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脳卒中の歩行の研究


近畿中央大のプレスリリースにリンクが張ってあります

近畿中央大学ニューロリハビリテーション研究センターから「脳卒中患者の日常生活環境における歩行制御の異質性」という研究のプレスリリースが出ています。
リンクは上の画像に張っておきますね。

この研究によれば、脳卒中患者の歩行制御モデルは、

1.中等度の脳卒中患者(歩行の非対称性と不安定性が高い場合)は、主にケイデンス(時間あたりの歩数)に基づいて歩行速度を調整する群。
2.軽度の脳卒中患者で、歩幅に基づいて歩行速度を調整する群。
3.軽度の脳卒中患者で、歩幅とケイデンスの両方に基づいて歩行速度を調整する群。

の3つに大きく分類できるそうです。それらの研究の上で、以下のように書かれています。
「脳卒中患者における特徴的な歩行障害間の相互作用を理解し,異質性を明らかにすることは,個別性の高い精密リハビリテーションの基礎となります.」

この研究は良いなぁと思うのですね。(*^_^*)

科学の研究に於いては、再現性が重要となります。誰が何処でやっても同じような結果が出せるという事を実現するには、なにかしらの要素を抽出して、介入し結果を導き出す必要があるのです。
例えばEBMにある、脳卒中患者のリハビリテーションとして用いられるトレッドミルトレーニングを行って期待される結果というのは、歩行速度の向上/歩行持久力の向上/歩様の改善/歩行自立度の向上/麻痺側下肢の運動機能の向上などです。
歩様の改善はどの様に科学的な要素としてどの様に研究・分析されたのかはちょっと解りませんけれど、まぁ、こういった要素を引っ張り出して、結果としているのです。
まぁ、これは一定の範囲の脳卒中患者さんに対してトレッドミルトレーニングを行うと、そういった結果が出ますと云うことなので、余り患者さんの個別性を反映したものではないですよね。
このように、脳卒中リハビリテーションにおいて、個別性を取り入れながら科学的に考えて行くというのはある意味相反した要求に応える必要がある、つまり、誰でも同じような結果が出来るという科学的目標と、患者に個別性が存在しているためここに最適化されたアプローチを証明していく云った事を同時に処理する必要があるという事になるのです。
(何だか表現しにくいですね(^_^;))

この研究は、たぶん、今までのリハビリテーションに関わる科学的手法では、脳卒中患者の個別性が充分反映されていないと云う仮説から始まっているのでは無いかと思うのですね。
勝手な思い込みかも知れませんが、ここが非常に素晴らしいと思うのです。

もちろんこの研究に於いても、切り捨てられている要素はあると思うのですね。
歩行スピードに関しても、一定の距離をどのぐらいの時間で歩行が可能かと考える場合、静止状態から加速し、スピードに乗って、さらに目標の近くで減速すると云った要素があるかと思いますが、加減速には下腿三頭筋の働きも重要な働きがあるので、加速のために麻痺側から降り出す場合と非麻痺側から降り出す場合では差があるでしょうし、また、減速に使う足(前に出た方の足)が非麻痺側か麻痺側かで差が出るでしょう。歩隔の使い方も歩幅に影響するのでは無いかと思います。
また、日常生活というと横方向の移動などでは、股関節を外転した際に足部の内外反の用い方で加減速を調整しますし、この時の足部の内外半はふらついた際の対応にも用いられる動きなのではないかと感じています。
また方向転換などについては、おそらく頭頸部の安定性とともに、とくに眼球運動が運動の開始となり運動が連鎖的に起きてきますので、そういった要素も重要なのでは無いかと思います。
その他にも色々あるかも知れないですが、この研究では表現し切れていない要素達という事が出来ます。
それらの要素を歩行の研究にどの様に持ち込むのかと云ったことは今後、もう少し先の課題となるのかも知れません。

そういった事も考えたりはするのですが、それでも、脳卒中リハビリテーションの科学に個別性の要素を取り込もうとしているこういった研究はとっても大切だと思うのです。

地域で働いているOTの一人として、応援してます!!
(*^_^*)

是非、頑張ってくださいね!>近畿中央大学ニューロリハビリテーション研究センター

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