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介護施設でコロナ・クラスターを体験して得た「共同体感覚」

私が勤務する関連のショートステイ施設で、クラスターが発生しました。

入所者一人の陽性が判明したことから、一斉に検査を行い、入退所者と施設職員の数名が、陽性と判明されてからのことです。

それから、あれよあれよという間に感染して、陰性の職員はたった5名になってしまいました。

残った陰性の職員5名は、施設に泊まり込みの状態であっても、24時間業務が手一杯の状況。
陽性者と陰性者の入所者が混在していて、陽性者の中には終末期の方もいる。
併設のデイサービスセンターは、保健所の休業要請で閉鎖の指示・・・

その連絡をもらい、

まずいぞ・・もっと感染が広がるかも知れない

悩みましたが、現場で直面している職員、入所している利用者をそのままにしておけない・・・
私自身の感染も覚悟した上でヘルプに入りました。私も家に帰らない施設生活が始まりました。

施設に入りまず感じたのは、施設内全体に不浄の気を感じました。
(入所者の健康面と精神面のケアで精一杯な状況で、無理もないか・・・)

収束へのアプローチとして、ゾーニング(陽性者と陰性者の完全な区域分け)と個室隔離を行いました。マニュアルどおりです
・・が、個室隔離といっても、
完全な隔離は難しい・・・徘徊の行動制限はできません。

そして、また職員一人が陽性となり、残った職員で収束への道のりは、ギリギリの状態です。

陽性者の入院を依頼しても中々結びつかず、せめて症状悪化の方は入院が優先・・・
やっとのことで、高熱や咳などの症状があり、重症化リスクが高い2名の方を、入院につなげるのが精一杯でした。

これ以上、陽性者を増やしたくないことから、陰性の入所者はデイ棟に移動して完全な区域分けをしました。
移動した陰性者も経過観察生活がスタートしました。

ー本当に辛く、逼迫な状態なのは、入所者なんだー

移動した皆さまは、ショート棟に居た時と全く別人の表情!! 笑み 笑み
会話ができる、テレビがみれる、職員と他の入所者もそばにいて安心できる・・・(ショート棟では個室を余儀なくされていました)

身体的・精神的にギリギリの状態は「私たち職員より入所者!」と気づかされ、その別人の表情に”癒し”を受けとった瞬間でした。

そこから、陽性者への私たちの関わり方も変わりました。精神的なダメージを抱えている方も多く、個室でのケア・コミュニケーションは、短時間であっても、安心感を与えるように徹しました。

入所者の表情の変化を感じた瞬間が、私たちの疲労がエネルギーに変わる!(その繰り返しの毎日です)

常時の換気、消毒、清掃の実施、汚染物の処理など・・・ひたすらに収束への希望と使命感の毎日を没頭していました。

そして、経過観察5日目のことです

施設内が、明るい光に照らされて、外気とともに温かいエネルギーに包まれている感覚を覚えました。
その情景に(うん!いける!いい感じ!大丈夫!)と何故か、自信が湧いて来ました。

幸い陽性の入所者は、症状も落ち着いて経過していました。陰性の入所者は症状も無く、観察期間のゴール日を待つ。そんな状況でした。

私たち職員の疲労はそろそろ限界・・・思考停止どころか、感情(心)も乏しくなっていました。

そのような中、感染者の職員はホテル療養の最中も、施設の現状を心配して、一緒に戦っていました。自ら療養の解除後、直ぐ仕事に就き、通常営業再開の目処も立ってきました。

待ちに待った解除日

明日帰れることを、入所者一人一人に、お詫びと感謝と込めて伝えると、見る見るうちに表情が変わりました。・・柔らかな表情で、帰れる•嬉しいと話す人、瞳孔が開き笑みを浮かべる人、泣き出す人、ただひたすらに”ありがとう”を繰り返す人・・・

そんな表情や態度に、私たち職員の感情も穏やかでなく、心の底から「共感」できる一瞬を味わいました。

解除日の翌日、入浴をすると更に別人のように、輝いてみえました。

ご帰宅です・・
数人の入所者から「お世話になった。また来るからお願いします。」「親切にしてもらって、ありがとう」「職員さんのご家族によろしく」
・・などの言葉を頂いた瞬間、今までの苦労が本当に報われたと感じ、厚いものが込み上げ、勇気づけをもらいました。涙

翌々日、職員のPCR検査を実施しました。(ケアした職員が、家族の元へ帰る担保のためです)
早朝行い、夕方には検査結果が判明します。
結果は、医師より私に一括連絡が入ることで、ドキドキの長い1日でした。

検査結果の電話がー

「全員、陰性です」・・・ホッとした瞬間。(忘れません!)
職員へ伝達です・・私は声が震え、涙をこらえながら「陰性」! 「家に帰ろう」「本当に過酷な勤務、ありがとう」

一瞬沈黙して、みんなで「よかった・よかった」を連呼しました。
疲労はあるものの、心の中は「やり遂げた感」で満ちていて、しばらくぶりに自宅へ帰宅しました。

この体験を経て、これがまさにアドラー心理学の「共同体感覚」そのものだと感じました

アルフレッド・アドラー(1870〜1937)が唱える「共同体感覚」とは、
● 自己受容(そのままの自分を受け入れること)
● 他者信頼(相手を協力しあえる対象と思えること)
● 所属感(自分の居場所を感じていること)
● 貢献感(人の役に立てると思えること)
これらがあったときに、幸せを感じると考えている。
そしてコミュニティの中にあって、これらの感覚が持てている状態を、「共同体感覚を持っている」と言っています。
2週間、職員そして一緒に戦った入所者との関係性は、まさに「共同体感覚」です!

コーチングの師匠が話していたことが、「ふっ」と降りてきました。

幸福の条件は、
「人が好き」「人は信頼できる」「私には居場所がある」「私は貢献できる」これらがあったときに幸せを感じる。

どれかが自分に枯渇していると気づいたら、心のエネルギーチャージをすること(自分がワクワクするエネルギーチャージをすること)
そして、循環すること・・・

〜あーあ、これだよな〜  共同体への貢献だよなー

今回、本当によき体験をしました。
感謝!感謝!感謝! です。

最後までお読みくださり、ありがとうございます🍀

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