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2021年にクリアしてよかったゲームの個人的感想

 前回前々回は、2021年に出会えてよかった漫画・映画を紹介しましたが、漫画編公開後、知人に「ゲーム編も書いてほしい」と言われていたので、ざっくりと書いてみることにしました。
 ただ、2021年にクリアできたゲームが極端に少なかったため、内容が非常に偏っています(なお、今回は人に薦めたい作品ではなく自分に刺さった作品を選んだので、前回・前々回とはかなり傾向が異なります)。個人的な感想メモなのであまり期待しないでください。
 前回までは作品のバランスを意識していましたが、今回は自分の嗜好に極振りした作品が多いので、恐らく知人の期待したものとはだいぶ違う形になったことでしょう。申し訳ない。

※ご注意ください 去年の僕のプレイの偏りのため、書いてみたらなぜかほとんどがR指定作品になってしまったので、直接的な表現はしませんが性的コンテンツが苦手な方は閲覧をお控えください。またショックを受けるかもしれない残虐な表現のある作品が多くなっています。本記事内ではそこにフォーカスを当てませんが、ゲームをやる際はよくご確認の上でプレイしていただければと思います。合わないなと感じた方はすぐに閲覧を中止してください。よろしくお願いします。

真昼の暗黒

 2021年の初めごろにTwitterで話題になった、サークルSummertimeさんによるフリーゲーム(R15)。多摩団地を舞台に小学生女子の主人公の生活が段々不穏なものになっていき、やがて様々な違和感の正体が明らかになっていくノベルゲーム。 個人的にめちゃくちゃ好きですが、エログロ虐待描写に耐性ある人でないとオススメはできないかな。東京の郊外のあの質感をうまく再現していてウワワー!という感じになっていました。僕はなんだかんだ言いつつ共依存的な話が好きなので、そういうエンドもあって嬉しかったですね。

CODA

 闇のSF読書会の時にも少し話したのですが、こちらもSummertimeさんの作品(全年齢)です。同サークルの中で個人的に一番好物が集まってる感じがした作品でした。過去の戦禍を二度と起こさないために生み出された監視社会で、生き抜いたり生き抜けなかったりする少女たちの話。
 1984年やハーモニーなどの小説を思わせるテイストのビジュアルノベルで、歴史修正課がエリートコースだったり、同級生が公開処刑されたり、テロが起きたりと極まった近未来ディストピアを描くのですが、だんだん明らかになっていく歪な世界観が非常によくできていて印象的でした。上記のような要素が気になった方は、無料ですのでぜひ触れてみてほしい作品です。
 ちなみに完全版ダウンロードは公式サイトの一番上の「Windows」または「Mac」ボタンから行けます。僕がアホすぎてどこ???となったので念のため。

ベオグラードメトロの子供たち

 こちらもSummertimeさんの作品(R18)。セルビアを舞台とした珍しいインディーゲームです。建設中止で廃墟となったベオグラードメトロを舞台に、巨大企業に搾取される超能力者たちの戦い、そしてそれぞれの人生を描いています。
 まず、登場人物たちの抱える歪さの描写が大変好みでした(これは同サークルの作品に共通するテーマであるようにも思います)。Summertimeさんの作品は信頼できない語り手が多くて嬉しくなってしまうんですよね。
 メトロの路線図のようなデザイン、データ集の置き方もおしゃれで没入感が上がりますし、主人公の書いた映画の脚本であるという設定で進むのも楽しいです。ノベルゲームのルート分岐をこういう風に表現するというのは新鮮でした(こういったデザイン・フォーマットのユニークさは真昼の暗黒、CODAにも共通していますね)。
 セルビアに関するtipsや現地の写真を使った背景もたくさん出てきて、現地を旅行しているかのような気分を味わえるのも嬉しかったです。いつか行ける日が来るといいな…。
 そして発売を個人的に待ち望んでいた設定資料集もよかったです。こちらにはゲームを作るに当たって作者さんが参考にした作品も公開されているので、そちらにも手を出したいなと思いました。
 余談ですが、僕は自分の好みドストライクな作品に巡り合うことが少ないため、いいなと思った作品を見つけると作者さんを一気に追いかける傾向があります。この作品をやっていた頃はまだ比較的元気でゲームがやれていたのですが、その後色々あってゲームをやる余力がなくなり、去年クリアしたゲームは結果として同じ作者さんのものが多くなりました。しかしこれだけいくつもの素敵な作品に出会えたことは本当に珍しく、喜ばしい出来事でした。今後のご活躍が楽しみです。

装甲悪鬼村正

 今更僕が何か言うことはないような名作(R18)。実はクリアするのが惜しくて最後のルートを長い間中断していたため、ちゃんとやり切ろうと一念発起して完走したところ、ぶっ刺さってしまいました。英雄の物語ではないと明記されているだけあり、いいなと思ったキャラからどんどん非業の死を遂げていくので、かなり人を選ぶ作品です(残虐な表現があります)。
 主人公とヒロイン(光)のセカイ系みたいな話であることは前から承知していたわけですが、セカイ系的な終末を迎えたその後でどう生きていくのか、ということまでちゃんと掘り下げられているとは思わず、大変自分好みでした。自分の罪と向き合う話であり、それでも生きていくという話でもある。
 そしてなんと言っても、こんなに好きになると思わなかったのは足利茶々丸ですね。自らの在り方が普通と違っているために苦しむというのは僕も同じで、彼女が聞いている「声」のように、自分の脳内で自分を永遠に責め続ける親や世間の声を、他者に共有して聞かせたいと思ってしまうこともあります。そしてその内なる声を止めるには社会が変革されるか自分が終わるしかないという…。そういう絶望感と、世界を滅ぼしてでも自らの願望を叶えたい執念なども含めて激しく共感してしまいました。

闘神都市III

 これもかなり前の作品(R18)で、今更僕がどうこう言うこともないのですが、終盤の怒涛の展開が良かったので少しだけ感想を。まず作品を始めたきっかけは、主題歌の「get the regret over」が好きすぎたことでした。何年か前にプレイを始めて、途中何度も中断を挟みながら2021年にようやくクリアしました。
 わりとダンジョン攻略は単調で、(美少女ゲームとしては)王道寄りのファンタジーかなと思ってたのですが、終盤で予想を裏切る感じで一気に闇が顕現してきて少し面白かったです。
 世界を私色に染めてやる系の敵も出てきてウキウキしましたし、ラストダンジョンで主題歌BGMが流れるのも胸熱でした。ラスボスの研究心溢れすぎて倫理観崩壊してるマッドサイエンティスト感も大変好み。
 ただ彼と同じ能力を持つヒロインについて、主題歌で「その身のキセキを咎める者があるのなら 全てを統べる何かに逆らうとしても 君を助けに行こう」という歌詞があるのに、彼女がキセキを持つことへの苦悩などの掘り下げがあまりなかったのがやや肩透かし感ありました。一方でラスボス(厳密にはラスボスではなく一連の黒幕)の掘り下げはとてもよかったです。なんだろう、求めていた方向性とは違ったけどこれはこれでありかなという感じ。
 次は闘神都市IVで会いましょう、と言っているキャラもいましたが、4作目はいつ出るのか気になるところです。

超昂大戦

 アリスソフトの超昂シリーズのキャラクターが活躍するソーシャルゲーム(R18)。冷静に考えるとソシャゲなのでクリアとは?という感じですが入れておきます。同社のゲームは上記の『闘神都市III』と『超昂閃忍ハルカ』、『戦国ランス』くらいしかやってない初心者なのですが、結構楽しいですね。超昂大戦と言いつつランスシリーズなど、アリスソフトに出てくるキャラクターやおなじみの敵などが登場するので、まあ知ってる人ほど嬉しい作品でしょう。自分の場合は「これ元ネタはなんだろう?」と調べて「ウオオ面白そう再販してくれ頼む」という気持ちになることが多々ありました(『アトラク=ナクア』など)。
 いわゆる美少女ゲームが好きな人向けではあるものの、イベントストーリー(ゾンビ回とクリスマス回が好きでした)などががよくできていて、既存IPもののゲームの中では新キャラと既存キャラの扱いがわりと上手いのではないかなと思いました(いわゆる旧作主人公の恋人と今作主人公の関係をどうするか問題は、かなり力技で解決してますが)。そしてストーリー中の絶妙なタイミングで旧作のテーマが流れるとテンション上がります。
 あとなんと言っても特徴的なのはいわゆる「テトリス」ですね。このゲームではキャラクターを育成するために必要な攻撃力・防御力などのポイントをテトリスして消していくことでキャラクターを強化できます。何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をさせらているのかわからなかった…。

いわゆる「テトリス」の画面

 このテトリスはめちゃくちゃ人を選ぶ仕様なので「よくやりおったな」と思いつつ、でも僕は闘神都市の付与画面をすでに見ているので、全くの初見よりは抵抗感がなかったかもしれません。アニメとか見ながら毎日テトリスしてます。謎の中毒性がある…。
 ちなみに他のソーシャルゲームだとウマ娘もやっていたのですが、それはコンテンツ地獄のときに話したので割愛します。

あとがき

 僕はやはり心を抉られる作品が好きなので、こういうコンテンツが好きなんだという話をできる場は限られるんですよね(あまり露悪的になりたくないという気持ちもある)。だから書いてみたのですが、果たしてこれでよかったのか、あるいはこれを読んで参考になる人がいるのかはわかりません。
 とりあえず、2021年の総括はこれで一区切りとしようと思います。もし評判が良ければ、またこういったコンテンツ紹介をやっていくかもしれません。
 いずれにせよ積んでるゲーム、やりかけでクリアしてないゲームがたくさんあるので、今年はどんどん攻略して行きたいですね。しかしゲームに本腰入れるとなると、心身の健康と時間的余裕が必須であり、それが確保できるかはわかりません。世知辛い…。


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