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放送とインターネット

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放送局に勤めていたので、たまに放送のことも書いていました。ま、内輪向きの文章が多いので、ここにはたまにしか載せませんでしたが。いずれにしても定年退職しちゃったので、今後はこのテー…
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#ニュース

続・気になる放送のことば

続・のようなものニュースを見ていて久しぶりに「猟銃のようなもので警察官を撃った」という表現に接し、やっぱり違和感を覚えました。 もちろんこれは使用されたのがまだ猟銃だと断定できない時点での報道であり、正確性を期するためにニュースが選んだ言い回しなのですが、前にも書きました通り、「のようなもの」という表現には「似ているけれど本当はそれではない」という含意があります。だから気持ち悪いのです。 例えば、 という表現で言えば、見えているのは黒い虫に似たものであって、実際に虫では

「地球最後の日に持ち金を使い果たす」報道に思う

誤って給付された 4630万円をネットカジノ等で全部使ってしまったという 24歳の男のニュースが世間を騒がせていますよね。 で、彼が小学校の卒業文集で「もし地球最後の日が来たら何をする?」という問いに対して「持ち金を使い果たす」と書いていたことをどこかのテレビ局が嗅ぎつけてニュースにしていました。 これを見つけてきた記者は、さぞかし「いいネタ見つけた!」と小躍りしたんでしょうね。でも、それもどうなんだろう、と僕は思うのですよ。 記者は多分、彼は子供の頃からお金を使うこと

気になる放送のことば──「のようなもの」

放送局に勤務していながらこんなことを書くのも何ですが、放送に使われる言葉でどうもしっくり来ないものがあります。 傷害事件などのニュースで使われる「刃物のようなもので」というのがそのひとつです。 のようなものそれは、被害者が凶器を見ていなくて、事件の目撃者もおらず、犯人も凶器を持ったまま逃げてしまったなどの理由で、当然記者もそれが刃物かどうか確認できないという場合に使われます。 その心構えは解らないでもありません。実際に見てもいないのに「刃物で切りつけられ」などと断定した