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【ドラフトから1年】藤岡裕大の指名は必要だったのか?平沢大河と藤岡裕大の今と未来

どうも、やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。note2作目ですね。思いついたことがあったらどんどん書いていこうと思います。その代わり、ネタ切れでも怒らないでくださいね。
さて本日もタイトルの通りです。2017年のドラフトで千葉ロッテマリーンズが2位指名した藤岡裕大選手と同じポジションの平沢大河選手についての考察を書いていこうと思います。
2015年にマリーンズは「高校生ナンバーワンショート」、仙台育英高校の平沢大河を指名します。事前に地元球団の楽天が1位指名を公表していた中での強行指名で、伊東勤監督(当時)が2球団競合のくじを引き当てて見事交渉権獲得となりました。しかし彼を指名して2年が経った昨年のドラフトで、マリーンズは同じショートのポジションを守る社会人即戦力候補・トヨタ自動車の藤岡裕大を2巡目(全体13番目)に指名しました。これに対し「なぜ平沢がいるのに指名したんだ!」などという批判の声が一部から挙がりました。(ここまで前置き)
まず最初に、ドラフト当時の両者のデータを並べて比較してみたいと思います。

細かく言えば選手タイプは異なると思いますが、両者とも走攻守三拍子を評価されての指名というのは変わらないですね。やはりプロのショートストップは三拍子揃っていることが必要不可欠なのでしょう。
両者を比べて大きく異なる点は2つ。まず、①高卒か社会人か?そして、②ショート以外のポジションを経験したか?です。

平沢が仙台育英高から直接プロ入りした2015年、藤岡は当時亜細亜大のサードのレギュラーを務めており、東都リーグ通算100安打を達成するなど実績を積み上げドラフト候補として注目を集めたものの、サードというポジションが引っかかり指名漏れ。その後社会人の名門トヨタ自動車に入社し、「二遊間を守れないとプロには行けない」と本格的にショートへの転向を目指します。ここでも、1年先輩に源田壮亮(現埼玉西武)という名手がいたため1年目は外野手として都市対抗の舞台を経験しました。源田が西武に指名されて空いたショートにいよいよ藤岡が定着しアピールを続けた結果、晴れてマリーンズのドラフト2位で名前を呼ばれたわけです。

当初考えていた指名意図

こうしてマリーンズは平沢大河・藤岡裕大という2人のショートを抱えることになりました。当初私が想定していたのは、今季(2018年シーズン)は昨年も一軍でショートを務めた三木亮と藤岡で一軍のショートを回しつつ、まだ一軍レベルで見ると攻守で課題の残っていた平沢を二軍で大村巌打撃コーチや小坂誠守備コーチのもと攻守両面でレベルアップさせてシーズン後半〜翌シーズンにこの両者の争いに加わらせるのではないか?というものでした。そして、将来的に平沢がショートに収まったとき、他のポジションの経験のある藤岡を(例えば外野にコンバートさせるなどして)無駄なく起用できる、少なくともそういった選択肢が広がるため、藤岡の指名は大賛成でした。ドラフト2位全体13番目も彼の実力や残してきた実績を考えたら文句はなく、なんならドラフト1位でもいいとすら思っていました。

シーズンでの思わぬ誤算

オープン戦では平沢・藤岡共に井口新監督にアピールを続けましたが、よりインパクトを残した藤岡が最終的に開幕ショートのレギュラーの座を掴み取ります。一方で平沢もアピールが認められ開幕一軍に入り込みました。しかし、この後のシーズンでは数多くの誤算がありました。
1.藤岡裕大の遊撃全試合出場
今季から就任した井口監督の方針もあってか、藤岡は143試合全試合にショートとして出場しました。当初は藤岡のショート経験の少なさとプロの試合数の多さについていけるか疑問の目で見ており、上にも書いたように三木らとの併用だろうと想定していました。シーズン後半は体力的にキツくなったのかそれとも研究されたのか、打撃・守備ともにパフォーマンスを落としてしまい、スタメンショートを三木や平沢に譲ることもありましたが、それでも初年度から全143試合に出場するとは思っていませんでした。
2.平沢大河の外野コンバート
藤岡がショートでスタメン出場を続けている間も、平沢は代打や守備固めの少ない場面でアピールをし続けました。しかしどうしても出番が限られるため、井口監督も二軍で機会を与えようと考えていたようです。それでも「一軍に居させてください」と直談判してまで一軍に留まろうとした平沢に、首脳陣は外野へのコンバートを打診します。ちょうど加藤翔平や清田育宏ら中堅組が思うような成績を残せていなかった頃で、平沢にとっては小学生以来の外野とのことでしたが思わぬチャンスを掴み取りました。
平沢はその後も外野として出場を続け、最終的に112試合353打席の出場機会を得ました。外野守備でもシーズン途中から始めたとは思えない好守備を披露するなど改めて彼のセンスの高さを感じさせられました。打率こそ.213に終わりましたが高卒3年目にこれだけの打席・経験を積めたのは彼にとっての今後の財産となるでしょう。

今後の2人は

藤岡はショートで1年間出場し続け、一方の平沢は1年間外野で経験を積みました。では、今後も藤岡はショートとして起用され続けるのでしょうか?そして平沢は外野で勝負するしかないのでしょうか?
いいえ、そんなことはないと思っています。シーズン終了後に行われたフェニックスリーグでは、ショート平沢サード藤岡というシーズン中には実現しなかった新たな布陣に挑戦しています。ショート平沢という選択肢だけでなく、ドラフト当初評価されていた藤岡のユーティリティー性というのも忘れていなかったんだ、と実感しました。また、平沢はこのオフにショートとしてのレベルアップを求め、オーストラリアで開催されるウインターリーグに参加するとのこと。彼は決してショートのレギュラー奪取を諦めてはいないのです。
一方の藤岡も、そのようにレギュラー奪取の機会を伺っている年下の平沢の存在を意識せずにはいられないでしょうし、この1年ショートを務めたからといって来年もレギュラーであると決まっているわけでもありません。プロ2年目、(トヨタ時代から数えて)本格的にショートを守り始めて3年目となる来季は攻守両面でさらなるレベルアップを期待したいところです。

結論:藤岡の指名は平沢の成長のために必要不可欠だった!

ここまで読み進めてくださった方にはもうわかると思いますが、この1年を振り返って、やはり藤岡裕大の指名は平沢大河にとって必要不可欠であったと感じます。単に流動的だったショートのポジションを固めたからというだけでなく、今後の平沢にとっての「最初に越えるべき壁」となったからです。平沢がロッテに入団した時にショートを守っていた鈴木大地は平沢と8歳差で、平沢からすれば競争相手というより後釜という印象を抱いていたかもしれません(その鈴木大地も平沢が入団した翌年にはショートのポジションを離れましたが)。しかし年齢的にはちょうど間に入る藤岡の入団で、平沢にとってようやく競争相手が出てきたわけです。これまでの平沢にはチーム内に確固たる「越えるべき壁(選手)」がいなかったため、レギュラーを獲る、日本一のショートになるといってもそのためにはどうすれば(どうなれば)いいのかという点が不明瞭だったように感じます。そんな状況で入団してきた即戦力ショート・藤岡裕大。今後平沢が日本一のショートストップになりたいのであれば、まずは藤岡とのチーム内競争に攻守両面で勝ち、マリーンズでショートのレギュラーの座を奪わなければいけないという“ノルマ”ができたわけです。

一方の藤岡に関しても、平沢大河というライバルの存在で気を抜けず、更なるレベルアップを図る必要があります。現に井口監督も「レギュラーは白紙」とコメントを出していますし。1年ショートで全試合出場したルーキーが気を抜けないという状況は、普通なかなか作れません。アマチュア時代から見てきた私としても、藤岡の本当の成績はこんなもんではないと思いたいです。来季は攻守両面で今季を超え、平沢に「まだまだレギュラー獲りは早いよ!」と結果で示してもらいたいところです。

ちなみに、ファンの間ではショート平沢派・ショート藤岡派というような論争もあるとかないとか聞きますが、私個人としてはどちらでもないです。どちらもアマチュア時代から惚れていた選手で、ドラフト会議でマリーンズに指名された際は泣いて喜びました。なので、この2人が高いレベルでのチーム内競争を演じて、それが波及してチーム全体が強化されてくれるのであれば、その時ショートストップのポジションに立っているのが平沢大河であろうと藤岡裕大であろうと(はたまた別の選手であろうと)私は嬉しいです。来季以降も彼らの熾烈な競争から目を離せません。

このnoteを、平沢が外野を守るに至った経緯等を度外視して「日本の育成力の無さを証明している」などという記事を書いたライターの氏原英明さんに是非読んでいただきたいですね。

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