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仕事のモットー──僕はこんなことを考えながら働いてきました

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今の若い人に通用するかどうかは知りませんが、僕はいろいろ仕事を重ねて行くうちに、こんなことやあんなことに思い至りました、という感じの寄せ集めです。
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#人生観

僕がサラリーマン最後の日に語ったこと

2022年6月30日を以て株式会社毎日放送(MBS)を雇い止めになりました。 たまたまその日が定例の会議の日で、その席で挨拶めいたものを求められ、少し喋りました。以下はその時の内容を思い出しながら、少し添削、加筆修正したものです。 When I'm sixty-four最近頭の中でずっと鳴っている音楽があります(こういうのを英語では earworm = 耳の中に虫がいる、と言ったりするようです)。 それは The Beatles の When I'm Sixty-fou

ノルマを作らない

僕は一旦何かをやり始めるとそう簡単にはやめないタイプだと思われている。実際そうかもしれない。わりと長続きするほうだ。じゃあ、長続きするコツは何かと言えば、僕はノルマを作らないことだと思っている。 これはあくまで僕の秘訣であって、ひょっとしたら僕以外の人にはほとんど当てはまらないのかもしれないので、むやみに他人に勧める気は全くないのだけれど。 僕の周りには僕のことを非常に几帳面なタイプだと思っている人が多くて、その延長線上で僕は何かにつけて計画を立ててそれに沿ってコツコツや

醜く老いてはいけないな

昔、「けっ、情けないのう」と吐き捨てるように言われたことがあります。 プロフィールにも書いているように僕は大阪の放送局に務めているのですが、本社の営業局の部長をやっていたときのことでした。 席にいてふと顔を上げたら、もう随分前に会社を辞めた OB が横に立っていたのです。彼は僕ではなく、僕の隣に座っていたチーフ・スポット・デスクの M君にいきなりこんな風に話しかけました。 「おい、ウチは今何位や?」 何位というのはスポットCM の売上の順位を指しています。我々は、少し

静かに見守って、潔く去る

長らく仕事をして、だんだん年を取ってくると、「ああ、もう俺の出る幕じゃないな。俺はお呼びでないんだ」と感じる時がやってくる。 僕の場合で言うと、放送局に務めながら僕自身は放送コンテンツにほとんど何の貢献も功績も残してこれなかったが、サラリーマンの最後十数年間については放送とインターネットの融合連携を一生懸命社内で唱えてきた。 当時は「インターネットはテレビの敵だ」みたいな間違った認識の先輩たちが多かった中で、僕は「テレビかネットかと言う二項対立、二律背反、二者択一みたいな

「君は年間100冊の本を読むか?」と迫られて ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その2

大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、2つめ。 前回も書いた各部副部長クラスを講師とした座学。今回はテレビ制作第1部(だったかな)の副部長の話。後から聞いた話ではこの副部長は変わり者として局内で有名な人物だったみたいですが…。 彼は冒頭でこう言いました(みんな冒頭で何か“一発かまして”来るんですよねw) その年の十数名の新入社員のうち、手を挙げたのはたった一人でした。ちなみに彼女は社内結婚して退職した後、現在は翻訳家になっています。僕はどうだったか? 多分年間 20~

「視聴率とは何か?」とカッコつけて教えられて ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その1

僕が大阪の放送局に入社したのは昭和の末期、大雑把に言って40年ほど前です。そんな大昔なのに、新人研修中に聞いた話ややったことなどでいまだに憶えていることがいくつかあります。 中にはすごくためになって、人生の指針と呼んでも良いほどのものになったこともあるにはあるのですが、逆に後から考えたらあれは何だったんだろう?みたいなことも少なくありません。 ここではむしろそういうことを何回かに亘って書いて行きたいと思います。いや、なに、反面教師だって立派な教師ですから。と言うか、すべて