千葉ロッテマリーンズのドラフト展望②〜具体的な指名プランの考察と鍵を握るドラフト候補の紹介〜
どうも、やまけんです。
前回に引き続き、千葉ロッテマリーンズのドラフト展望です。
前回は、チームの課題を把握した後、ポジションごとにドラフト指名の緊急度、優先度、候補充実度から指名優先度を決定し、目指すべき上位指名のパターン4つを定めました。
前回のnoteはこちらから↓↓↓
今回は、それぞれの上位指名のパターンごとに全体の指名像を考察し、さらにその上でマリーンズの指名の肝になりそうなドラフト候補の選手を紹介していきたいと思います。
指名人数の考察
まずは今年のドラフトにおける指名人数を考察したいと思います。
先日球団より、支配下5選手と来季の契約を結ばない発表がありました。また、二次通告期間での追加発表の可能性も考慮すると、2023年現在の支配下69名から60名程度に人員整理してドラフト会議当日に臨むのではないかと考えられます。
2019年から昨年のドラフトまで、マリーンズは支配下5選手+育成指名という形をとってきましたが、このように人数を想定すると今年のドラフトでは支配下6~7選手+育成指名といった形になるのではないかと推測します。
したがって、今回は支配下指名人数を6選手程度と予想した上で全体の指名像を考察したいと思います。
バランス型指名か、重点型指名か
具体的な指名プランの考察に移る前に、ドラフト指名の「型」について少し触れたいと思います。
ドラフト指名の型には、大きく分けて「バランス型」と「重点型」の2つの型があると考えています。バランス型とは、その名の通り、チームに複数ある補強ポイントをまんべんなく補う指名の型です。近年のマリーンズのドラフトはこの型に収まるケースが多いです。
一方の重点型は、ある特定のポジションや年代に照準を合わせて、そのポイントを補える選手を重点的に指名する型です。近年、この型の指名でドラフトを成功させている代表的なチームが阪神タイガースです。
2018年のドラフトでは1位近本、2位小幡、3位木浪と徹底してセンターラインの選手を、2019年のドラフトでは1位西純矢、2位井上、3位及川と徹底して高校生を、そして2020年のドラフトでは支配下指名8選手のうち7選手を大学生・社会人(独立)で固めるなど、各年度で明確なプランをもってドラフト会議に臨んでいることがわかります。
この点だけ見れば「重点型」の指名の方が成功しそうな気もしますが、リスクが大きいのも事実。
マリーンズでも、2015年、2016年のドラフトで投手力不足解消を狙い、2年連続で投手6・野手1と極端に投手に偏った指名をしたものの、2023年現在一軍に定着したと言えるのは種市投手くらい。その間、指名を逃し他球団に獲得された野手の有力候補も少なくありません。
2つの型に絶対的な正解はありませんが、近年のマリーンズがバランス型に寄った指名をしていること、バランス型の指名の方が複数の補強ポイントをリスクヘッジ的にリカバーしやすいというメリットを踏まえ、以降の考察はバランス型に寄った形で進めたいと思います。
全体像考察①:1位・先発投手→2位・スラッガー
まずは、1位指名で先発投手を確保し、2位指名でスラッガー候補の選手を指名できた場合の全体像について考察していきます。
この時点で、優先度でAランクに格付けした2つの重要指名ポイントを抑えることに成功しています。チームの補強ポイントを全般的に補いに行く場合、3位で二遊間の選手を指名し、
といった形がベターになるかと思います。しかし、型に当てはめることなく、3位の指名順で投手や中軸候補の野手で有望な選手が残っていれば重ねて指名するというプランもアリです。
4位以降では、即戦力に近いリリーフ候補の投手や、投打で将来性の高い高校生選手を中心に狙いつつ、3位までに補えなかったポジション(二遊間や外野、捕手など)の候補選手が残っていたら指名を検討してみてもいいのではないかと思います。
全体像考察②:1位・先発投手→2位・二遊間候補
次に、2位で二遊間候補の選手を指名した場合について。大枠としては上記のプランと変わらないかと思います。ただし現実的に考えると、2位・3位で二遊間の選手を重ねて指名する可能性は低いと見ています。
仮にこの形の上位指名となった場合、3位で中軸候補もしくは投手を狙い、以降の指名は全体を補うように
といった全体像となるのではないでしょうか。
全体像考察③:1位・スラッガー→2位・先発投手
こちらのパターンについても、1位と2位の順番が入れ替わっただけで、全体像としては上記①で書いた内容に近いものになるかと思います。今年のドラフト市場においては、2位でも有力な投手が残る可能性は十分に考えられるため、このプランが現状の理想形かもしれません。
もし3位以降で中軸候補の選手をもう1人以上指名するのであれば、二軍での育成機会の奪い合いにならないようなポジションの被らない選手で、かつ競争を促進できる選手を指名したいところです。
全体像考察④:1位・スラッガー→2位・二遊間候補
この上位指名のパターンはもっとも挑戦的、冒険的な形です。言い換えるのであれば「ハイリスク・ハイリターン」な形となるのではないでしょうか。仮にこの上位指名となった場合、上位2選手の実力を信じつつ、3位以降を即戦力投手中心の指名で固める形が、リスク回避・リスク分散的な意味で有効になるのではないかと思います。全体像としては
のような形が理想になるのではないでしょうか。ドラフト会議に「絶対」はありませんが、今年は投手が比較的豊作な年なので、3位指名の順番でも思わぬ有力候補が残っている可能性は十分にあり得ます。
ドラフト前に覚えておきたい!注目のドラフト候補15選手
1. 【大学生左投手】細野晴希(東洋大)
投手でまず名前を挙げたいのが、東洋大学の細野晴希投手。左腕から繰り出される最速158キロの速球が武器で、好調時には相手打線を全く寄せ付けません。将来的にはMLBでの活躍も見込めそうなスケール感が漂っています。
2.【大学生左投手】武内夏暉(國學院大)
同じ大学生左腕として、細野投手に匹敵する評価を集めているのが國學院大の武内投手。最速153キロの直球もさることながら、左右の打者を問わず投げ込める縦のツーシームが武器です。リーグを代表する投手になってもおかしくありません。
3.【大学生右投手】常廣羽也斗(青山学院大)
右投手でおそらく最も評価が高いのが、この常廣投手。最速155キロの直球には、細身の身体からは想像できないほどの球威があります。140キロを超えるフォークも持っており、先発・リリーフの両面で将来の活躍を見込める右腕です。
4.【高校生左投手】前田悠伍(大阪桐蔭高)
高校生でまず紹介したいのが、9月に行われたU-18ワールドカップでも好投を見せた大阪桐蔭の前田悠伍投手。投手としての総合力が高く、伸びのあるストレートとチェンジアップを武器にプロでも活躍が見込める将来のエース候補です。
5.【高校生右投手】木村優人(霞ヶ浦高)
続けて紹介したいのが、霞ヶ浦の木村優人投手です。バランスの良いフォームから最速150キロの直球、カットボール、フォークなどを投げ、制球も安定しています。こちらも数年後のエース候補として期待できる好素材です。
6.【高校生右投手】早坂響(幕張総合高)
ZOZOスタジアムからほど近い幕張総合高校のエースで、直球の最速は151キロを計測します。高校2年の秋に捕手から転向し、現在も成長中。経験や知名度は乏しいかもしれませんが、その分大化けの可能性を秘めている右腕です。
7.【社会人右投手】古田島成龍(日本通運)
社会人の即戦力候補として期待したいのが、日本通運の古田島成龍投手。回転数の多いストレートとチェンジアップ、シンカーの組合せで奪三振を量産します。明るいキャラクターも魅力的で、チームに活力をもたらしてくれる存在です。
8.【独立リーグ右腕】大谷輝龍(富山GRNサンダーバーズ)
和田康士郎選手や速水将大選手がかつて所属し、現在はマリーンズOBの細谷圭氏がコーチを務めるなど縁が深い富山GRNサンダーバーズ所属の剛腕。球場表示での最速は160キロ、短いイニングでは常時150キロ台中盤を計測するなど、素材の魅力度はピカイチです。
9.【社会人スラッガー】度会隆輝(ENEOS)
スラッガータイプの選手としてまず名前を挙げたいのが、ENEOSの度会隆輝選手。レベルの高い社会人野球界においても傑出した長打力を見せており、昨年の都市対抗野球大会では5試合で4本塁打を放ちました。
10.【大学生スラッガー】廣瀨隆太(慶應義塾大)
度会選手が左打者であるのに対し、この廣瀨選手は右打者。捉えたときの飛距離は圧巻で、東京六大学歴代5位のリーグ戦19本塁打を記録しています。球界全体を見渡しても少ないタイプなだけに、人気が高まる可能性もあります。
11.【高校生ショート】横山聖哉(上田西高)
二遊間系の選手でまず取り上げたいのが、今夏の甲子園にも出場した上田西のショート横山聖哉選手。肩の強さはプロでも上位級で、打撃にも力強さがあります。粗削りですが将来は世界も視野に入れられるスケールの大きい選手です。
12.【大学生ショート】辻本倫太郎(仙台大)
こちらは大学球界で存在感を示す仙台大の辻本倫太郎選手です。アグレッシブなショート守備に加え、大学日本代表でセカンドやサードを守る器用さも持ち合わせています。全国大会でホームランを放つなど、打力の高さも魅力的な選手です。
13.【社会人ショート】武田登生(日本新薬)
近年NPBでの活躍も多い「社会人内野手」のカテゴリからは武田登生選手を紹介します。高い守備力でショートだけでなくセカンドも守り、小柄ながらパンチ力も見せます。吉井監督と同じ和歌山出身で、高校・大学を千葉で過ごすなど、何かと縁も感じる選手です。
14.【大学生捕手】萩原義輝(流通経済大)
優先度は高く記載しませんでしたが、捕手も指名したいポイントのひとつ。流通経済大の萩原選手は強肩強打が売りの左打ち捕手です。千葉県出身で、小学生時代にはマリーンズジュニアの一員としてプレーした経験もあります。
15.【大学生外野手】宮崎一樹(山梨学院大)
主力選手の故障や高齢化が目立つ外野手。指名の優先度は高く設定しませんでしたが、スルーしていいポジションというわけでもありません。山梨学院大の宮崎選手は身体能力が高く、打撃でも逆方向に大きな打球を放てるため、素材として非常に魅力的な選手です。
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