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駄 文

掻きむしった傷跡は今はただ赤く熟れている

通り過ぎる風はそよそよとその傷口をくすぐる

揺れる産毛の感触に今は只その生を感じている

目の前で煌々と照る あの地平の向こうにある陽の光は眩しく

薄ら寒さの中にうっすらと温もりを覚える


ただこの空間に立ち尽くす我が姿をどこからともなく見ている私は孤独を観測していた

そして、そこには何の感情もない

たった数十年生きただけの私の時間は今、一瞬のような永遠のような空間の中で揺蕩う

虚無であり万感でであり
痛恨のような愉快なようなムシャクシャの中で

ただただこれまでの自分を嘲笑いながら

その均衡が崩れぬように立ち尽くす


前に進めと言う
過去を断てと言う

如何とも応えの出ない逃避に

過去の積み重ねである私が抗う


ああ、何かをしなければオカシクなってしまう

そう思うて筆をとり
ただ走らせて言葉を連ねている

この筆が止まるときに出来た言葉の積み重ねは何と呼んだら良いのだろう

"名もなき詩"という名曲になど当然及ばぬであろうこの言葉たちに私はなんと名を付けるべきか

ただただ何かを吐き出さねばおれなかっただけなのだ

心の不均衡が
体の不均衡を引き出し

ただただ
ただただ

筆をとらずにはおれなかったのだ

この最近、心を固め、無意に笑い続けたツケか
欲することを留めただいたずらに無駄を貪ったツケなのか

頭が、体が崩壊しそうだ


きっとこれも過ぎてしまえばそれだけのことなのか

それとも良い変化の前兆なのか悪い変化の前兆なのか

兎にも角にも望まずも望んでも自分も周りも世界も動いている進んでいく

私の中の動きも捉えられぬ
周りの世界の動きも捉えられぬ

周りの世界の動きの方が目に見えるだけまだましなのか

何かを少しでも捉えられるまではこの文の本当の名前はわからぬ


筆も止まってきた


私も日常に戻るだろう


とりあえずはこの文は"駄 文"と名付けておこう

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