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2017旅行記その5:氷の芸術品たち

ホテルの朝食がバイキングだったので、ここぞとばかりに食いだめ。昨夜はお菓子しか食べていなかったので、ハムや卵、新鮮な野菜にフレッシュジュースといったメニューがありがたい。食べれる時にしっかりと食べておく、というのがこの旅における私の基本姿勢だ。

この日のメインはアイスケイブ。氷河の中の空洞へ入っていく、人気のツアーだ。まず氷河の近くまで行って、そこから雪の上を走れるジープに乗り換え、さらに近づく。事前に安全なルートを調べてあるらしく、すでに轍はできているのだが、そもそもデコボコの所を進むので、車内は結構な揺れ。洞窟までの道中すらアクティビティに思えるくらいのドライブを経て、目的地へ到着。

車を降りると全員アイゼンを装着して、いよいよ入り口へ。思っていた以上に中は狭く、人でごった返していたが、周りを取り囲むのはここでしか見ることができない青。また、来年になったら氷河の形も変わり、入ることができる洞窟も変わるので、まさに一期一会。光を当てて青をじっと見つめていると、何だか吸い込まれそうな気がする。長い自然の営みの中の、ほんのわずかな隙間にお邪魔させてもらったことで、自分の小ささを再認識させられた。

そこからダイアモンドビーチへ。やっぱりビーチは黒いのだが、そこに転がる流氷の塊が、やっと顔を出した太陽の光を浴びてキラキラと輝く。ガイドさんも「こんな大きなダイヤモンド見たことないでしょ?」と自慢していたが、本当に美しい。沖合には、大きな流氷がゆっくりと流れていく。静かな海辺で久々の陽光を浴びて、私の心もゆっくりほどけていった。太陽の偉大さをこんなに感じることができたのも、普段できない経験じゃないだろうか。

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最後に高台から氷河を一望できるスポットへ。やはりアイスランドでも、徐々に氷河が減っていってしまっているらしい。ちょうど新しい大統領となった人は、地球温暖化を信じていないそうだが、確かに環境は変わっていっている。さて、私たちにできることは何だろう。ニュースとして知っていることを、具体的な光景として見た以上、私も何か変わらないといけない。そんなことを考えながら、バスはレイキャヴィクへ。

考えてみたらこの日見たのは氷、つまり水で、それはどこにでもあるものなのだけど、空から降った水が長い時間かけて凍り、大地を削り、海へ流れ出る中で、こんな多彩な表情を見せてくれるとは想像もできなかった。そして、そのタイムスパンに触れると、これまで身に付けてきた時間感覚を狂わされた気がした。こうやって自然の中であくせくしない時間を持つことができたのも、旅の幸せってやつか。

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