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あたらよ『30分だけ想ってあげる』手紙風レコメンド

あたらよ 御中
祝、30GP推薦!

在籍期間こそ全く被っていないとはいえ、同じ演劇サークル劇団かるがも出身。作品が評価されたというのはとても嬉しいです。

主宰、鴨梨さんの作演出一作目、劇団かるがもの人間座スタジオでの公演を見ている自分としては、そこからわずか5作品目にして、「よくぞここまで作品が変化したなぁ!」と感嘆の思いです。

とはいえ、初作品から「込めたいもの、題材にしたいもの」は一貫していると思っていますが、「『作品時間内のどこに、込めたいものを凝縮させるか』の感覚が滅茶苦茶良くなられたなぁ……」、と感じてます。。

上記人間座スタジオでの、荒削りどころか、「削ろうとすらしてないだろ……」という作品を見た時の気持ちが今でも思い出せます。過去の凄惨な被害の記憶に苛まれ、現在でもそれに起因する葛藤に苦しむ少女の姿を、ほぼオブラートに包まず舞台上にぶち込んでいた……(もちろん実際に加害をしていたわけではないけれども)

今回再演となった『30分だけ想ってあげる』では、観客を引き込むコメディチックな前半と、その中のあらゆる要素が伏線となっていた「現実に起こったこと」が、疾駆する馬車の窓から見える景色のように目まぐるしく展開されていく後半で構成されており、パートが切り替わるとともに視点が転じることにより、主人公の過去、そして過ちが言い訳も許されずつまびらかにされていく様が、翻って思い返される前半シーンを全く違う印象で塗りたくっていきました。

脚本、演出もさることながら、同じく人の暗部を込める作品を作る、劇役ユニット:サンリズムとのコラボ等の過去の出会い、そして見目麗しいだけでなく役の抱える泥を体現することに躊躇の無い俳優陣、、、「なにもかもピースがはまってるなぁ!」とうらやましくなりました。。そりゃ「また見たい!」と推されても不思議はないと思います。

もちろん作品のテイスト故に誰にでもお勧めできる作品ではないと思います。特に普通にコメディを見たい人などにはそれこそ「30分だけ付き合って……!」かもしれません。しかし個人的には、この作品は「誰でも一度は見てみて損のない作品じゃないかな」、と思っております。言わずもがなかもですが、自分たちの表現したいことを信じて、初演よりもよりよい作品を目指して稽古してください!

そしてぜひ今後も、演劇続けていってほしいです。この手の作品を作る人は、30代後半からの作品が更にヤバくなる(もちろん良い意味で)と思ってます(笑)

※ヘッダー画像、Twitterより

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