全ての砂糖は体に悪いの?代わりを使えば良いの?
薬膳では、食材の性質や効能を考慮して、その日の体調や天気によって選びますが調味料についても無視できません。
ここでは、薬膳の視点から砂糖はすべて体に悪いのか?代わりになるものを使うなら何が良いのかについてお話します。
砂糖の原料は、さとうきびと砂糖大根(ビート)
砂糖の原料は大別するとさとうきびと砂糖大根です。
日本では沖縄や奄美大島で作られているさとうきび、北海道で作られている砂糖大根が原料です。
さとうきびは体を冷やす性質を持ちます。
砂糖大根はアブラナ科の大根の種類ではなく、ほうれん草の仲間。ほうれん草も、やや体を冷やす、もしくはどちらでもないと言えます。
(マクロビではさとうきびを原料とした砂糖全般は冷やす、砂糖大根を原料とした砂糖=甜菜糖は温めるとなっているようです)
ただし、製品となるとそれぞれ少し違って来ます。
さとうきびを原料とする砂糖
さとうきびを原料として作るものには、黒糖、きび砂糖、上白糖、グラニュー糖があります。
全く精製していないのは黒糖です。ミネラルがそのまま含まれるためGI値も低く血糖値が一気に上がりにくい砂糖と言えます。
真夏の熱中症予防に食べると良いのは、汗で失われたミネラル分を補うためです。料理にコクを出したり、風味付けに使うと料理に深みが増します。
ただし、独特の癖がそれだけで味付けすると素材の味を消してしまうため、
単独では、黒蜜やごま餡、黒豆やクルミの黒砂糖衣などとして和風スイーツでしょう。
上白糖やグラニュー糖は、さとうきびを精製しているのでミネラルはほとんど残っていません。なので、エネルギーにはなるけれど必要なミネラルの補給にはならないと考えます。
きび砂糖は、精製度合いが少ないため砂糖そのものの色も薄い茶色。
ミネラル分も残っています。
味も黒糖のような癖がないので、普段の料理やスイーツ作りにそのまま使えます。
砂糖大根を原料とする砂糖
砂糖大根と言われる甜菜もしくはビート。
似たようなものにビーツがありますが、これはボルシチの材料となる赤紫の野菜で、砂糖の材料となる甜菜とは違います。
砂糖大根から作られる甜菜糖は、一般的に砂糖には含まれないオリゴ糖が含まれるのが特徴で、コレステロールを下降する作用があると言われています。
母乳にわずかに含まれ、ビフィズス菌を増加させ赤ちゃんの腸内に善玉菌を増やす働きがあります。
また、虫歯になりにくいとも言われています。
きび砂糖同様にミネラル分も残っています。
味が他の砂糖よりやさしいのも特徴です。上品な甘さにしたい場合は甜菜糖を選ぶと良いですね。
ただし、カロリーは他の砂糖とほぼ同じです。
やさしい甘さなので、物足りなく感じて他の砂糖より多めに使ってしまわないように気を付けましょう。
砂糖の製品としての性質分類と効能
同じさとうきびを原料としていても、製品になった時の性質や効能には違いがあるとされています。
黒糖は温める砂糖。血行を良くして浮腫みを改善し、寒気による痛みを止める。
上白糖やグラニュー糖(白砂糖)はやや冷やす砂糖。肺を潤し唾液の分泌を促す。胃痛の痛みを緩和。
氷砂糖(精製度合いの低い黄色い氷砂糖)はやや冷やすもしくは冷やしも温めもしない砂糖。肺の機能を高め空咳を止める。⇒子供のマラソン大会の後、ご褒美に氷砂糖が出たのは理にかなっています!!
きび砂糖は温めも冷ましもしないもしくはやや冷やす。肺を潤わせる。
甜菜糖は温めも冷ましもしない砂糖。腸の調子を整え血行を良くする。
麦芽糖は温める砂糖。肺の機能を高め胃腸の痙攣を緩和して働きを高める。
薬膳の視点からはこのように違います。
求める性質や効能によって使い分けると良いですね。
砂糖の使い過ぎは体に悪いと考えて、代わりになるものを選ぶなら
和食は、世界の料理の中でも砂糖を使う料理です。
欧米からヘルシーだと思われているお寿司。酢飯に砂糖を使うことを知ったら彼らは目を丸くするでしょう。
砂糖の摂り過ぎは五臓の「脾」を弱らせ、水分代謝を鈍らせます。
そのため、体内に余分な水分を溜め込ませて浮腫みの原因になりやすいのです。
そして、水分が多い体は冷えの原因になります。なので、摂り過ぎは中医学的に見ても避けたいのです。
そこで、砂糖の代わりになるものを挙げてみます。
砂糖の代わりに使えるもの
●はちみつ・・・温めも冷ましもしない。お腹を強くして体を潤わせる。
●甘酒・・・温める。飲む点滴とも言われるパワー食材。スーパーには砂糖を添加したものも売られているので、材料が米と麹だけのものを。
●みりん・・・温める。胃腸を強くする。経絡(ツボとツボを結んだ体を巡っているものとされる)を通す。
●甘草(リコリス)・・・温めも冷ましもしない。体質的に胃腸が弱い人の胃腸障害に。浮腫みがちな人の甘みとして。
●メープルシロップ・・・温める。カルシウムが豊富。価格が高めなのがネック。選ぶ時は砂糖が添加されていないものを選ぶ。
●ココナッツシュガー・・・温める。夏バテ気味の時。浮腫み改善。骨や筋肉を強くする。
等があります。
使いやすく手に入りやすいものは、はちみつ、みりん、甘酒、メープルシロップなどではないでしょうか?
それぞれに特徴があるので、体質や体調に合わせて使い分けて下さい。
砂糖の代わりに使われる食品添加物について
トクホとして市場に出回っている清涼飲料水やお菓子などに砂糖の代わりに使われている食品添加物にアスパルテームやステビアなどがあります。
これらは同量を使用した時、砂糖同等のカロリーでありながら、甘味度が砂糖の200倍(アスパルテーム)、300倍~400倍(ステビア)なので、少量の使用で砂糖と同じ甘味が得られることから糖分制限のある人への甘味料として広まりました。
安全性による基準が国によってそれぞれなので、発がん性などの問題点が言われました。
ステビアに関して、平成23年度食品安全委員会が自ら行う食品健康影響評価で
甘味料として使用される「ステビア抽出物」は既存添加物の一つであり、安全性に関する調査研究(平成8年度厚生科学研究報告)において、発がん性試験や催奇形性試験・繁殖試験などの安全性試験成績から、「現時点において、直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められていない
としています。
アスパルテームについては、食品安全委員会資料で
動物における慢性毒性を根拠として1日摂取許容量(ADI)が40mg/kg体重/日に設定された。
と書かれています。
私個人としては、現時点で糖尿病など糖分を制限しなければならない状態ではないため、食品添加物で甘味を摂ることはしていません。
砂糖は胃腸(脾)を弱らせる食材の一つであり、甘みは食材そのものの持つ天然の甘味や調理することでより甘みが増す蒸したりじっくり炒めたりという方法にしています。
そして、すいかに塩を振ると甘みが増すのと同様に、少し塩を使ったり、出汁の旨みを活かすと砂糖を控えることが可能です。
まとめ
砂糖は必ずしも体に悪いとは言えません。
選ぶ基準は性質や効能です。
砂糖そのものが悪いのはではなく、その量が問題なのです。
砂糖が体に悪いと思い、代わりの物を使うのであればなるべく天然のものを使うことをお勧めします。天然の物も、それぞれ特徴があるので、必要な効能のあるものを選べば調味料も薬膳になります。
甘味料の添加物は現時点では許容量の範囲であれば安全に問題ないと言われますが、特に小さい子ども、妊婦は自然なものを選び日ごろから薄味にしておくことが胃腸(脾)を弱らせない食生活になります。
【関連記事】
食べてみよう!薬膳食材「洋にも使えます!お節にも使えます!」
なかったことにする薬膳が無料で学べる7日間のメール講座を配信中です。
通常メルマガは毎週水曜日12:00に配信しています。