薬学部に進学したい きみへ
どうも!薬剤師の川島です。
今日はタイトルの通り薬学部進学を考えている高校生に送ります。
お父さん、お母さんにも見てもらいたい内容です。
この記事を見ているということは、きっときみは将来、薬剤師になりたいんだよね?
じゃあ聞くね?
何故 薬剤師になりたいの?
・・・。
この答えが「薬剤師になって患者さんの役に立ちたい!」なら僕はその道を止めないよ。むしろ全力で応援する。頑張れ!
でもね、出てきた答えが「資格があると将来安泰だから」「それなりに収入が得られるし」「偏差値50以下でも入れる薬学部があるから」といった理由なら、もう一度、考え直すことをすすめるよ。
理由を書くね
①国家資格があるから安泰(僕もそう思って約20年前に薬学部進学を選んだよ。)
この神話はおそらくきみたちが卒業して社会人として成熟する(と言われている)30代~40代のころには、崩れている可能性が高い。
薬剤師という職業がなくなる、ということは無いと思う。
なぜなら「薬剤師」という職業は「将来の街づくり」にニーズがある職業だから。(この辺は、超高齢化社会とか地域包括ケアシステムとか国の置かれている状況を勉強してね。というのも嫌だからツラツラ書いてたらもう一記事書けちゃったから、別記事にアップするね。)
ここでは、今の日本は超高齢社会(国民の3人に1人は65歳以上)で、医療費は年間1兆円のペースで増えていることを覚えておいてほしい。
とにかくお年寄りが増えたから病院にかかる人が多くて(高血圧とか糖尿病とかも病気だよ。そしてガンとか認知症の人も増えているよね。)、お年寄りは自分の支払いが1割負担の人も多くて、9割を税金でまかなっているんだ。(10万円の治療なら1万円で受けられるというシステム)
需要(ニーズ)はあるし供給(サービス提供)しなければいけないんだけど、そこに使えるお金(税金)が無いんだ。
そして薬剤師の独占業務(薬剤師しかやっちゃだめな業務)だった調剤(薬の調整)は、機械化がどんどん進んでいる。現場としては、その方が安全だし、生産性があがるから良いんだけど、そうなったら薬剤師は余ってくると思わないかい?
そうなると完全実力主義の世界になっていくだろうね。
国家資格を持っているから安泰、ではなく、国家資格をとってからが勝負という時代が、もうそこまで来ているんだ。
②それなりに収入が得られる
今の(いわゆる)調剤薬局薬剤師の初任給は年収で350万~450万程度だと思う。ドラッグストアや総合スーパー、地方の薬剤師不足の薬局だともう少し高いかもね。
一見、高い年収に見えるかもしれないけど、Maxの年収はどれくらいか知ってるかい?
どんなに頑張っても調剤薬局薬剤師では1000万円をもらえない業界、とだけ書いておくね。
あと、さっき書いた通り医療に使えっている税金が増えすぎて、僕たちの給料を下げる段階にきているんだよ。
そして何よりもかかっている学費が高い!
私立薬学部の学費は年間200万円とすると6年間で1200万円かかるわけだよね。その費用を考えると、給料に対してのコスパが悪すぎるよね。
僕が薬学部に入った時は4年間だったし、給料もあがりやすい時代(成長産業)だったけど、これからは違うからね。
その辺も踏まえて収入のことを考えると良いと思うよ。
③偏差値50以下でも入れる
この状況を僕は
大人たちの罪
と呼んでいるんだ。
大人というのは文部科学省、大学の先生、そしてきみたちのお父さん、お母さんも含めて。
そして今から書くことをオープンにしてこなかった、僕もふくめた先輩たちの罪なんだ。
厳しい言い方に聞こえるかもしれないけど大事な話だから落ち着いて読んでね。
まず僕は偏差値が低い=頭が悪い、なんて思ってないし、偏差値が高くても勉強しかできない頭の悪い大人がたくさんいることも知っているよ。
でもね、もし君が受験勉強を頑張っていても偏差値が50を超えないのは、頑張り方を間違っているか、勉強にむいてない(知識を詰め込む、正解を導き出す)か、のどっちかなんだ。
そして勉強に向いてないなら、薬剤師には向いてないんだ。
薬剤師という職業は新しい知識を常に学び、患者さんに対してその知識をフル活用して正解を探し出してあげる職業なんだ。
だから知識を詰め込むのが苦手で、正解を導き出すのが苦手な人は、この仕事に向いてないんだよ。
あと
偏差値50以下の大学の国家試験の合格率
をしっているかい?調べればわかるから「薬剤師 国家試験 合格率」とググってみたらいいよ。
仮にきみのいける大学の国家試験合格率が50%だったとするね。
これは卒業試験を合格して、卒業した人の合格率なんだ。なんかよくわからなくなってきたかな?ついてきてね。
薬剤師国家資格というのは薬学部を卒業した人しか受けられないんだ。
大体の薬学部は国家試験の模試として卒業試験をやっているんだよ。
その卒業試験の合格率は国家試験の合格率と同等~80%くらいという話も聞くよ。
そして入学してから卒業までに留年するのが50%近い大学もあるという。つまり入学してから半分は、どこかで留年(もしくは卒業試験で不合格)してるということ。
仮に毎年進級する時に10%が留年して、卒業試験の合格率が80%で国家試験の合格率が50%とするよ。
入学(1年生)100人⇒2年生90人⇒3年生81人⇒4年生73人
⇒5年生66人⇒6年制60人⇒卒業48人(約半数が6年で卒業)
⇒国家試験合格24人(合格率50%)
6年間で薬剤師になれる確率は24%なんだ。(自分で計算していてもビックリの数字だ)
100人中76人は、薬剤師になるのに7年以上かかる。
もし76人のうち半数が薬剤師になれなかったとしたら・・・
100人中38人は薬剤師になれずに、社会に放り出されるんだ。
これが毎年、色んな薬学部で行われているならば、それは大人の罪と思うよ。
これはあくまで数字のシミュレーションだから、現実はきみの行きたい大学に聞いてごらん。もしかするともっと怖い話が現実に起こっているかもしれないよ。
それでも大学は勉強に向いてない学生にも来てもらいたいんだ。
なぜか?
それは学生を入れて、授業料を払ってもらわないと、学校を維持できないからだよ。そこで働く人たちの給料、学校のメンテナンス費、新しい設備投資、何をするにもお金がかかるからね。
でもこれは別にボッタクリでもなんでもない。英会話スクールやパソコン教室、自動車学校もそうだよね。
自分の望んだ将来を勝ち取るために、学校へ行く。なんていうのは当たり前の行動なんだ。
授業料というのは将来の自分への投資なんだよ。
でも、きみたちは(僕も)高校進学、大学進学の時に、そこまで考えた事があったかい?
それを教えてくれる大人は周りにいたかい?
大学は義務教育でもないし、18歳で選挙権も得たきみたちを子供扱いして、いい子いい子して育てる義務なんかないんだよ。(きみたちを育てたい!という想いをもった教員が多いけどね!)
自分で勝ち取るしかないんだよ。その覚悟がきみにはあるかな?
それでも「薬剤師になって患者さんの役に立ちたい!」と思って、薬学部進学を決めているきみへ!
おめでとう!その気持ちが薬剤師になる為に一番大切で、続けるときのエネルギーになるんだ。
その気持ちを忘れないでね!
偉そうに書いてごめんね。
罪な大人の一人として 薬剤師 川島敦
頂戴しましたサポートは全額、書籍の購入費用に使わせていただきます!!サポートもうれしいですが、シェア、拡散していただけるともっと嬉しいです!!