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JR東海の「もう一つ」の新幹線格安移動「シャトルきっぷ」

※シャトルきっぷは3/16以降販売終了がアナウンスされています。後継のデジタル切符について新たに記事を書きましたのでご参考までに。


JR東海で破格の値段で新幹線が乗れるといえば、名古屋ー豊橋間の移動に限定して在来線の普通往復きっぷ同等の値段で買える「新幹線豊橋往復きっぷ」があるが、実はもう一つ穴場的な区間がありました。

これとさらにJR東海が用意した「新たな切符」と組み合わせることで名古屋圏と京阪間の往復が一層お得になるかもしれない話をします。

「名古屋おでかけきっぷ」の詳細はこちら。


シャトルきっぷとは

こだま・ひかりの自由席縛りですが、東海道線の岐阜駅以西、穂積〜醒ヶ井の区間から米原までの在来線と、米原から京都・大阪までの新幹線の往復がセットになった、大変お得な切符です。

そうだ、京都へ行こう

ここで登場した「名古屋おでかけきっぷ」は平日休日を問わず1,500円で西は関ヶ原までの区間が乗り放題になるきっぷである。これは別途別記事で扱うものとします。
名古屋ー京都は在来線でも片道2時間強と、移動距離の割には早く着くお得な区間で、18きっぷ有効期間なら、日帰り旅行も十分射程圏に入ってきます。

名古屋ー京都

新大阪へ

そして、米原から在来線新快速で大阪に行くよりちょっと割高くらいの料金で新大阪にも行くことができる。

名古屋ー新大阪

最大のボトルネックは大垣米原間の「下車」

当該区間の切符を買うために途中下車する必要があるので大垣から米原の間は電車が30〜40分間隔でしか出ていない。関ヶ原で下車するということは30〜40分の時間をロスするということ。
穂積・大垣に限れば名古屋方面からの下り列車が毎時4本設定されているので、下車による時間ロスを前にずらすことで移動時間を緩和することができる。
(大垣駅に限っては無人の券売機でシャトルきっぷを購入できるのもポイント)

速達性をそこまで求めないなら十分ありな選択。

新快速が速いってのも大きい要因なんですが、ただでさえ大垣ー米原間で途中下車を要求される上に米原での在来線・新幹線間の接続の悪さもあって、なんとなく速達性というメリットが激しくスポイルされてる気もしなくはないですが、帰る時間に多少余裕ができそうな感じはします。

新快速は基本的に座れないって思った方がいいです。その点この区間のこだまの自由席は大体座れるでしょうから、そういう意味でもお得です。

名古屋ー大垣間は大垣ー米原間よりも本数が多く、米原行きを待ち合わせる便がそこそこあるので、行きの時間を圧縮する余地があります。

乗り越しのルール

(3) 乗車変更
ア 取り扱いません。
ただし、米原~京都・新大阪で新幹線「ひかり」「こだま」号に乗車後、指定席に空席があり、運輸上支障がないと認められる場合は、無割引の自由席特急料金をいただいているものとみなして、指定席へ変更することができます。
イ 乗り越した場合は、別途、乗車区間に必要な運賃・料金をいただきます。

シャトルきっぷ(普通車自由席用)- (3) 乗車変更

この「別途、乗車区間に必要な運賃・料金」というのは、きっぷ区間外の料金を追加で支払えという意味であって、豊橋往復きっぷのように、払い戻して正規料金を払えという対応ではない点がポイントです。

JR西の新快速はNG

通常、新幹線の特急券を伴わない乗車券は在来線で同等区間の乗車することが可能なのですが、この切符では厳密に米原〜京都・新大阪の在来線区間を別料金として扱っています。JR東海は東京から新大阪までの「東海道新幹線」を管轄しているので、米原以西の在来線を管轄するJR西はJR東海とは別会社になるためか、運賃部分も無効として扱うようです。

※米原~京都・新大阪を在来線に乗車された場合は、別途、乗車区間に必要な運賃・料金をいただきます。

シャトルきっぷ(普通車自由席用)-  (1) 乗車可能列車・設備(別に定める車内での取扱いを除く。)

完全に余談ですが、JR西にとってくろしお(一部便)やスーパーはくとが京都発だったり、サンダーバードが大阪・新大阪発だったりするのは、東海道新幹線に客を渡しても旨みがないからと思われます。

新神戸・西明石・姫路へは?

新幹線において「新幹線豊橋往復きっぷ」のような厳密な乗越禁止ルールは科されていないので、単純に乗り越した区間分の新幹線乗車料金(運賃・特急料金)を追加で払えば、新大阪以西に乗り過ごすことができ、豊橋往復きっぷのように「きっぷを払い戻して全区間の正規乗車料金を払え」のような対応はされないようです。

なお、新大阪から西側の東海道・山陽新幹線はJR西管轄になるのでJR東海固有のルールは適用されないっぽい感じです。

たとえば新大阪から新神戸に乗り越した場合、乗車券と特急料金を精算すればよいことになります。
事前に購入していれば特にいうことはありません。

復路で名古屋方面への新幹線は使えるか?

米原以東について述べましょう。少なくともシャトルきっぷの在来線区間部分が新幹線乗車区間料金として有効である旨の表記はないし、特別きっぷの趣旨に鑑みると、在来線部分のきっぷは無効扱いになるかと思います。
たとえば米原で新幹線を降りず名古屋で降りた場合は、米原以東の在来線乗車区間を放棄したものとして、米原から名古屋までの新幹線運賃・特急料金を支払うことになると思われます。

※たまに書いてあることが読めない人がいるみたいです。

結論

表を見ればわかるけど、大垣米原間で改札を出ることによる時間ロスがかなりきいていて、在来線で乗り通すのと比べて、シャトルきっぷ起点駅を単純に通り道としてみた場合、時間的メリットはそこまでありません。18切符シーズンなら全力スルー余裕です(関ヶ原を観光してから西にワープするとかの極レアなケースで有効)

こだま自由席って大体空いてるから、そういう面ではAシート(米原からではなく草津から)にお金払うよりは合理的かも?

JR東海の意図するところは、JR西との(在来線新快速 VS 東海道新幹線の)客との取り合いにあると思われます。一般的に考えれば名古屋ー米原間を在来線でかつ時間を浪費する移動方法を使ってまで京阪間の移動時間を短縮するというのは本末転倒と言わざるを得ないでしょう。大垣ー米原間という狭いエリアの旅行客がうまく利益を享受できるよう設定していると思います。

補足:シャトルきっぷは事前購入すれば途中下車不要

別の日に関ヶ原駅の窓口で事前購入しておく(この時は関ヶ原まで青空フリーパスを利用)ことで、京都行き当日に名古屋から米原まで途中下車なしで名古屋おでかけきっぷとシャトルきっぷを利用することができました。先人のお知恵に感謝します。

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