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これって徳島弁?(どなたか徳島県出身の方いらっしゃいませんか?)

僕の母方の祖母は徳島県出身で、大阪に出てきてからもかなり徳島弁(阿波弁)の語彙で喋っていたように思うのですが、中に時々「これってほんまに徳島弁?」と首を傾げたくなるような単語や表現があって、もし note を読んでいる人の中に徳島出身の方がおられたら訊いてみたいなと思ってこの記事を書きました。

祖母は明治時代の末に徳島で生まれ育って、徳島で結婚し、二女を設けましたが、夫とは早くに死に別れ、まだ幼かった長女と次女(僕の母)をつれて大阪に出てきました。

そして、僕の母が結婚して2、3年目に父が大阪府豊中市に土地を買って家を建てたときに、祖母も一緒に隣接した土地を買って家を建て、以来ずっとそこに住んでいました。

そういうわけで僕は、僕が中1のときに祖母が亡くなるまで、ほぼ毎日隣家に住む祖母と会い、祖母の徳島弁を聞きながら育ったわけです。

だから、徳島弁はわりと知っているつもりです。

大学に入学したときに、同じクラスに徳島県出身の奴がいて、最初に一言二言交わしただけで僕は彼が徳島出身だと見抜きました。それで「ひょっとして徳島出身?」と訊いたら、彼は、「なんで分かるん?」と大いに驚いたのですが、「いや、その“分かるん”のイントネーション(「わ」の音が高い)で分かるんよ」と大笑いしたのでした。

話が逸れてしまいました。

今はネットで何でも簡単に調べられる時代ですから、祖母が喋っていた以下の言葉が紛れもなく阿波弁であることは確認できています。

往ぬ(帰る)
かんまん(構わない)
きにょう(昨日)
せこい(しんどい、苦しい)
たんねる(尋ねる)
へらこい(ずるい)
ほなけんど(だけど)
分からんこいきに(分からないまま、分かっていないくせに)

(祖母の阿波弁語彙。カッコ内は標準語訳)

ちなみに小学校に上がる前まで徳島にいた僕の母も、時々これらの言葉を使っていました(その母も今年鬼籍に入りましたが)。

しかし、これら以外にも祖母は僕が他では聞いたこともない表現をいろいろ使っていました。

しかし、どうも奇異な感じのするものが多くて、僕は本当にこれらは阿波弁なのか?と疑うようになりました。

祖母が生まれ育った徳島の地で自然に身につけた言葉ではなく、どこか他の場所で他所の言葉を何かの機会に憶えてしまったとか、単なる憶え間違いであるとか、あるいは祖母が勝手に作った言葉なのではないかと。

はい、如何にもそんなことをしそうな祖母でした(笑)

焦らしてすみません。そんな語彙を一挙に披露しますね。

うちゃもういやいや

これは祖母が呆れ返ったときによく言っていた表現です。「うちゃもういやいや、千円も取られた」などと。

「うちゃもう」は「ウチ(私)はもう」でしょう。「いやいや」は「いやはや」みたいな感じでしょうか。この文のイントネーションは2つ目の「いや」が一番高くなります。

これは果たして当時の徳島県人なら言う人もいた表現なのか、それとも祖母ただひとりだけが言っていたのかがずっと気になっています。

まどう

これは「惑う」ではありません。どうやら「弁償する」という意味のようです。何か大事なものを壊されたりしたときに、母もよく「まどてか」(「まどうてくれるか」の短縮形、大阪弁なら「まどてんか」になるところ。「弁償してよ」の意)と言っていました。

ネットで調べたのですが、これが阿波弁であるという記事は見つけられませんでした。

◯個わて

この「わて」は多分「宛て」だろうと思うのです。「ひとり2個わてあるから」などと言っていましたから…。つまり「ずつ」の意味ですね。

ゴキの風邪

これなんかほんとにもう何のことだかさっぱり分かりません。僕が風邪をひくと、祖母は必ず「“風邪はゴキの風邪”言うてな、いっぱい食べんと治らんで」と言って、ご飯をたくさん食べさせようとしました。ゴキって一体何なのでしょう?

てんつか盛り

これは「山盛り」とか「てんこ盛り」とかいう意味らしいのですが、「てんつか」とは一体何でしょう? 「まさに天にもつかんばかりの」というような意味なのかなあと僕は思っているのですが…。

ミレナの鐘の音

これはお手玉歌の詞です。母が幼少時、お手玉をするときによく歌ったそうです。母が鼻歌で歌っているのを僕が聞きとがめて、「それ、どういう意味?」と訊いたら、「知らん。おばあちゃん(僕の祖母)に教わって唄うてた」と笑い転げていました。

♪みぃれーなのかーねのねー という感じなのですが、これは「ミレナの鐘の音」なんですかね? ミレナって何でしょう? 教会の名前? だから横文字っぽくって、鐘が鳴っていたりする?

ミステリーです。

それに続く歌詞にも、日本語として理解できないところが何箇所かあったのですが、残念ながら憶えていません。

メロディは、「みれなのかねのね」の部分が♪ドレミーレドレードミソー(リズムはシャッフルしています)。その後は♪ミファソーララソーミミレーと続きます。

アーメンそうめん腰一番

これは祖母ではなくて母から聞いた言葉なのですが、例によって「おばあちゃんがそう言うてた」と笑うパタンです。このアーメンそうめんの語呂合わせは日本各地にいろんなバリエーションがあるみたいで、僕らは「アーメンそうめん冷やそうめん」と言っていましたが、冷やそうめんが味噌ラーメンになる地域もあるようです。

ところが、この腰一番というやつは語呂合わせにも何にもなっていません。なんじゃそりゃ?と思いながらいろいろ考えてみたのですが、「麺類はコシが一番大事」ということなのかな?と思ったりしています。

徳島の隣がうどん県・香川ですから、ひょっとしてそこから流れてきた表現なのでしょうか?

あんずあんずする

これは母もよく言っていました。でも、祖母と母が言っていたからと言って、それが他の家庭でも使われている阿波弁だとは言い切れないんですよね。なにしろ、母に語源を訊いても「知らん。おばあちゃんが言うてたから」と答えられるケースが非常に多いもので。

これは食べ物の量が多すぎて、食べきれないさまを言う表現のようです。「ようけ食べた後でこんなん出されてもあんずあんずするわ」などとよく言っていました。

しんくかんくする

漢字で書くと多分「辛苦艱苦する」じゃないかなと思うのですが、「四苦八苦する」みたいな意味で祖母は使っていました。

サンピリッピリが切れる

標準語で言う「しびれが切れる」です。大阪周辺では「しびり」と言います。

これは祖母から直々に聞いたのですが、「しびり」の「し」は「死」に繋がって縁起が悪いので、「四びり」をひとつ減らして「三びり」、そこに減らした分の「一びり」を戻して「三びりびり」、それが訛って(濁音が半濁音化し、さらに促音便になって)「さんぴりっぴり」になったみたいです。

果たしてこれは、祖母の考案なのでしょうか? それとも祖母以外にも言っている人がいたのでしょうか?

~すべ

祖母は麺類の麺1本1本を「~すべ」と勘定していました。麺類を食べていると横からよく「ひとすべおくれ」とか「ほんのすべほどでええから、味見さしておくれ」とか言われました。あれは本当に嫌だったなあ(笑)


さて、以上が僕が思い出せる限りの、祖母が使っていたよく分からない語彙です。これが果たして徳島弁(阿波弁)なのか、あるいはおばあちゃん王国のおばあちゃん語だったのか(笑)、誰か教えてくれる人はいませんか?

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