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【演劇】隻眼の紅蓮丸 りたあんずの章

 藤枝市は紅蓮丸に感謝して、積極的にバックアップすべきだ。この演劇は、社会貢献である。藤枝市の財産である。紅蓮丸は演劇文化の未来を明るく照らしてくれる。なんていうか、お金をもらってほしい、公的な。

 時代劇を彷彿させる世界設定やセオリー通りのストーリー展開は大人たちも安心して楽しめるだろうし、チャンバラシーンにも盛り込むほどのやや多めのギャグは、今の子供たちでも飽きずに楽しめる素晴らしい仕掛けだった。でも、何より一番素晴らしかったのは、客席と舞台がちゃんと足並みをそろえて盛り上がっていったところだ。

 受付や会場スタッフからそうなのだけれど、前説がとても優秀だったと思う。「これから楽しいことが始まるんだ」「声を出して笑っていいんだ」と会場の緊張をほぐしつつ、いよいよ物語が始まるぞという高揚感を誘う、とてもいい前説だったと思う。≪わかりやすく、おもしろい≫エンターテイメントとして、とても親切で理想的な導入である。

 演劇って難しくない。演劇って楽しい。そんなことをちゃんと教えてくれる演劇だった。あの役者が好き、このシーンが好き、そんな古くからの楽しみ方をさせてくれる現代の大衆演劇だ。私もニヤニヤ、ケタケタ笑いながらめちゃんこ楽しんだ。推しは『まさはる』です、ええ。

 これからもずっと、紅蓮丸の旅を見ていたいと思った。

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