな唇に細身で曲線的な体つき細くて白い指。カラフルでお洒落な洋服。モダンでおしゃれでポップで可愛い。

竹久夢二はどこで知ったんだったか…、作品はなんとなく知っていて、作者の名前と結びついたのは最近だ。

はっきり思い出せるのは高校の修学旅行でひめゆりの塔に行った時、竹久夢二の作品を元にしたハンカチだか小物入れだかが展示されていたことだ。イラストの愛くるしさとそれがここに展示されているわけの残酷さに胸が詰まった。

さて、そんな竹久夢二の特別展が近くであるというので行ってみた。小林かいちのことは存じ上げなかったのでほぼ竹久夢二目当て。かいちって名前がいいね

写真傾いたりしてんのは飲み込んでください。
写真のタイトルもテキトーです。


グラフィック黎明期ということで、当時最先端のブーム?女の子たちの間で大流行りだったらしい。絵を買うってハードルがグッと下がったんじゃないかな?
浮世絵文化があるからもともとそんな高くはないだろうけど。この頃はまだ木版画らしい。
小学生のころメゾピアノとかズッ友みたいなやつ大流行りしたよね。そんな感じかしら。

竹久夢二は写真OKだったので刺さったやつをバシバシ撮った。

若き夢二

まず夢二ドーン。いい男だよなぁ。コレで大卒早稲田、詩をかいたり絵を描いたりしてたらそりゃモテるでしょうな~。
高橋一生とか野田洋次郎に似てる。


画集の後付け

これはフクロウがいいな〜と思って。
夢二は自分の画集の装丁やら総合プロデュースをしてたらしい。全部やりたいタイプだったのかな。

自分の画集なら普通なのか?

黒船屋

んでこれ、有名なやつらしい。
夢二っぽい顔だな。題材はザ・美人画だが顔とポーズがめちゃくちゃにモダン。
鼻と唇は浮世絵のテイストに近いけど、目と眉毛が圧倒的に違う。当時はふっくらとした女性の方が好まれていたらしいが、夢二の描く美人はほっそり華奢、女の子たちはみんな憧れたんじゃなかろうか。
アンニュイな顔でとても好き。


玉椿

コレも有名らしい。
いやーテキスタイルも出来のかいや。
超かわいい。これ一回木版できたら強い。この柄の風呂敷買っちゃった。


酒をのむ女

これもめっちゃよい。より西洋画に影響を受けてる感じ。主線が現代っぽい。

一座の娘

に対してこちらは夢二っぽくないな〜と思ったやつ。吊り目がちな美人画。構図がめっちゃ好き。これはこれでめっちゃ良い。こういうのも描けるやね。
一座の看板娘が題材だったか。


小路

そう今回の展示では、夢二といえばの美人画だけでなく、童子画(合ってる?)、風景画も見れたので熱かった。これめっちゃいいよなー。線の選び方と手書きの歪みレベルがちょうどよい。
ポストカード欲しかったゼ…

ミアミショーア

そしてこれ!夢二はセノオ楽譜の表紙絵?も担当していたそうだ。このシリーズがめちゃくちゃいい。うさちゃんのロゴもかわいい。
すんごいポップよな〜版画の良さが全面にでていて平面の良さ全開。
字から構図から何から全部いい。

フェドラ

構図神。余白。柄。

海邊の別れ

この海邊の表紙もめっちゃいい。二人のポーズがさぁ…切なさ溢れてるよな…上のイラストに比べて主線が曖昧なのと色味が深くて全くテイストが違うイラストになってる。




肉筆の手紙があって-写真撮りそびれちゃったんだけど…!-
今夜踊るので待宵草のレコード貸してください。って内容の。良すぎる…

でその待宵草がこれ。

待宵草

こーれめっちゃお気に入りですね。
左上のエピソードも含めて。
このひとの立ち姿が良すぎる。足の組み方、顔が赤らんでて手の所在がなくて絡めてもじもじしてる感じ。きゅんきゅんする…
夢二はこの曲を恐ろしく気に入ってしまったらしい。


旅の巻

これは夢二の画集の表紙、意外とちっちゃい。文庫本ぐらいしかない。
にしてもスーパーポップな絵を描く。
なんというかアニメーションって感じ


柿の木の歌

またこれは子供向けの雑誌のイラストを担当したもの。かなりロングシリーズ。
1番刺さったやつ。夢二は詩歌もやったそうだが、そちらに見切りをつけ絵に移行したそう。詩歌の世界を絵で表すことに心を託した。詩を書く時はゆめ・たけひさ名義だったのかな


三味線草

これはまた画法がガラッと変わって。絵入り小唄集の表紙と裏表紙のセット。輪郭線なし。野獣派っぽい色使いと色の入れ方だなと。いろんな画法を取り入れるチャレンジをしていたのかしら。

逆に、木版でほっそい主線を入れることの方が異常なのかも?。だって木を削って版を作って、色ごとに分けてずれないように刷ってく訳でしょ…


浮世絵チック

これは浮世絵っぽい。構図がいい。夢二の美人画もベースは浮世絵にあるんだろうか。

童画のゾーンに入った。夢二は美人画で有名だが、子供をモチーフにした画もたくさん描いている。
無垢な顔を描くのが上手いな。

お伽噺

これは今回見た中で1番お気に入り、おそらく親子の絵。この頃には二人子供がいたそうだ。


タイトルなーんだ

これは上の絵の隣にあって、最高だな!となったやつ。タイトルがいいんだこれ。タイトル当ててほしい。
キッズの顔が素朴で良すぎる。

ねむのき

これはねむのきという、夢二が童歌をまとめて本にしたもの。挿絵、口絵全て夢二が手がけた。
四季をテーマにした口絵で、ローマ字で文章が寄せてある。歌の一節か。季節ごとに植物をオーバーラップする構図が良い。

ねむのき

こちらは表紙と挿絵。
色の使い方が最高。二色でこんだけバリエーション作れんのね。

童話

んで今までのは木版画で刷られたものですが、これは原画です。
夢二が世界のおとぎ話をまとめた方を出そうとしていたけど、ボツになってしまって、それで世に出ることが叶わなかったイラスト。下書きの線や、修正の跡がそのまま残っていてアツい。描く過程が残っている絵を見るの、好きです。

帰る鳥

鉛筆、肉筆画。帰る鳥を見ている。
指先が繊細。随分と淡く優しい柔らかい線を鉛筆で書いた後に細いペンか、鉛筆で細かく書き足している。
サインが桃みたい。

パラダイス双六

六双スイダラパ。動物がいい。白熊とお化けの木が絶妙だね。

お母さんは一回休み。

これは正月ようの家族双六。一回休みのコマがよかった。犬のポチと猫のお玉ようの駒もある。

少年と犬

これめっちゃいい。少年と犬。
童話モチーフだったか…
こういう構図好きなんだよな…
赤、青、クリーム色の取り合わせもいい。

首いわすて

これは江戸見物の絵。すごい良くない?
おとっつぁんはこれ子供に何してんの?耳掴んで持ち上げてるとしたら怖くない?

帯に薔薇

これは帯に詩と薔薇を描いたもの。個人的に、これぞ、日本の抒情と詩情って感じがする。帯の裏に…物語の奥行きが…

秋の掛け軸


掛け軸になるとこんな感じなんだね。合う。掛け軸のフォーマットから浮いてないけど顔の描き方に夢二が出ていてよい。美人画って感じがするわ。

句の掛け軸

これは句と絵の構図とモチーフが良くて。なんとなく正月っぽい。



ここからは夢二のパーソナルな部分。

どことなく挑発的

美人だ。かつ夢二と別れた後玉の輿。表情がいい。

晩年、世界を廻る。が、だいぶ苦労した挙句病気が悪化、帰国後すぐに亡くなってしまった。
高原療養所での作品だろうか、見舞いという絵があった。伏せる男性とそばで顔を覆う女性。

横顔

このひとが夢二をつくったんだろう。
横顔が絵にそっくりである。絵が彼女にそっくりなのか…。
清野菜名とヘレナボナムカーターを連想しました。

晩年の夢二

いい男だ
夢二としてはまだまだやる気だったろうに、当時にしてもはやい別れ。





続けて小林かいちの展示。
同時期に活躍した画家で、長い間、性別没年作品数など全てが謎であったが、遺族が名乗り出たことによって近年、経歴が明らかになった。しかし未だに作品のタイトルやかいち作品であるかどうか確実ではない作品もあるようで、作品の写真は撮ることができなかった。
お土産はあったので-これは確実にかいちの作品なのだろう-それを撮ったもの。

かいち作品 トランプ

良いな。直線的だがしなやかで構図が面白い。女性の表情は描かれておらず、嬉しそうにも悲しそうにも見える。

当時は震災ハガキと呼ばれる、資源の削減のために通常のハガキよりも二回りほど小さいサイズで発行されたものに絵を印刷した絵葉書が大流行りしていたそう。
特にかいちの描いた絵葉書や絵封筒は大人気で、谷崎潤一郎の小説『卍』に登場するほどだ。


かいちは女性、星、キリスト教のモチーフ、ハート、トランプ、ピエロなどのテーマを好み、どことなくダークな絵が多かった。女性の顔は描かれないが、項垂れたポーズやうずくまるポーズなどで心情を表現していた。

また、色使いは黒、紺、赤、白と言った原色で水彩やグラデーションといった曖昧な色使いではなく、はっきり塗り分けるようなグラフィック的彩色であった。

彩色による奥行き、立体感がないにもかかわらず、小林かいちの作品は奥行きがある。
階層的なモチーフの配置によって、奥と手前が意識づけられるのが印象的だった。

絵葉書を扱う版元が京都にあったようで、舞妓や京の街並みといったモチーフも扱っていた。修学旅行のお土産に大人気だったそう。

晩年は再び友禅の図案家としても活躍し、72で亡くなっている。長生き

何度か結婚している。


二人の画家の作品が同時に展示されている以上、比べて考察せざるを得ない…

曲線的な夢二に対して直線で描くかいち。アール・ヌーヴォーとデコに影響を受けたものとして見事な対比だ。

晩年の過ごし方やなくなった年齢、女性関係など、作品だけでなく人間性としても対比があるようでおもしろい。

私は柔らかく明るい色彩を好むのと曲線が好きなので、アール・ヌーヴォーひいては竹久夢二の方が好みであった。
しかし小林かいちの作品に関しては扱うモチーフや切り絵的な直線のデザイン、物憂げなくらい雰囲気から、力一を連想したため、とても興味深く思った。

かいちの作品は絵封筒数点と絵葉書がほとんどだったため、もっと作品を見てみたい。


おわり

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?