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小説とかドラマとか映画とか

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他のマガジンに含めていた映画評や書評などを抜き出してここに独立させました。
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2022年1月の記事一覧

『ボクたちはみんな大人になれなかった』 #映画感想文

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』を観てきた。NETFLIX と映画館での同時公開である。 僕の twitter のタイムラインには原作者の燃え殻さん周辺の人が多くて、この映画に関しても頻りに呟かれていたのだけれど、なんとなく内輪で褒めている感じがして、実はあまり観る気はなかった。 でも、伊藤沙莉が出るのであれば観たいなと思ったのは確かだし、何よりも高田亮が脚本を書いているというのが決め手になった。 冒頭、ゴミ置き場に倒れ込んだボク/佐藤(森山未來)と七瀬(篠原

『草の響き』 #映画感想文

映画『草の響き』を観てきた。作家・佐藤泰志の5本目の映画化。 最初の『海炭市叙景』は観ていないが、『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』『きみの鳥は歌える』の3本は観てきた。いずれも素晴らしい映画だった。そして、この作品も上記のどれにも劣らない、極めて完成度の高い作品だった。 そういうわけで舞台は当然函館であるが、原作では神戸だったそうだ。 冒頭、若者がスケートボードで函館の街を走る。それを移動撮影のワンカットで延々と追って行く。美しいシーンだ。そしてそれはそのま

『ルームロンダリング』 #映画感想文

映画『ルームロンダリング』を観た。 そもそもは、崔洋一、廣木隆一、豊田利晃、中村義洋監督らの下で助監督を務めてきた片桐健滋が企画を考え、それを旧知の脚本家・梅本竜矢に相談したところ、梅本がそれを TSUTAYA CREATOR'S PROGRAM FILM 2015(TCP)に応募したのだそうだ。 その企画書が準グランプリに選ばれ、晴れて片桐自らの初演出、梅本との共同脚本で映画化したのがこの作品である。ちなみに、その時のグランプリが『嘘を愛する女』だ。 事故物件の不動産

令和の時代から昭和の星飛雄馬を振り返る

今回のお題は『巨人の星』──僕らの世代なら誰でも知ってる野球漫画/アニメである。と言っても『巨人の星』を分析しようなどと言うのではない。大昔、あの作品を観たときからずっと心に引っかかっていることを、どうしてもどこかに書きたかったのだ。 『巨人の星』概略 「アニメをやっていた頃にはまだ生まれてなかった」という人のために少し解説しておくと、『巨人の星』は 1966年から 1971年まで『少年マガジン』に連載され、1968年から 1971年までテレビアニメも放送された。 当時