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世界の裏側を「掻く」〜異世界風土記企画「祝」の宣伝

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2020年に開催されたイセカイフドキ(@fudokift)さんの競作企画「祝(いわい)」の宣伝と、参加作品への寿ぎを記すためのマガジン。手触り感のあるユニークなWebファンタジー…
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#小説

20.12.11【異風祝感想 #3】全ての命は二度生まれる。魂が二度死ぬことを定められたように。 〜園田 樹乃『卵を抱く』を読む

 卵は見かけによらず、神話的な作用を持っている。インドや中国、エジプトやフィンランドの神話では世界の始まりに宇宙卵があり、それが割れることで天地が分かれたとする記述がある。  これは意外にも世界的に共通したモチーフらしく、これを鳥へと変身譚や卵生譚にまで派生すると、ギリシャ神話の愛の化身エロースやレダが生んだ双子の兄弟と双子の姉妹、韓国(新羅)の朴氏赫世居、本邦のヤマトタケル(死後白鳥へと変身する)なども含まれる。  また、寓話として有名なのはイソップ寓話の「金の卵を生む鶏