詩「業」




これは戒め
一本の枝に吊るされた過去の息
そして何より巡る巡る
現在までの足枷か、足跡か

朝靄、原付の音
客を待ち続けた白髪の少女

石屋の息子は墓石を撫でて
撫でて撫で続けた
朝日が登るまで
一人ひとり名前を呼びながら

化粧をした魚は
悟ったような顔をして
都会の下水を泳ぐ
汚穢舟が見える

満月を眺め吠えるのは
私が夜に独り
あなたもまた永遠に独り

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