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漢字の愉しみ──1つの漢字にいろんな意味がある

僕は漢字が大好きです。

漢字は表意文字なので、漢字を使う日本語は表音文字を使う英語などより少ない量で多くの意味を伝えられると言います。

だから、twitter の初期には同じ 140文字だったら日本語でつぶやくほうが有利だなんて言われました(その後英語の文字制限は 280文字に拡大されましたが)。

そして、漢字は元々中国の文字ですから、我々は中国語を知らなくても、中国語圏に旅行したときには案内看板やメニューなどを見て大体意味が分かります(同じ漢字が日中で全然違う意味の場合もあるので要注意ですが)。

一字一字に意味があるというのは大変重宝で、例えば「禁」という文字は、そのたった一文字を見ただけで、「ああ、何かをやっちゃいけないんだな」と想像がつきます。

ただし、逆に一つの意味しか持っていない漢字はまれです。大抵の漢字は複数の意味を持っています。その複数の意味はわりと似通った、近い意味であることが少なくないですが、ちょっと関係が分からないぐらい異なった意味を表していることもあります。

例えば「中」という字。

まず思い浮かぶのは「外」に対する「中」。何らかの境界の内側ということですよね。

それから、大きさを表す「大中小」。これは必ずしも面積や体積を表すのではなく、例えば「大学・中学・小学校」みたいな使い方もあります。

同じような使い方としては「上流・中流・下流」なんてのもあります。要はちょうど「真ん中」、あるいは「中間」という意味ですね。

そういう物理的な表現だけでなく、「途中」とか「最中」、「修理中」、「勉強中」などの「中」は時間的な「中」と言うか、何らかのプロセスが完了していないという意味です。

じゃあ、「中」という漢字に「当たる」という意味があるのはご存知ですか? 漢文ではわりとよく見かける例で、「中タル」と送ります。

人名でも苗字で「あたり」さんとか、名前で「あたる」くんなどという場合に「中」という漢字が当てられていることがありますよね。

「的中」というのは的に当たることです。「百発百中」というのは 100発撃って100発当たることです。「命中」も当たるという意味で使われています。「中毒」も同じです(こっちは同じ「当たる」でも「食あたり」とかですけどねw)。

そう言えば「外」という字は「れる」を送って「はずれる」と読みますよね。「外」の反対が「中」ですから、「外れる」の反対が「中たる」というわけです。

別の例。「白」という漢字はどういう意味でしょう?

まずは色の白。

その色のイメージから派生して、「汚れがない」「清らかな」という意味で「潔白」とか「清白」とか。

あるいは、多分これも色からの連想ではないかなと思うのですが、「光が当たって明るい」という意味で「白日」とか「白昼」、「白夜」などという用例があり、そこからさらに抽象的に「明らかな」という意味になって「明白」などとも言います。

じゃあ、「言う」「申し上げる」という意味があるのはご存知ですか?
例を挙げるなら、「告白」とか「自白」とか「白状」とか「建白」とか…。

こういう風にいろんな用例を見つけてくるのが僕は大好きです。ちなみに、これらは全て高校の漢文の時間に教わったもので、僕は漢文の授業が大好きでした。

ところで、上に挙げた「白」の例では、「白夜」だけがハクではなくビャクと読ませています。こういうのも興味深いですよね。

他にビャクの例を探してみましょうか? 例えば、「白黒をはっきりさせる」という場合は「しろくろ」と読みますが、順序が逆になって「黒白をつける」となると、これは「くろしろ」ではなく「コクビャク」と読みます。
面白いでしょ?

あ、「面白い」の「白」は何でしょうね。これは単なる当て字ですかね?(私は知りません)。

あ、この「あて字」は「当て字」と書いたり、時には「宛て字」とか「充て字」などと書く人もいますが、「あてる」の意味が違うので、「中て字」と書くことはないみたいです。

ま、僕は国語学者でも何でもないので、書いていることがどこまで当てになるのか定かではありませんが(笑)

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漢字については、前にこんな記事を書いたりしています:

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