![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25323290/rectangle_large_type_2_5225bca0ec1712c3354e790e31caf2a2.jpg?width=1200)
新規事業を「それ儲かるの?」から始めると、何も始められないという話
今回はこれまでの新規事業企画室での経験からこのようなタイトルで書いてみようと思います。
突然ですが、以下のツイートは創業期のアマゾンのオフィスです。このオフィスを見て、多くの方が「それ儲かるの?」と言ったでしょう。
94年Amazon創業時と99年インタビュー時のベゾス氏のオフィスデスクは一緒なのか。会社の資金を設備投資に回しているため、上場してもオフィスにはお金をできるだけかけないようにしていたんですね。
— 世界四季報 (@4ki4) January 2, 2018
アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる(ガベージニュース)https://t.co/vDWi1bOiAL pic.twitter.com/BM3HRdyWCH
早速、結論
なぜ「それ儲かるの?」から始めると何も始めらなくなってしまうか。それは事業を考えていくプロセスで、「それは儲かるか」(=スケールできるか)という問いは最後に検討・検証すべきことだからです。
どういうことか?
私は事業を検討していくプロセスは、新規性の高いスタートアップサービスのプロセスと既存のビジネスモデルをベースに検討するプロセスの大きく2通りあると考えいて、いずれのプロセスにおいても「それは儲かるか?」は最終フェーズで検討することだからです。
※既存のビジネスモデルをベースに事業を検討するプロセスについては、私がソーシャル・ビジネスに携わっていた人間なのでソーシャルビジネスに寄っております。
以下でこの2つのプロセスの中で、「それは儲かるか」(=スケールできるか)を検討するタイミングは前半には無く後半である、ということをの書いていきます。
新規性の高いスタートアップサービスの事業検討プロセス
スタートアップの事業構築のプロセスについては、リーンキャンバスや起業の科学など様々な書籍でより詳しく説明されているので詳細はそちらに譲りますが、概ね以下のようなプロセスとなります。
①起業家当事者の意思(will)
こんな原体験があるから、こういうユーザー・クライアントに向けて事業をしたい、という意思を明確化する。全てはここから始まる。
②課題の絞り込み(Customer Insight)
ユーザーやクライアントに会い、ユーザーインタビューをする中で問題を解決するのにクリティカルな課題を明確化する。
③解決策・ソリューションは新規性が高い(Unique Value Proposition)
そのソリューションはほぼ世の中にはないものかどうかを検討する。
④それは儲かるか?スケールできるかの検証(Scalability)
対象となるユーザー数・クライアント数は数多くいるか、購買しうるかを検証する。主に人数をメインに把握する。
いかがでしょうか。やはり最後・後半に来ますね。①〜③の土台をベースとして、④のそれは儲かるか?模索していくので、①〜③を経ずに、すぐに④の問いに向き合い始めると、何もできなくなってしまいます。
また儲かるね!となってプロジェクトを走らせてもWILLがないので、社内政治やその他の影響ですぐに心が折れます。
既存のビジネスモデルをベースに事業を検討するプロセス
次に、既存のビジネスモデルをベースに事業を検討するプロセスを説明していきます。
①起業家当事者の意思を明確化(willの明確化)
同上
②事業のコンセプトの検討A
・誰のどんな状態を、どんな理想状態にするかを検討する
ex.地域の〇〇の人たちを、こんな状態にするetc
③事業のコンセプトの検討B
・ビジネスモデル(誰に・何を・どのように提供するのか)の検討
・顧客になぜそのサービスが選ばれるのか、既存のサービスや 他の選択肢との違い、市場での優位性を検討する
④それは儲かるか?スケールできるかの検証(Scalability)
対象となるユーザー数・クライアント数は数多くいるか、購買しうるかを検証する。主に人数をメインに把握する。
以上です。さて、こちらもいかがでしょうか。それは儲かるか?スケールできるかの検証は、立ち上げプロセスの中でも最後の部分に来ていることがわかりますね。
「こんな事業やってみたいんですけど」と社員に言われた時に
新規事業系の仕事をされている方、経営に携わっている方であれば日々忙しいながら社員から「こんな事業やってみたいんですけど」と言われることも多いのではないでしょうか。
忙しい中、甘々なプランであれば「それ儲かるの?」で一蹴したい気持ちもよくわかります。
ただ、「それ儲かるの?」で会話を始めてしまえば、即会話は消滅し組織内での改善・改革の文化もなくなっていきます。
それ故に、しっかりとこらえて「なぜそれをやりたいの?(willを聞く)」ことから初めていただければと思います。
大手企業出身者ほど、それ儲かるの?とすぐに問いがち
完全に偏見も含んでいますが、誤解を恐れずに言えばある程度経験のある大手企業出身者ほど「それ儲かるの?」という問いをする傾向があると思います。
経験上、儲かる(とわかっている)事業に資本を投下する経験が強いゆえに仕方がないことなのでしょうが、タイミングを間違えると新規事業の速度とモチベーションを落としかねませんので、このあたりのコントロール、座組の検討も必要になるかと思います。
ただ、「儲かるの?」という問はスケーラビリティ(Scalability)があるのか?という確認なので問いそのものは悪くないです。タイミングの問題だと思っています。
どんな新規事業も儲かるには越したことはない
当たり前ですが、儲かるに越したことはありません。儲かった方がいいです。それがビジネスだからです。
アート性と新規性の高い作品を生み出してきたスタジオ・ジブリでも、新しい作品を作る際のルールを以下のように定めています。
映画づくりの三つの原則
「おもしろいこと」
「作るに値すること」
「お金が儲かること」←
鈴木敏夫,仕事道楽,岩波新書,2014.
アート性が高くとも「お金が儲かること」は常に意識していることがわかりますね。
適切なプロセスの中で「それは儲かるか・スケールできうるか」の問を持っていくべきだ、というお話でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?